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介護の現場にしゃしゃり出る財務省の"悪巧み"

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財務省が、介護の現場を取り仕切るケアマネジャーの報酬を利用者に負担させようと法改正を検討している。ケアマネに取材している相沢光一さんは「私の取材の感触だと、介護現場は猛反対している。財務省の方針は現場不在です」という。なぜ介護現場は反対しているのか――。


写真=iStock.com/Gulcin Ragiboglu
※写真はイメージです


「ケアマネ不足で介護難民が増える」は回避の見込み

11月15日、厚生労働省は、「居宅介護支援事業所の管理者には主任ケアマネジャーを置かなければならない」という2018年の介護保険法改正の要件を緩和する旨を発表しました。

前回の記事で取り上げた「問題点」が少し改善されたのです。ここで改めて法改正の問題点を要約すると次のようになります。

厚労省の判断により2021年春に介護難民があふれずにすむ

「介護保険サービスの質の向上を図るという理由から、介護をサービスする事業所の管理者は長い実務経験を持つ“主任ケアマネ”がいることを義務づける法改正が行われた(2018年)」

「しかし現状、主任ケアマネがいる事業所は5割に満たない」

「規定の移行(猶予)期間は2021年3月末までの3年間」

「“主任”の資格取得には5年以上の実務経験が必要といった高いハードルがあり、改正法が施行される時点で主任ケアマネが確保できず廃業に追い込まれる事業所が続出する可能性がある」

「その結果、ケアマネ不足が起き、介護難民が増える」

こうした懸念を厚労省は深刻に受け止めたようで、「主任ケアマネ以外が管理者である事業所は2026年までに、その要件を満たせばいい」と6年間の猶予を認めることが決まったのです。前回の記事は「2021年春に介護難民があふれる『人災』が起きるワケ」というタイトルでしたが、そうした事態はいったん回避できそうです。

一方、財務省が介護利用者の負担を重くする法改正を画策中

また、「主任ケアマネ」に次いで2021年に改正が行われると噂されていた「ケアマネの仕事に関しても利用者に負担してもらう」という規定も、この11月19日に見送られることが決まりました。


写真=iStock.com/RealPeopleGroup
※写真はイメージです


ただ、これはあくまで先送りであり、福祉財源がひっ迫している状況下、次の介護保険法改正(2024年)では採決される可能性があります。こちらも利用者の経済的負担が重くなるのが確実な法改正。先送りによって当面は、その心配をする必要はなくなりましたが、利用者も内容を知っておいたほうがいいでしょう。

今回は、この「ケアマネの仕事に費用発生」という案件の法改正には具体的にどのような問題があるのか、介護現場で働く人たちの声を交えて検証していきます。

担当のケアマネに対する費用が発生する可能性

要介護認定を受け、居宅での介護サービスを利用することになった高齢者などには原則としてケアマネがひとり担当者としてつくことになります。

彼らは、まず、要介護者の心身の状態や介護する家族の事情などを聞き、自立支援につながる介護サービスを盛り込んだケアプランを作成します。その上で、そのプランに沿って介護サービス事業者を本人や家族と話し合って選定し、介護保険サービスがスムーズに開始できるように支援します。

また、その後も定期的に担当する利用者宅を訪問し、心身の状態の変化に応じて、ケアプランを見直す。ケアマネは介護生活を支える重要な役割を担っているわけです。


写真=iStock.com/Astrid860
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訪問看護のヘルパーやデイサービスなどの介護サービスの利用をした場合、利用者が負担するのは原則的に費用の1割(※収入によって2割か3割)ですが、ケアマネに対する利用者負担は発生しません。ケアマネの報酬は全額、介護保険(国)から給付されています。

利用者の自己負担がないのは、介護保険適用のサービスは“誰もが公平に”受けられるもの、という考え方があるからです。

他の介護サービスと同様、原則1割の利用者負担

ケアマネ歴15年のIさんは、その意味合いをこう説明します。

「要介護認定を受け、これから介護生活が始まるという方にとって、ケアマネはその入口にいる案内役といえます。どんなサービスでも初めて利用する時は案内が必要です。たとえば大型のショッピングセンター。探している商品の売り場が分らなかったら、従業員に場所を聞きますよね。いうまでもなく、その案内に料金が発生することはありません。もし料金を要求されたとしたら“自分で探すよ”となるだろうし、誰もそんな店は利用したくなくなるでしょう。ケアマネジャーもそれと同じで、誰もがあまねく公平に自立支援のための介護サービスを受けられるよう利用者の負担なしでやってきたのです」

本来、利用者の負担で成り立つ性質の仕事ではないというわけです。にもかかわらずここへきて、他の介護サービスと同様、原則1割の利用者負担にしようという法改正の動きが出てきたのはなぜでしょうか。

法改正を主導するのは福祉財源逼財に苦しむ財務省

実は、この法改正を主導してきたのは財務省です。やはり福祉財源の逼迫が背景にあることは明白です。財務省は利用者負担にすることのメリットもある、と次のような見解を発表しています。


写真=iStock.com/7maru
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<これまで利用者はケアマネが作成したケアプランをそのまま受け入れる受け身の立場でしかなかった。が、料金を負担することによって利用者側に自覚が生まれ、ケアプランの内容をチェックし要望を出すことができるようになるだろう。それによって納得のいく介護サービスが受けられるようになる>

しかし、それについてIさんは「取ってつけた理由でしかありません」と批判します。お金を削りたい、というのが財務省の本心だというのです。

「現状でも利用者さんはケアマネに要望を出すことはできますし、我々はそれに応えることもあるんです。それに私たちケアマネは専門家としての知識や経験を生かして、それぞれの利用者さんに最適な自立支援のためのケアプランをつくっている。しかも、福祉財源にも利用者さんにも多大な負担にならないよう必要最小限のサービスを組む努力をしています」

「そこにもし、利用者さんの要望を受け入れるのが当然という流れができたら、どうなるか。利用者さんの都合でケアプランが変わることによって、かえって自立支援の前提が失われ、ただ単に利用者さんにとって快適なだけのサービスになってしまう可能性があるのです。また、そうなると介護保険適用限度ギリギリまでサービスを増やさざるを得なくなることもあり、結果的にコストがアップし、財源を圧迫することになる。本末転倒ですよ」

利用者が介護サービスを受けることを拒むようになるおそれあり

利用者のメリットとなるという財務省の見解はお門違い。介護の現場は混乱し、自立支援という大目標が損なわれるおそれがあるのです。さらに、もっとまずい事態になるのではないかとの声もあります。それは、利用者が介護サービスを受けることをやめるのではないか、という危惧です。

「説明したようにケアマネは介護生活の入口にいる案内役でもあります。その案内料を取るという話をすれば、“あなたには頼らず自力でなんとかする”という方が出てくるはずです」(Iさん)

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