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中学受験直前期、お父さんの「大丈夫!」が母子の不安を和らげる - 西村則康 (中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」代表)

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(Mukhina1 / iStock / Getty Images Plus)

どんな子でも不合格にはなりたくない

11月に入り、首都圏の受験生は入試本番まで3カ月を切りました。直前期の勉強は、受験校の過去問を解くことが中心になります。過去の問題とはいえ、自分が受験する学校の入試でどれだけの点数が取れるのか、それがその年の合格ラインに達しているのかいないのかという現実を突きつけられると、「このままでは合格できないかもしれない……」と不安な気持ちになることでしょう。特にこれまでお子さんの受験サポートをしてきたお母さんは、心配でたまらないはずです。

ところが、当の子どもは、まだ“自分事”と捉えることができず、この時点に及んでもマイペースで勉強をし、必死さを感じられないことがあります。特に男の子は、そういう傾向があります。そんな姿を見て、普段あまり子どもの受験に関わってこなかったお父さんが、「こんな勉強じゃあ、合格できないぞ!」と発破をかけることがありますが、これはハッキリ言って逆効果です。

経験豊富な大人と違って、子どもはまだ時間の感覚をつかむのが未熟で、先を見通す力が身についていません。大人の感覚からすると「あと3カ月しかない!」という焦りも、子どもにはピンと来ないのです。

でも、「こんな勉強じゃあ、合格できないぞ!」という言葉には敏感に反応します。どんな子でもやはり不合格にはなりたくないからです。「合格できないような勉強を続けたボクは合格できないかも……」と思い始め、それが「今さら勉強をしても……」という気持ちを生じさせてしまいます。ですから、直前期はこのようなネガティブな言葉は渡さないようにしてください。お父さんからすると「おいおい、こんな調子で大丈夫か?」と思っても、子どもの前では、役者になりきって「お前なら大丈夫だ」と明るく声をかけてあげてください。そして、「今さら勉強しても……」という気持ちを強く打ち消すように明るく「さぁ、今から本気を出そうか!」と言ってあげてください。

また、不安でいっぱいなお母さんにも「あの子なら大丈夫だろう」と言ってあげられるといいですね。直前のお母さんの不安を取り除いてあげられるのはお父さんしかいないからです。

直前期は苦手を深掘りせず、
得意科目で自信を持たせる

直前期は子どものできないところが気になるものです。毎年、この時期になると、私のところには「『速さ』が苦手なのですが、何をやらせればいいでしょうか?」「過去問は何年分解かなければいけないのでしょうか?」といった細かな質問や相談があります。

中学受験において算数は、得点の差がつく重要科目です。そこで多くの親御さんは、いかにして算数で点をあげるかに力が入りがちです。特に算数入試では必ず出題される「速さ」は苦手という子も多く、これをなんとか克服させようと必死です。

子どもが「速さ」が苦手という場合、多くのお母さんは速さの3要素の基礎を見直しさせようとします。一方、子どもの受験勉強に携わってきたお父さんは、「この子は速さのダイヤグラムがまだできていないな」「面積図も怪しいな」とできていないところが気になり、「じゃあ、この問題も解けるようにしておかないとダメだな」「あれもやっておいたほうがいいだろう」と、どんどん広げていこうとします。

しかし、基礎を一から見直すことも、できないことを強化することも、この時期はおすすめしません。苦手科目(または単元)の克服は11月までと割り切って、深掘りしないことです。もし苦手な分野の大問が出たら、小問1だけ解いて、さっさと次の大問に進めばいいと言ってあげましょう。

直前期に大事なのは、自信を持たせてあげることです。苦手科目を何度もやらせ、「やっぱりわからない」「何度やっても自信が持てない」と不安な気持ちにさせるのではなく、子どもの得意な科目をどんどんやらせ、「これはもう完璧だね!」「これが解けるなんてたいしたもんだね」と前向きな声かけをし、気持ちよく勉強をさせることがポイントです。

中学受験で満点を取る子はほとんどいません。みんな何かしらの苦手を残したまま入試に挑みます。また、小学生の子どもが挑む中学受験は、当日の心身のコンディションの良し悪しが大きな割合を占めます。合格者の下1/3は、たまたまその日のコンディションがよかっただけ。最上位での合格を目指す必要はありません。パーフェクトを目指して、勉強量を増やし過ぎると、日々の学習がアタフタして確実にミスが増えます。一日が終わったときに、「その日の予定していた学習を完璧にやり切った」という爽快感が持てる量に限定してあげてください。

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