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「若者のテレビ離れ」、企業の“延命治療”とコンテンツの問題を一緒に語るな 堀潤氏

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 『若い世代でテレビ離れ進む 約1割「見ていない」―時事世論調査』ー。11月25日、時事通信社が「テレビに関する世論調査」の結果についての記事を配信した。娯楽の多様化やインターネットの普及による“若年層のテレビ離れ”が指摘されて久しい中、この調査でも、そのことを裏付ける数字が並んだ。他方、ニュース番組や報道番組への期待を示す結果も出ている。ジャーナリストの堀潤氏は、この記事をどう読み解いたのか。

 前回よりも約6ポイント下がっているとはいえ、「好んで見る番組」最多が「ニュース・報道番組」(75.8%)だったとのことで、「ニュース・報道でのテレビへの期待が高かった。」と記事では結論付けています。では、その期待に応えるにはどうすればいいのか。若者は社会に関心が無く、無知だ、というようなレッテルを貼っり、おもしろさ、わかりやすさを第一に考えた安直な演出をしがちですが、そういうことは一刻も早くやめるということだと思います。

 僕が若い人たちを取材をしている中での実感では、東日本大震災やグローバリゼーション、経済格差などの中で生まれる社会問題に日々向き合いながら生きている彼ら・彼女たちの方が、浮かれた大人たちよりもよほど危機感を抱いているし、より現実的で具体的な問題解決の手段を求めています。加えて、様々なコミュニティにも触れているので、多面的な見方ができる。

4年前にBBCが日本に進出した時にも、“若者たちの国際ニュースの感度は上がっている”との見方を示していましたが、実際、そうだと思います。海外の状況と日本とを比較して、これからのことを考えていますよね。そうした問題意識に、都会も地方も違いはありません。例えばローカル局の記者さんの方が、キー局の記者さんよりも、そうした点に自覚的だと感じています。

 もちろん番組づくりをする上では、何かしらのストーリーが必要になってくるので、ステレオタイプで尖った“若者代表”がピックアップされやすいのは仕方ありません。ただ、“名もなき誰か”の声はもっと大事にした方がいい。街頭インタビューも、VTRを作る上での“使える素材”を集めるだけになってしまっていますよね。“20秒くらいで、賛否両論ありますよ”的な感じを出そう、というように。

 ニコ生主とか、YouTuberだって、そういう“名もなき誰か”ですよね。しかしテレビ業界の人たちは、それをちょっと馬鹿にして見ている節があります。僕もNHKを退職して独立したとき、同業者からは“ジャーナリズムじゃないよね”“素人芸だよね”などと言われました。そのような、ある種の“選民思想”、“権威主義”みたいなところがテレビに対する不信感を強くさせていると思いますね。

あれから10年近くが経った今、“ネットを使った視聴者とのタッグが欠かせない”とか言っているし、なにか事件が起きると、素人のTwitterに群がるじゃないですか。僕の持論は“街頭インタビューこそニュースの現場”なので、参院選の前には、あちこちで街頭で声をかけ、話してもらう様子をとにかく2時間、ライブ配信してみるということを試しました。若い人たちは真剣に政治のことを考えていましたよ。

 それから、僕は香港に度々足を運んで現場の映像を撮り続けていますが、テレビ局の方々に「最前線の映像はSNSにアップされた動画ばかりなので助かります」と感謝されるんですね。「ありがとうございます、どうぞ使ってください」と言って、使用料も頂いていますが、本音では「いやいや、資本力ではそちらの方が強いのに、なんなんですか?」と言いたいんですよ(笑)。

 かつて同僚だったNHKのあるカメラマンも「現地に行ったほうが良いなあとは思ってるんだけど、なかなか身動きが取れないしね」と話していました。「フリーランスだったらすぐに行けるけれど、今日はどこで何時から撮影っていうことが決まってるし」と。そういうところを一つずつ改善して、それぞれがちゃんと取材をし、そして回収する、ということを改めて実践すれば、それほど悲観的になる必要はないのにな、と思います。

 なぜなら、テレビに流れているニュースコンテンツが必ずしもダメなものばかりではないと思うからです。結局、Yahoo!ニュースを見たって、SNSのトレンドで盛り上がってるのだって、元はと言えばテレビのコンテンツばかりじゃないですか。違法にアップロードされたものも含めて、みんなSNSやYouTubeで番組の映像を見ていますよね。

つまり、既存のテレビコンテンツのアプローチそのものはそんなに間違ってはおらず、むしろネットによって表現や手法のバリエーションが増えているからこそ、淡々とした、つまらないものでも良いじゃないか、という僕の活動も成り立っているわけです。見たことの無いものを見たい、本当のことを知りたい、そういうニーズが失われていないわけですから、そこに誠実に答えていればいいのです。

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