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霞が関「働き方改革」の実態=国会対応で1週間帰宅できず、ジタハラでサービス残業、妊娠中の深夜残業

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 11月27日(水)午後6時から10時まで「霞が関公務員相談ダイヤル」を実施します。


 この「霞が関公務員相談ダイヤル」と並行して、「霞が関不夜城ウオッチング」に取り組み、各省庁の実態をツイッターで発信します。

 こうした取り組みに先立ち、霞が関で働く国家公務員のみなさんに集まっていただいて座談会を開催しました。

 出席:A省Yさん(男性)、B省Nさん(女性)、C省Sさん(男性)、D省Wさん(男性)、E省Mさん(男性)、司会:国公労連・井上伸

霞が関の「働き方改革」は?

 井上 今年4月から霞が関の国家公務員にも「働き方改革」が導入されて、一般の職員には超過勤務の上限規制を月45時間以下・年360時間以下、「他律的な業務の比重の高い部署」に勤務する職員には月100時間未満・2~6カ月平均で80時間以下・年720時間以下になりました。4月以降、みなさんの「働き方」は改善されているでしょうか?

  そもそも国会対応が多い霞が関の職場は「他律的な業務の比重の高い部署」とされています。その上、月80時間、100時間という過労死ラインを超えている上限規制についても罰則規定があるわけではないので、いま行われている臨時国会の中でも残業が減ったという実感はありませんね。

  「働き方改革」が実際された4月以降もタイムカードも何もなく、出退時間が把握されていません。そういう中で、「働き方改革」の掛け声で「残業減らせ」ということだけが一人歩きして、表向きの残業申請と実際の残業時間が大きく乖離していっているように思います。実際の残業時間は減っていないのに、見かけの残業時間が減ってしまうのが「働き方改革」の正体ではないでしょうか。


  能力・実績主義の人事管理が強まっていることも大きいと思います。「残業をする職員は能力がない」などと評価されることが「働き方改革」で強まっていて、職員は自分の能力がないから仕事がこなせず長時間残業になるというような「残業は自己責任」と思い込まされている問題もあって、早朝仕事は残業じゃないなどと始発電車で早朝仕事をする職員や酷い部署は非常勤職員にも早朝仕事のタダ働きをさせています。そして、上司も「部下に残業させる上司は能力がない」とされるので残業時間を少なく改ざんしてしまうことも横行しています。



  相変わらず国会の審議日程が直前に決められて質問通告も直前なので、残業は減りようがないですね。根本的な国会運営の改善が必要だと思います。日本以外の国はそもそも国会の審議日程が最初からきちんと決められているから野党の質問通告もきちんと余裕を持って事前に出されています。

 例えば、質問通告の期限は、フランスが2週間前、ドイツが1週間前、一番短いイギリスでも3日前と諸外国では厳守されています。ようするに国会の審議日程がきちんと先々まで決まっていて、日本のように与野党での日程闘争も起きず、質問通告する側にも準備期間が余裕を持って確保されているので事前の質問通告期限も厳守できることになり、必然的に国家公務員が深夜残業をする必要がないというのが日本以外の主要国の常識になっています。

 霞が関の「働き方改革」と言っても、これまでと同じように審議の日程闘争と直前の質問通告では、台風が来ていてもどう考えたって国会対応する職員は家に帰れないということです。

世耕弘成経産大臣の下でも徹夜残業が横行

  世耕弘成さんが「質問通告が話題ですが、答弁作成については役所側にも改善できる点があります。想定問は未明に完成、大臣が早朝登庁し勉強会というのが一般的で、職員は徹夜ということにもなるのですが、私は経産大臣時代、職員に徹夜をさせないとの強い決意で、工程を抜本的に見直しました」と10月20日にツイートしています。

しかし、これは現場の職員から言わせてもらえば、世耕さんのパフォーマンスに過ぎません。世耕さんが経産大臣のときの実態は、答弁完成の締切が22時30分となりました。世耕さんが始めたルール以前は、その日やらなくてはならない「急ぎ案件」と午後や夜に急に飛び込んできた「国会答弁づくり」を、両方進めて結果的に両方終わるのが25~26時でした。世耕さんのルール以後は、「国会答弁づくり」を22時30分に終わらせて、それからその日やらなくてはならない「急ぎ案件」に取りかかり、結局帰るのが25~26時で結果何も変わりませんでした。

 もちろん、「急ぎ案件」でも翌日に延ばせるものであれば家に帰って翌日取り組むので、徹夜を抑制する効果は多少あったとは思いますが、根本的にこのルールがあったから深夜残業や徹夜がなくなったと言い切るのは無理があります。

 そもそもの業務量削減、もしくは業務量に見合った職員数の増員、そして深夜残業が生じない国会運営と質問通告ルールを整備しないと、霞が関の国家公務員の長時間残業はなくならないと思います。

 それから、世耕さんがツイートで「質問通告の遅い議員については、直近の資料要求や過去の質問、発言などから質問を予測し、事前に準備を進めておくようにした」と書いていますが、この事前準備の作業量がハンパなかったです。今も忘れない、2016年11~12月に、翌年の通常国会で厳しい質問が予定されていたので、当時経産大臣だった世耕さんから「シビアな想定問答を用意するように」との勅命が下り、200問、300~400ページに及ぶ想定問答集を作成しました。

 12月下旬に目を通した世耕さんから「これでは次の国会で耐えられない。正月休みの間に俺はみっちり勉強してくるから、もっと厳しい質問にきっちり応えていける材料を年末までに準備して!」と言われ、仕事納めの12月28日24時では終わらず、翌日の朝方まで大臣宿題に徹夜で仕事をしていた職員が数名いました。

 結局、「国会対応は22時30分までに終わらせていた」のかも知れませんが、単に別の仕事にしわ寄せされて現場の職員は深夜残業、徹夜残業をさせられていたのです。

  地方自治体から出向している職員や、地方出先職場から霞が関に異動になった職員に対して、人員削減が激しく人手がないために、仕事を引き継ぐ人員、仕事を教える人員が手当てされないことも増えています。右も左も分からないまま月100時間の残業になり残業代も払われず、その上に仕事が上手く進まない職員に対して、クラッシャー上司がパワハラを行うなども横行しています。


2日前の質問通告で徹夜残業はなくなる

  国会の審議日程をきちんと前々から決めて、少なくともイギリスの3日前の質問通告ルールを厳守すべきだと思います。私たちの要求はそれよりも更に妥協して2日前ルールを厳守してほしいということですが、2日前の質問通告を守ってくれれば深夜残業や徹夜残業はなくなると思います。

 9月27日に各党の国会対策委員長に、2日前の質問通告ルール厳守と業務に見合った職員増を要請しました。自民党、立憲民主党、共産党も基本的には受け止めてくれて、自民党の森山裕国対委員長も霞が関の国家公務員の残業をなくすことは「一丁目一番地」だと言ってくれたので、この流れを大事にして改善する方向に持っていきたいですね。


残業代が出ないことが「働き方改革」?

  4月以降は上限規制で残業時間が減るというよりも、「これからは上限規制を超えて残業しても残業代は出ないからね」と上司に言われました。国会対応はこれまでと一緒で業務量は減らず、職員は減らされているので、結局、4月以降の変化というのは、残業代が出ないということが明確になったということだけです。これのいったいどこが「働き方改革」なのでしょうか?

  4月から何か変わったかと聞かれれば、とにかく「残業を減らせ」とか、「プレミアムフライデーを積極的に取得しよう」などと上司が言うようになったということぐらいですね。でも、残業を減らせるように業務量を減らすとか抜本的に人を増やすということは何もやっていないので、掛け声だけが発せられているという感じですね。

自腹の扇風機で暑さしのぐ

  長時間残業の問題以外だと、早く改善してもらいたいのは、真夏のときの冷房ですね。私が働いている庁舎は西日がガンガン差します。冷房の設定温度が28度と決められているのですが暑くて仕事の能率も落ちる。それでどうなっているかと言うと、見かねた上司らが自腹を切って扇風機を寄贈し暑さをしのいでいるのです。

真夏に残業していても夜になると冷房を止められるので、真夏の夜の霞が関不夜城は地獄ですね。長時間残業で過労死の危険がありますけど、熱中症で命を落とす危険も感じています。自治体の職場で冷房の設定温度を28度から26度に下げたら仕事の効率が上がったとマスコミ報道されていましがら、霞が関もそれを見習う必要があると思います。現場では熱中症対策で、水を入れたバケツに足を突っ込んで仕事しているとか悲惨なことになっていますから。

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