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「ヤフー×LINE」を公取委が審査するべきなのか

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■欧米では「特定の事業だけ売却」を命じる場合がある

欧米の独禁当局による合併審査の場合、競争を阻害すると認めた特定の事業分野で対策を命じることがしばしばある。合併そのものは認めるが、合併すると独占になり競争が阻害される特定の事業だけ、売却を命じるのだ。2008年に欧米の独禁当局が承認したカナダのトムソンと英国のロイターの経営統合の際に、企業データのデータベース事業の売却を求められたことなどが典型だ。

もちろん、世界で圧倒的な寡占状態になるような事業では、独禁当局が合併を認めないケースもある。世界で生き残りを模索するロンドン証券取引所がいったん合意したドイツ取引所との合併計画を、EUの行政機関である欧州委員会が2017年に禁止する決定を下した。確定利付債券の清算市場において、事実上の独占が生まれるというのが理由だった。

欧州委員会は2012年にもNYSEユーロネクストとドイツ取引所の合併を禁じる決定を下していた。もっとも、欧州委員会は持ち込まれるEU域内企業の合併についてはほとんど承認しており、合併を阻止したのはわずか。域内企業の成長拡大に理解を示す姿勢を取っている。

公正取引委員会の山田昭典事務総長は11月20日の記者会見で、経営統合をめぐる審査について、「日本企業同士の統合だからといって国内市場だけで判断するわけではない」と述べたという。あくまで「一般論」と断ったうえでの発言で、ヤフーとLINEの統合について見通しを示したものではないが、今回の統合を国内市場の競争が失われることを理由に禁じるのは無理があるように思われる。

■ZHD「少数株主」の利益は守られるのか

もっとも、今回の統合を含め、ソフトバンクグループの資本やグループ体制の組み換えには分かりにくさがつきまとう。公正取引委員会には関係ないもうひとつの「独占禁止問題」が疑われるのだ。

ZHDは今年10月に上場企業だったヤフーを社名変更して持ち株会社に変え、引き続き上場している。一方で、傘下にヤフーという名前の新会社を設立、ヤフーが行ってきた事業はそこが担っている。今回のLINE親会社の出資でZHDの支配形態が大きく変わるが、上場は維持される。この間、ZHDの一般株主は「少数株主」としてきちんと利益が確保されているのか。ZHDの主要株主が変わることで、「少数株主」の利益は守られるのか。

2020年10月以降も、ZHDは上場企業でありながら、上場企業である電話事業のソフトバンクの連結対象子会社であり続け、やはり上場企業であるソフトバンクグループの孫会社として連結対象会社であり続ける。親子上場ならぬ孫会社やひ孫会社の上場で一大グループを形成することに、問題はないのか。本来は東京証券取引所が上場企業としてふさわしいのか、再度厳しく審査を行う必要があるのではないか。

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磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。
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(経済ジャーナリスト 磯山 友幸)

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