
BLOGOS編集部
「地球温暖化」という言葉は時代遅れ
私たちが環境問題、気候変動について話す時、まだ日本では「地球温暖化」という言葉をよく使います。これは英語にすると、グローバル・ウォーミングですが、世界ではいまグローバル・ウォーミングという言葉はほとんど聞かれなくなりました。むしろ、気候変動、クライメット・チェンジ、この言葉を当たり前のように使いますが、この言葉も、もう今年あたりから変わってきたと感じています。それは、気候変動から、気候危機、クライメット・クライシス、それくらいの機運が出てきています。
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ちなみに、世界的に有名なアーティストのコールドプレイは最近、ワールドツアーを中止しました。飛行機に乗るとCO2排出が大きくなるから。そういった取り組みがみなさんがどう思うかは別としても、そういう取り組みが確実に出てきていることは、間違いないと思います。
ちなみに私は、ひとりがそういう行動を取って多くの人が目覚めるということも大事だけれども、ひとりが100歩いくよりも、100人が1歩歩みだすことをどうやってできるか?ということも、環境大臣としてすごく大事なことだと思っています。また日本の強みは一度決めたらみんなでやる、社会全体が変わっていくという点。まさにソーシャルイノベーションが起きやすいという強みがどう発揮できるかということも考えています。
日本では9割の砂浜が将来消える
私も環境大臣になるまで、正直言ってここまで本当に毎日このことばかり考えることはありませんでした。ただ、今、すごく思うのは、このままいけば、今から30年後の2050年には、海の中が魚よりも海洋プラスチックごみの量が多い海になる。そしてこのままいけば、パリ協定の目標が達成できないことになれば、2100年の日本の9割の砂浜がなくなります。
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来月のCOP25(気候変動の枠組み条約の第25回目の提案国会議)でテーマにもなり、世界でも大きな地球規模の課題として捉えられているテーマが、海洋プラスチックごみの問題です。
この分野は、日本はいま先頭を走っていると言っても過言ではありません。そのひとつはG20の20カ国で今年開催された大阪サミットで、2050年には海に流れていくプラスチックごみに追加的な汚染をゼロにする、これでG20の合意を取ったことです。
また、この前週末に日本と中国と韓国の3カ国の環境大臣会合を開催しましたが、重要な議論のテーマのひとつがまさにこれ海洋プラスチックごみの問題でした。

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中国が前向きな関与をし続けてもらえるには、どのようにするか。北九州で開催しましたが、中国が前向きにこの海洋プラスチックごみに対して今後も取り組みを続ける、そして、日本と中国でも共同の調査などもやっていくというコミットを引き出すことができたのは、間違いなく前向きな成果だと思っています。
現実を見れば、みなさんも各地域で見たことがあると思います。これは山口県、長門市の海岸の状況です。これは長崎県対馬市で流れ着く韓国語が主に見られる海のゴミの状況。

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プラスチックごみを飲み込んでしまった亀から取り出すの動画を流す(BLOGOS編集部)
ビニールの袋に絡まった亀。そしてアホウドリの胃袋を開けたらプラスチックのごみが出てくる。親鳥がエサとまちがえてプラスチックごみを食べ、それを吐き出してひな鳥に与える。ひな鳥はエサだと思って食べて喉をつまらせ死ぬ。そういった状況も起きています。
私は来月1月に自分の子どもが生まれますが、30年後、30歳に子どもがなったら、海はプラスチックごみのほうが多い、魚よりも。そういう未来は残したくないなと心から思ったし、海のない砂浜もない、横須賀を見せたくないなと。そういう思いは、私をいま動かしていますね。何かみなさんにとって、少しでも考えるきっかけになれば幸いです。
水道水とペットボトル水のコストは1000倍
すでにやっているところは政府よりも先にいっています。来年からレジ袋の有償義務化の方向で進めています。コンビニ、スーパー、ドラッグストア、あらゆるところでやっていきます。しかしもう、イオンなどはかなり前からやっています。スターバックスも様々な取り組みを進めていて来年の1月から紙ストローだということも言っています。先日、京都の亀岡市の市長とお話したら、来年なんと、全国で唯一レジ袋禁止条例を出されるということでした。たまたま私が使っているこのマイボトルと同じタイプを市長が持っていて「市長も同じですね」と言ったら、「京都の亀岡は水がおいしいんです、しかも安いんです」と。いくらですかと言ったら、2円しないんじゃないですかと。500ミリのペットボトルのサイズです。

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一人ひとりができること、そして一人ひとりの企業のみなさんができること、自治体のみなさんができること。その全体をしっかりと前に進めていくことができるような後押しを環境省はしっかりやっていきたいと思いますので、ぜひともにソーシャル・イノベーションを実現していきましょう。