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日韓GSOMIA破棄計画 周到な準備

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▲写真 韓国・文在寅大統領(2019年11月25日 韓国・釜山)
出典:青瓦台ホームページ

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

【まとめ】
・文政権のGSOMIA破棄作戦は挫折。再び北朝鮮の期待裏切る。
・中国とも内通。反日扇動で破棄目指すも、米は「反米援北」と看破。
・米国はすでにGSOMIA延長を既成事実化。日本は冷静な対処を。

韓国青瓦台(大統領府)の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は11月22日午後6時、記者会見を開き、23日午前0時に失効期限が迫っていた日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、協定終了通告の効力を停止すると発表した。文政権のGSOMIA破棄作戦はついに挫折した。北朝鮮は5月29日、「南(韓国)当局は、戦争協定(GSOMIA)の破棄という勇断をもって、意志を見せるべきだ」として、文在寅に催促していたが、再び期待を裏切られることになった。

日韓GSOMIA破棄は文大統領の「反米援北」策

文在寅大統領の「日韓GSOMIA(以下GSOMIA)破棄作戦」は、南北関係第1主義政策に基づく米韓日協調分断路線から出たものである。文在寅大統領は執権する前、朴槿恵政権末期の2016年12月にすでに「(GSOMIAの締結は)国民的議論なしに拙速に推し進められ、再検討の必要がある」と述べ、GSOMIA破棄の考えを明らかにしていた。

しかし、GSOMIAは、朴槿恵政権が独自に進めたものではない。米国の東アジアとインド太平洋戦略の一環として、米国の肝いりで2016年11月23日に締結された協定だ。そこでの情報共有は、韓国に配備されているTHAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)とも密接に連携されている。従ってこの協定の破棄は、米国の戦略に対する公然たる挑戦となる。韓国が米国との協議もなく簡単に破棄できるものではなかった。そこで文政権は、反米色を消し日本との紛争という形でGSOMIA破棄を推進する策を講じることにした。

▲写真 THAADミサイル。日韓GSOMIAは米国の肝いりで締結され、THAADとも密接に連携する。
出典: Flickr; Mark Holloway

・ GSOMIA破棄のための反日扇動開始

GSOMIA破棄のための反日世論扇動は2015年12月末の「日韓慰安婦問題合意」破棄と合わせて本格的に進められた。そして朴槿恵前大統領時代に「徴用工問題」判決にかかわった大法院判事らを逮捕投獄し、文政権の意のままになる金命洙(キム・ミョンス)を地方裁判所からの破格の抜擢で大法院長に据え、昨年の大法院「徴用工賠償判決」を誘導して日本政府を挑発した。そればかりか、その延長線上で1965年に締結した「日韓条約」まで揺さぶる行動に出た。

▲写真 金命洙大法院長(最高裁長官)
出典: 韓国大法院ホームページ

この問題での日本側の協議要請まで拒否した文政権は、日本政府が、7月1日に韓国向けフッ化水素をはじめとした半導体材料3品目の輸出管理厳格化を発表し、韓国をホワイト国から外すと、官製反日運動を組織して日本製品不買運動まで展開させ、GSOMIA破棄を対抗カードとして持ち出し8月22日に日本側に通告したのである。この時期を選んだのは、曺国スキャンダルで窮地に立たされた文政権が、世論の反転を狙ったこととも関係している。

▲写真 曺国(チョ・グク)前法務部長官(2017年5月11日)。文政権によるGSOMIA破棄宣言は曺国スキャンダルでの世論の反転画策か。
出典: 青瓦台ホームページ

・ GSOMIA破棄準備の裏で続けられた中国との盟約

文政権のGSOMIA破棄策は中国との内通のもとに行われていた。その政策が文大統領訪中前、2017年10月末に出されたいわゆる「3NO原則」である。3NOとは、韓国外交部が「韓中関係改善関連両国間合意」発表の前日である2017年10月30日に康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が国会での与党議員の質問に答える形で、(1)韓国内にTHAADを追加配備しない、(2)米国のミサイル防衛網(MD)に加わらない、(3)日米との軍事同盟を構築しないという立場を明らかにしたことを指す。これに対して、米国政府は表面的には反応を見せなかったが、それまで築いてきた日米韓三カ国連携が公然と踏みにじられたとして警戒心を高めた。

この3NO原則は、2017年12月14日午後、北京市内の人民大会堂で行われた文在寅大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談で、朝鮮半島での戦争を容認しないなどの4原則の合意で一層強化された。こうした中国接近の背景には、文大統領の反米・反日思想と、東アジアの勢力構図を米国衰退の流れでの米中対立と見て2049年までに中国が米国を追い抜くとの認識があった。

▲写真 中国・習近平国家主席(左)と文在寅大統領(右)(2019年6月28日 大阪)
出典: Facebook; 青瓦台

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