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アンタッチャブル10年ぶり“共演”に感じた『全力!脱力タイムズ』の粋とプライド

『全力!脱力タイムズ』公式ホームページより

 アンタッチャブルが10年ぶりに共演したのにはさすがに体が熱くなってしまった。歴史的“再会”は、Tverなどでも観られるのでぜひ確認してもらいたい。

tver.jp

 今回の件について、事前告知なしにあっさり行われたことが、密かに評判を評判を呼んでいる。

 さっそく以下のような考察記事も出ていた。

www.oricon.co.jp

  告知がなかったのは記事中にあるように、“後追い視聴”環境の充実によるところもあるだろうが、ぼくはそれ以上に、今回の「アンタッチャブル10年ぶりの共演を、告知もせずさらったやってのけてしまった事実」に、この番組のプライドをみた気がした

 そもそも、事前告知で「アンタッチャブルが今夜ついに10年ぶりに共演!」なんて銘打つのは、この番組のスタイルに完全に反しているのだ。

 それについて語るためには、この番組はどういうものか、野暮を承知で説明しなければならない。 
 『全力!脱力タイムズ』は報道番組、ではもちろんない。キャスターのくりぃむしちゅー有田とアシスタントはもちろん、画面右手に陣取る本物の専門家たち、2人いるゲストのうち1人、スタッフ、パネル、VTRまですべて、真面目な顔をしてボケ続ける「番組全体がボケ担当」の特殊なスタイルである。
 
 それに対する「ツッコミ担当」は、何も知らされずに座るもう1人のゲスト(主にお笑い芸人、今回は柴田英嗣だった)で、「自分以外すべてボケ」の特殊な状況で、ひたすら場面対応力が試さ続けるおそろしい「お笑い番組」なのだ。

 これも野暮を承知になるが、山崎登場までの流れを確認しておこう。これまでの回でも、番組は「柴田が相方と共演」と打ち出しながら、別人が出てくる、というボケを何度も繰り返していた。 
 今回はその偽の相方役が俳優・小手伸也で、柴田と漫才をしようとするが上手くいかず、有田に叱責された小手がスタジオを一度はける。続いて、スタジオの面々が小手に同情し、もう一度チャンスをあげようという流れになり、有田に連れられて戻ってきたら山崎本人だった、という展開だった。

 つまり、今回、山崎は「小手伸也が出てくると思ったら山崎だった」というボケの展開で出てきたのだ。
 
 注意しなければならないのは、番組自体は最後まで「アンタッチャブルが10年ぶりに共演!」とは、一度も認めていないことだ。まさかガチの相方が出てくると思っていなかった柴田は大興奮しその場にぶっ倒れていたが、有田は冷静に「小手伸也さん、気を取り直してよろしくおねがいします」と山崎に向かって詫びる。それどころか、番組では山崎が登場してからもずっと右上に「気を取り直した小手伸也が改めて漫才を披露!!」と表示され続ける、この徹底ぶり!
 
 結局、番組自体は最後まで「小手伸也がスタジオに戻ってきた“てい”」のボケの姿勢を崩さず、2人が共演したことを“認めていない”のだ。極めつけは、番組最後の有田である。「できれば、早く本物(のアンタッチャブル)がみたいですね?」とゲストの新木優子ににこやかに語りかけ、柴田の「本物です!」というツッコミを引き出す。ひたすら粋である。

 もちろん、アンタッチャブルの漫才の前にはスタジオで万雷の拍手が起こり、その場にいた全員が「今、目の前で起こっていることがどれだけすごいことか」は分かっていたはずである。それでもなお、いつものスタイルは崩さず、すっとぼけ続ける。『全力!脱力タイムズ』の粋とプライドを見た思いがするのである。

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