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音楽プロデューサー・佐久間正英氏が語る「音楽業界の危機的状況」

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東京・中目黒にある青葉台スタジオ。ここで数々の名盤が録音された。
東京・中目黒にある青葉台スタジオ。ここで数々の名盤が録音されています。 写真一覧

「違法DL刑事罰化」の議論もいずれ笑い話に

—編集部の私達は30歳前後ですので、記録媒体としてはCDが主流の世代です。リスナーとしては、配信が主流になって、音楽自体はデータになってしまったので、ジャケットやブックレットへの思い入れや、それが棚に並んでいたりすることがなくなってしまったことを少し寂しく感じたりもします。今回のエントリの反応の中にも、CDから配信になったことに触れた意見がありました。

佐久間氏:それは過渡期現象であって、例えば、アナログ盤からCDになっていく時に、ジャケットが小さいのじゃアートは表現できない、ジャケットはあのサイズが楽しかった、そういう意見はありました。

ダウンロードなんてのも一過性のもので、あんな面倒くさいことをしたくないわけですよ。昔の人はFMでエア・チェックして、で、それを楽しみにしたんですけど、それは音楽を聴きながらだから楽しめる。ダウンロードっていうのは音楽を聴いていないから、楽しいことでもなんでもなくて面倒くさい。

もっとインフラが整備されて転送・通信速度が上がれば、ダウンロードではなく、ストリーミングに向かって行くと思うんです。

ダウンロードっていうのは個人間のやりとりくらいになると思うんですよ。そういう場合でもほとんど、Dropboxに象徴されるようにPCの中にたくさんのデータを入れておくような時代は遅かれ早かれなくなるのかなと思います。

そうすれば権利も含めて管理もしやすくなるし、違法ダウンロードだのなんだのって今言っているのがナンセンスな課題だったねって、笑い話に必ずなるんじゃないかと思うんですよ。

—データがどこにあるかの問題ではなくなりますからね。

アナログからCDになって音が悪いとか、CDからMP3になって音が悪いとかっていうのも、全てインフラの未整備とか、そういう技術的な問題だと思うんです。過渡期現象における貧困な感じです。

例えば、わざわざMP3にコンバートしちゃうのはデータ転送速度が遅いからなんだけど、音楽を作っている現場では、もっと高いレートでやっている。それをそのまま出せればいいんですけど、インフラがよくなれば必ずいい音の配信になる。しかも、いずれは必ずCDよりもいい音で配信できる。

デジタル化していくという問題は、実は技術の発達の問題だと思うんですよ。僕は今DSD(Direct Stream Digital)と言う方式でやっているのですが、本当は全てDSDに向かうべきだと思いますよ。まだ転送速度の問題だとか技術的にまだ現実化できないだけで。

—いずれ、本当の生演奏に近い音で聴ける日が。

佐久間氏:必ずくる。僕らが音楽を作っている。それをミキシングの人がDSDにする。ミックスしてDSDに落としたものをDSDプレイヤーを持っている人が聴けば、全く同じ音を聴ける。DSDっていうのは距離感から何からそのまま入るので。

—最初の話に戻りますが(笑)、そうなると、やはり佐久間さんがご自身のエントリで問題提起された、スタジオの”職人”の技術は、むしろこの先必要になってくるわけですね。

佐久間氏:とても大事なんですよね。

—そうすると、せっかく、もうすぐとてもいい音で聴けるような環境になる手前に、そこで文化が途絶えてしまって…

佐久間氏:特に日本の場合はそうなる。

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