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狂乱気象で「ヴェニスが死す」高潮で市内8割が水没


冠水したベネチアのサン・マルコ広場

「ベネチアの高潮は、人間への警告のひとつです」
 こう強調するのは、地球物理学者の島村英紀氏だ。

 11月12日から13日にかけて、「水の都」として世界中から観光客が集まるイタリア・ベネチアが、高潮で市内の8割以上が浸水した。最高水位は、187cmに達し、名所として知られるサン・マルコ広場も、広範囲が水に覆われた。一連の高潮による被害額は、日本円にして約1200億円にのぼるという。

 以前からベネチアは、高潮によって市内が浸水することがあった。だが、今回は1966年に次ぐ、史上2番めに高い水位に。島村氏はこう続ける。

「今年は、日本でも非常に強い台風19号が関東を直撃し、千葉などで、都市機能が大きな被害を受けました。これは、日本近海の海水温の高さが原因です。

 地球の温暖化によって、『50年に1度』といわれていたような高潮や大雨、台風などの異常気象が、いまでは地球規模で、数年に1度のペースで起きているのです」

 台風19号が日本列島に大きな被害をもたらしたことは、記憶に新しい。そしてそれ以上に、世界中でも “狂乱気象” による災害が起きているのだ。気象学者の江守正多氏は、こう指摘する。

「ベネチアが注目されていますが、こうした異常気象は世界中で起きる可能性があります。

 実際、11月にはサイクロンが上陸したバングラデシュで高潮が発生して、200万人以上が避難、多数の死者が出た。干ばつや海面上昇なども含め、温暖化が招く気候変動によって、災害の規模がさらに大きくなっています」

 その影響は、世界経済をリードする街にも及びかねない。

「東京やニューヨークなどの、世界的な大都市の多くは、海のそばで発展してきました。高潮などの災害とは、無縁ではないのです」(島村氏)

『ヴェニスの商人』『ヴェニスに死す』など、多くの文学作品の舞台となったベネチア。いまや、「ヴェニスも死す」ばかりか、地球環境そのものに、静かに死が忍び寄っている。

写真・ロイター/アフロ

(週刊FLASH 2019年12月10日号)

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