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弁護士ニュービジネスをめぐる限界と理解

 LINE(㈱が、同社運営の「LINE」上で無料で弁護士に法律相談できるサービス(「LINE弁護士相談」)の提供を開始したことが、ネット上で話題になっています。

 弁護士会員を持つ「弁護士ドットコム」と、専門家とのマッチングサービスを提供している「日本法規情報」をパートナーに、全国1000人の弁護士が参加。無料の弁護士相談に加え、有料サービスとしては、25万件超のさまざまな相談事例を閲覧できるプラン(300円/30日)も提供するとしています。さらに2020年春には、弁護士にLINE上で直接やりとりできる別の機能(「1to1機能」〈仮〉)も設置する方針を明らかにしています。

 ここは一般の人の感覚と違うと思いますが、こうしたビジネスが話題になるとき、多くの弁護士の関心は、(あるいは儲かるか否か以前に)まず、そのスキームが弁護士法に違反しないかどうかにいきます。弁護士に対する対価性をはらむ紹介に当たらないか、それによってアウトではないか、といった問題に目が向くのです。

 今回のサービスについては、現在のところ、同社発表以上のことは分かりませんが、顧客から料金を取らないで、弁護士側に成果を保障せず、また成果報酬を発生させない、一律の「広告料」に当たるものだけでつながる、という、基本的な形で問題をクリアするようです。

 また、既に独自に弁護士関連でサービスを提供している「弁護士ドットコム」や「日本法規情報」の協力を得ていることや、「弁護士1000人参加」というのを、適法なサービスの信用につなげたいところなのでしょう。ちなみに「日本法規情報」は過去に、同社運営のサポートサービスが弁護士法第72条、「弁護士の業務広告に関する規程」、「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指針」に抵触していないとする「見解」を発表しています。

 さて、こうした弁護士絡みのニュービジネスが登場する度に、弁護士側が当然のように繰り出し、こだわりどころとなる弁護士法との関係ですが、結論からいえば、その主張がいまだ不思議なくらい、多くのサービス発案者側には理解されていない、理解されない現実が存在しています。今回のLINEのサービスについては、先行業者を味方につけ、はじめからそうしたことを重々配慮はている、というスタンスになりますが、弁護士法の内容を知らないだけではなく、知っても、なぜ、そんなルールがあるのかが分からない、という声は少なからず存在するのです。

 実は民間には、弁護士を「活用」するビジネスのアイデア自体は沢山存在しているといえます。以前にも書きましたが、こうしたアイデアへの協力や意見を求められることが沢山ありましたが、そのほとんどが前記対価性などの問題で「難しい」と答えざるを得ないものでしたし、そのうえで、弁護士法の存在を説明しても、納得が得られないケースも多々ありました(「弁護士『紹介業』という領域」 「横浜弁護士会『顧問弁護士紹介制』白紙撤回の現実」)。

 例えば、成果によって弁護士側が報酬を得る形、それこそ業者と弁護士が「公正」に「WINWIN」になる形がなぜ、いけないのか。普通の商行為で通用しているものが、なぜ、弁護士にだけ通用しないのか。弁護士が厳格な資格要件を設けられていることから、弁護士外の人間が法律事件にみだりに介入することによる、当事者のリスクがあるというのは理解できる。しかし、弁護士自身が主体的に顧客とつながる手段を選択をし、あるいは拒否できるという前提に立つならば、いかなる場合でも、業者に対する従属的関係になることを危険視して、一律禁止する形はどう解釈すればいいのか。弁護士自身の「公正さ」が担保されていれば(あるいはそれが信じられるならば)、問題ないのではないか――等々。

 弁護士が関与する形であれば、一定の弁護士紹介業務、事件紹介業を解禁してもよいのではないか、という意見自体は、以前から弁護士会内にもあります(花水木法律事務所のブログ)。「広告料」という形に収める、というのは、確かに対価に比べて、従属性を排除するものかもしれませんが、これをある意味、弁護士法が存在するがゆえの、建て前ととらえている業界関係者も少なからず存在します。有り体にいえば、紹介が業として存在したとしても、それによって少なくとも自分は当事者に不利益を与えるような結論にはならない、しかし弁護士法があるから仕方がない、と思っている弁護士もいる、ということです。

 直ちに解禁の議論をしない弁護士・会がおかしい、ということが言いたいのではありません。趣旨が理解されていないことが、事実上、放置され、「決まりは決まり」という形での理解しかされていないことが問題なのです。そして、そのことは改めて弁護士自身が、どこかで整理して、このテーマを考える必要がある、ということを意味しているように思うのです。


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