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火葬後の人骨解説を「やめてくれ」と思う人たち

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「ここは喉仏ですね」「病気だと骨がもろくてあまり残らないです」。火葬場でのお骨揚げの際、係員が「人体解説」をすることがある。これについて朝日新聞の「声」欄で「裸を見られているようで安らかな気持ちになれない」といった意見が寄せられ、議論になっている。朝日新聞からコメントを求められたジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は「気持ちはわかるが、火葬場職員のプロ意識にも思いを巡らせてほしい」という——。


朝日新聞(2019年10月13日付)に掲載された「骨揚げ」の投書 - 撮影=鵜飼 秀徳

お骨揚げ時の“人体解説”はプライバシー侵害なのか

先日、朝日新聞からユニークな依頼があった。読者投稿欄「声」でコメントを寄せてほしいという。事の発端は、10月13日付同紙にて、「お骨揚げでプライバシー配慮を」というタイトルの投書が寄せられたことによる。

そこには、「プライバシー侵害の最たるものに、火葬場でのお骨揚げがある。(中略)係員はお骨を前に、これは身体のどこの部分だとか、このような病気だと骨がもろくてあまり残らないなどと説明していた。丁寧な応答は理解できるが、病歴や骨格などには触れないでほしい」と書かれていた。

「裸を見られているよう」“人体解説”を拒絶する人々の言い分

担当記者さんが言うには、この投書に対し、読者から賛否の意見が多数寄せられたというのだ。11月20日付同紙に掲載された内容の一部を紹介しよう。

「背骨全体にチタンが入っている。数多くのボルトも。病歴に踏み込んだ説明をされるのは、裸を見られているようで安らかな気持ちになれない」(一部、東京都、55歳)

「晩年の伯父は闘病生活を余儀なくされ、ほとんど見舞いに行けなかった私は心のどこかで申し訳なく思っていました。しかし、お骨の説明を受けて伯父の病状を知ることができ、生前の様子も想像できました。形ばかりの静かなお骨揚げではなく、伯父が生きた証しを知ることができたお骨揚げは、私にとっては貴い時間でした」(一部、東京都、48歳)

「散骨や樹木葬も珍しくなくなった昨今ですから、今さらとりたててお骨の説明うんぬんで騒ぎ立てるほどのことではないのかもしれません。でも私自身が『お骨』になる時のことを考えると、説明はご遠慮したいと思います」(一部、群馬県、66歳)

「お父さん。80年間、よく頑張ったんだね」と思う人も

「『ここは体のどの部分です』と言われたとき、『お父さん。80年間、よく頑張ったんだね』と感慨に近いものがあふれてきた」(一部、熊本県、54歳)

拾骨時の「人体解説」について違和感を感じ、異論を唱える人が出てきたなんて。現代社会を投影したような話ではないか。かつて死後の始末は、「イエ」「ムラ」といった共同体に委ねたもの。それが、「私」が理想とする死を求める時代になったのだ。骨揚げの意識の変化は、現代人の死生観を浮き上がらせる。

火葬後拾骨において、東日本では全部の骨を拾って骨壷に納めるが、西日本では一部の骨しか拾わない。これは2019年1月13日の本コラムで触れた通りである。その拾骨の際、たいていは火葬場の職員が立ち会う。


骨壷の種類(全部拾骨の関東は大きく、一部拾骨の関西は小さい) - 撮影=鵜飼 秀徳

「大きな骨は大腿骨」「喉仏が座禅している仏様のように見えます」

拾骨の一般的な手順を紹介しよう。まず先に喉仏だけを脇に寄せて他の骨と混じらないように配慮し、足元から順に拾い、骨壷に納めていく。その際、遺族ふたりが向かい合って2本の箸で一緒に遺骨を拾っていく地域と、個別に拾っていく地域とがある。

この時、職員が「ひときわ大きな骨は大腿骨です」「第二頸椎、いわゆる喉仏が綺麗(きれい)に残っていますね。座禅している仏様のように見えます」などと説明してくれることが多い。最後に喉仏を納め、その上に頭蓋骨で“蓋(ふた)”をして骨揚げが終了する。

何度も葬式を経験している人にとっては、「そんなものかな」と深く考えることはないかもしれない。しかし、拾骨に慣れていない人は、あたかも医学教室のような光景に驚き、中には「滅多(めった)にない機会だ」と感心したり、中には投書のように違和感を覚える人もいたりする。

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