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トランプ政権GSOMIAで指導力発揮

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トランプ米大統領と文在寅大統領(2019年6月30日 南北軍事境界線)出典: Flickr; The White House (Public domain)

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

【まとめ】

・GSOMIA継続表明。トランプ政権の圧力にパニック症状見せた文政権。

・トランプ政権が指導力を発揮。米日韓3国安保態勢堅持の意思を明示。

・在韓米軍の撤退や削減の意思がないことを示した事実は注視すべき。

日本の“アメリカ通”の多くは反省してもよいのではないか。「トランプ政権には国際的リーダーシップがない」「米韓同盟はもう破棄しようとしている」などという推測とは正反対の動きをトランプ政権がとったからだ。日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIAへの動きである。韓国政府がこの協定を破棄しようと決めていたのをトランプ政権が一貫した圧力で逆転させたのだ。

韓国政府の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)への豹変は醜い笑劇を思わせた。さっきまで大声で叫んでいたことをすべて逆転させたのだ。文在寅政権の言葉はそもそも当てにならない実証でもあろう。

文大統領を土壇場で豹変させたのは明らかにアメリカの圧力だった。トランプ政権の対決姿勢だった。米日韓三国安保体制の堅持という点でトランプ政権がリーダーシップを発揮したのである。文政権はそのトランプ政権の力を甘くみていたのだ。

トランプ政権は慰安婦や元戦時労働者での日韓の争いでは当初、中立に近い態度だった。どちらに非があるとも語らなかった。だが韓国が8月下旬にGSOMIAの更新停止を言明したとたん、堰を切ったように韓国側を非難し始めた。

▲画像 ランディ・シュライバー国防次官補出典: 米国防総省ホームページ

8月28日、トランプ政権国防総省のインド太平洋担当のランディ・シュライバー次官補が文政権への明確な抗議を述べたのだった。ワシントンの有力研究機関「戦略国際研究センター(CSIS)」での演説のなかだった。

「アメリカ政府は韓国政府のGSOMIAに対する言明に強い懸念と失望を表明する」

私もこの集まりに出た。「米日韓3国の安保体制について」という主題のスピーチだった。トランプ政権の高官が特定のテーマについて、しかもアジアの安全保障について、公開の場で正式の演説をすることは珍しい。そのうえにいま熱気を増す日韓の対立についても言及されることは確実だった。 

だから200人を超える感じの多数が集まっていた。水曜日の午前10時からだった。私は会場では異様なほどの熱気を感じた。やはり関心の高さの反映だろう。

シュライバー次官補は言明を続けた。

「いまほど米日韓三国の安全保協力の体制が必要な時はないのに、韓国のGSOMIA破棄はその体制を傷つけ、三国の潜在敵を利することになる」

シュライバー次官補はこう述べて、潜在敵として北朝鮮や中国、ロシアの国名を具体的にあげたのだった。そのうえで韓国に対して明確にGSOMIAの継続を求めた。トランプ政権から文在寅政権への正面からの要求だった。明確な圧力でもあった。トランプ政権の韓国と日本というアジアの両同盟国に対するはっきりとしたリーダーシップの発揮だともいえた。

トランプ政権はこのシュライバー演説以降、この要請を政権全体をあげて韓国側にぶつけ続けた。

【画像を元記事でみる】

マーク・エスパー国防長官、マーク・ミリー統合参謀本部議長、マイク・ポンペオ国務長官、デービッド・スティルウェル国務次官補らが直接に文政権に訴えた。このうちのほとんどの要人がソウルまで飛んで、文政権の中枢と交渉を展開した。だが文政権は当初はこのトランプ政権の要請を平手打ちをするような態度で拒否したのだった。

▲画像 韓国国防部を訪れたスティルウェル米国務次官補(2019年11月6日)出典: 韓国国防部ホームページ

しかしトランプ政権は厳しい対決姿勢をさらにエスカレートさせて文政権に再考を迫った。文政権への正面攻撃のような勢いだった。

そのうえにアメリカ議会上院がトランプ政権の動きに歩調を合わせて、GSOMIA失効の2日前の11月21日に韓国にその延長を求める決議を超党派で採択した。

同時にトランプ政権は文在寅政権に対して在韓米軍駐留経費の大幅な増額をも迫った。この要求にも文政権は当初はノーを通した。トランプ政権は協議の打ち切りをも宣言して、自国の要求は絶対に変えないという態度をみせた。

この時点で文政権は明らかにパニックに近い症状をみせ始めた。トランプ政権がここまで激しく迫ってくるとは思わなかったようだ。このままだと米韓関係の破綻、米韓同盟の根幹での弱化の危機を察知したのだろう。明らかにトランプ政権を甘くみていたといえる。

同時に表面では米韓同盟を漂流させているようにみえる文在寅大統領でさえ、その同盟の崩壊という可能性には激しい拒否症状をみせるということだろう。

韓国のアメリカに対するこうしたパニック的な反応は実は歴史上の前例がある。

古くは1977年ごろ在韓米地上軍の撤退を公約に掲げたジミー・カーター氏が大統領に当選した時だった。韓国側は時の朴正煕政権こそこの撤退計画には反対だったが、野党や民間では反米志向も強く米軍撤退を求める声もあった。だからそのアメリカ地上軍が韓国から撤退するという案にもそれほどの抵抗はないだろうとも予測されていた。

ところがいざその撤退が現実に近くなると、与野党、官民が一致してのパニックのような反対運動が起きたのだった。やはり韓国にとってアメリカとの同盟の絆、そしてその結果である在韓米軍の存在はなくてはならないとの認識が深層心理ではきわめて強かったのだ。ふだんはその真の心情をみせず、米軍がいなくても平気だというような言動をみせていたのだ。

その後にも韓国はアメリカとの同盟に関連してパニック的な反応をみせた。廬武鉉政権の時代だった。

2003年に登場した廬武鉉政権は当初から反米、親北に傾いていた。アメリカ側の当時の二代目ジョージ・ブッシュ政権は徹底して反発した。在韓米軍の一部を実際に削減までして、抗議の意向を表明した。

▲画像 盧武鉉大統領(左)とジョージ・W・ブッシュ大統領(右)2003年10月3日(タイ・バンコク)出典: Wikimedia Commons; White House photo by Paul Morse (Public domain)

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