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香港民主派の圧勝を認めない中国の異常と恐怖

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選挙で香港政府を支持した親中派は惨敗した

香港で11月24日、地方議会に相当する区議会の選挙が行われた。開票作業は25日午後に終了し、香港と中国両政府への抗議運動を支持する民主派が議席数の8割超を獲得して圧倒的勝利を収めた。香港政府を支持した親中派は惨敗した。

民主派の各政党は記者会見し、「香港政府は選挙で示された民意を直視してほしい」と訴えた。

これに対し、香港の林鄭月娥(りんていげつが)(英語名=キャリー・ラム)行政長官は「謙虚に市民の意見に耳を傾ける」と表明はしたものの、香港政府は中国政府の傀儡にすぎない。香港を領土の一部とする中国は、選挙結果を香港市民の民意が反映されたものとは認めず、今後も民主派の要求をはねつけ、学生や市民に対する弾圧は、間違いなく続く。


区議会選挙の投票所となった新界地区・沙田の公民館(奥)周辺で、長蛇の列をつくる香港の有権者=2019年11月24日、香港 - 写真=時事通信フォト

共産党機関紙の人民日報は論点をすり替えて報道した

その証拠に共産党機関紙、人民日報(電子版)は25日夜、民主派の圧勝と親中派の大敗には言及せずに選挙の終了を伝え、「一部選挙区で選挙民への脅迫や投票妨害があった」と選挙の公平性に問題があるかのように論点をすり替えて報道した。

民主派は6月16日の200万人が参加したデモから次の5大要求を掲げ、香港、中国の両政府に対抗している。

(1)逃亡犯条例改正案の完全な撤回
(2)デモの暴動認定の取り消し
(3)警察の暴行を調査する独立調査委員会の設置
(4)抗議活動で身柄を拘束された仲間の釈放
(5)民主的な行政長官選挙の実施

中国政府は民主主義の原点である選挙結果を無視する。共産党による一党独裁国家の悪行そのものだ。民主主義の確立した国では、選挙の惨敗がそのまま政権の交代に直結する。民意を無視する中国の態度は、日本や欧米の国々から見たら「異常」としか思えない。

天安門事件の「大量殺人」を繰り返してはならない

しかも中国政府は、30年前の1989年6月に北京の天安門広場に軍隊を出動し、実弾の発砲や戦車の走行などによって民主化を求めて抗議活動を続ける多くの若者たちを惨殺した。天安門事件だ。この事件を調べてまとめたイギリス外務省の公文書には「1000人から3000人の死者を出した」と記されているが、中国政府は「死者319人」としか発表していない。

香港で抗議活動を続ける学生や市民に中国政府がいつまた牙をむくか分からない。中国は「恐怖」そのものである。

天安門事件の悲劇を繰り返してはならない。学生たちが過激な活動を続ければ、中国側に軍隊出動の大義名分を与えることになりかねない。暴力的行動は慎むべきである。

中国政府の意を受けた人間が民主派の若者に成りすまし、公共の建物などを破壊しているとの情報もある。国際社会の批判をかわして武力で民主派を押さえ付けることの正当性をアピールする魂胆なのだろうが、中国ならやりかねない。

中国の大量殺人を防ぐためにも、国際社会が香港の民主派の活動を後押しして中国政府に強い抗議の意思を伝えるべきである。

民主派が区議選で過半数を制するのは初めて

香港メディア「香港01」の集計によると、投票率は71.23%で香港返還以来、最高となった。

獲得数は全18区計452議席のうち、民主派は385議席、親中派が59議席をそれぞれ獲得した。民主派は改選前の3倍超にまで増やし、親中派は5分の1まで議席を減らした。民主派が区議選で過半数を制するのは、1997年の中国返還以来、初めてのことだ。

香港政府トップの行政長官を選ぶ1200人の選挙委員は、香港の政財界の有力者からなる。大半が親中派だ。

この1200人のうち117人は区議の互選で決まる。民主派はこの区議枠をすべて手に入れることになる。2022年に予定されている行政長官の選挙で強い影響力を持つはずだ。

中国にとっては一党独裁政権の維持が最重要

香港基本法は、行政長官選出について「選挙または協議」と定めている。危機感を持った中国政府は2022年に行政長官の選挙を行わずに、形だけの「協議」、つまり中国の国家権力で行政長官を任命してしまう可能性が出ている。

このため香港のメディアによると、林鄭氏の退任論が再浮上しているという。

中国には民主主義など存在しない。高度な自治を香港に認めた一国二制度の継続も怪しい。中国には、香港から民主派勢力を一掃して一党独裁政権を維持することが何よりも重要なのである。習近平(シー・チンピン)政権にとって林鄭氏など、どうにでもなる。

朝日社説は「自由と自治を尊び、力の介入は慎め」と中国に要求

新聞各紙の社説は、11月26日付で一斉に香港区議会選挙での民主派の圧勝を取り上げた。革新の朝日や毎日はもちろん、保守の読売と産経も民主派の勢いを歓迎し、中国政府を批判している。

朝日社説からのぞいてみよう。

「逃亡犯条例改正案に端を発したデモが本格化してから5カ月あまり。市民生活や経済への影響は長引いている。しかし、それでも有権者の多くは民主派の要求を支持したのである」

「生活ができない」と香港を去る市民も出ているというが、香港の未来のために中国の弾圧と戦おうと残った市民たちが民主派の立候補者を支持したのである。

朝日社説は書く。

「香港では5年前にも、『雨傘運動』と呼ばれる若者らの街頭行動がおきた。当時も市民の支持がわき上がったが、これほどの広がりはなかった」
「あのときよりもいっそう深刻な対中警戒感を市民に植え付けたのは、香港政府の背後にいる中国政府自身である。北京からの露骨な威圧こそが香港人の不安をかき立てている」

「北京からの露骨な威圧」が「香港人の不安」を膨張させているのだと、沙鴎一歩も思う。さらに朝日社説は訴える。

「民心を圧力で従わせることはできない。香港に対し中国政府がやるべきことは、民意を謙虚に読み、『一国二制度』の原則に立ち戻ることだ。香港の自由と自治を尊び、力の介入は厳として慎むべきである」

かつて中国寄りだった朝日社説が「自由と自治を尊び、力の介入は慎め」と中国に要求している。それほど香港市民に対する中国の振る舞いは「異常」で「恐怖」なのである。

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