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【香港密着インタビュー】森山未來が語った「29歳の決断」と「35歳のいま」 『男の肖像』特別編・森山未來スペシャルインタビュー - 「週刊文春」編集部

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『世界の中心で、愛をさけぶ』や『モテキ』『苦役列車』など俳優として、数々の映画、舞台、ドラマで活躍してきた俳優・森山未來。一方、2013年に文化庁の文化交流使としてイスラエルのダンスカンパニーに1年間所属するなど、近年はダンス作品にも積極的に参加してきた。芝居・ダンスと二つの領域を軽やかに行き来する森山は、今どこへ向かおうとしているのか。香港で行われたパフォーマンス制作の現場に、3日間密着した。

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滞在先近くの公園で、雲梯に上り驚異の身体能力を見せる森山(左)と辻本

 11月某日、森山未來は、ターバンにビーチサンダルといういでたちで、まだ夏の匂いが残る香港にいた。12月1日まで横浜・赤レンガ倉庫で上演される「きゅうかくうしお」新作公演『素晴らしい偶然をちらして』の制作のためである。

「きゅうかくうしお」とは、森山と、『パプリカ』などの振付で知られるダンサー・振付師の辻本知彦が、2010年に立ち上げたパフォーマンスユニットだ。当初は二人で立ち上げたユニットだが、今作は映像作家やサウンドデザイナーがメンバーに加わり、9名体制に。森山はメンバーと2週間あまり、香港にあるシティ・コンテンポラリー・ダンス・センターに滞在し、約2年ぶりとなる新作を作り上げようとしていた。週刊文春取材班は、その現場に3日間密着。週刊文春11月21日号に掲載された『ドキュメント男の肖像・森山未來』より、未公開のスペシャルカットを紹介する。

「自分たちの生活の最中で起きること」から作品が生まれてくる

――香港に来て5日ほどがたちましたが、いかがでしょうか。

森山 暑いですね。ほとんどダンスセンターに缶詰で、観光とか出来ていなかったので、昨日は一日メンバーのみんなと香港島を回れてよかったです。

――森山さんは以前から、“アーティスト・イン・レジデンス”(滞在制作)という手法をよく用いられていますが、今回香港に来た目的は?

森山 みんな東京で忙しくしている中で、こういうところに来ると、解き放たれるというか、物理的に他の仕事から遮断されるじゃないですか。作品のことだけを考えられる環境で、メンバーみんなと合宿みたいなことをすることが、大事かなと思っています。本来の“アーティスト・イン・レジデンス”の目的はそこだけではないんですけどね。

――と言うと?

森山 本当はアイデア出しくらいの段階でこういうことができるとベストだなと思っていて。たとえば、香港の町中をランニングしていて、知らない道に迷いこんでも、必ずどこかに抜ける感覚があるんです。突き当たりがないというか。それがすごく面白いなと思った。そういうことにクリエーションの早い段階で気づけると、作品を立ち上げる要素になっていきます。

でも今回は、香港から帰るとすぐに本番なので、そういうアイデア出しというよりも作品をまとめる段階に入っていかなければならないんです。ただ、そもそもそういうインスピレーションって香港だからというよりも、自分たちの生活の最中に起こる、普遍的な出来事からくるものだったりするじゃないですか。

――普遍的な出来事。

森山 つまり、香港に行ったから香港のことを説明するとか、広東語をしゃべってみるとか、そういうことではないんです。今回作品の中でネオンを使うんですけど、ただネオンを使うことには意味がない。それはただ香港が、って言っているだけなので。ポリティカルなものでもいいし、歴史的なものでもいいけど、ネオンがどういう意味を持つのか、僕らなりにネオンっていうものを捉えなおさないと、作品には仕込めないと思っています。

僕ら自身でちゃんと言葉を作り上げるための「川柳」

――今回の滞在中、毎日メンバー全員で川柳を考える時間がありました。あれは、森山さんの発案によるものですか?

森山 そうですね。今作の大きなテーマが「言葉と身体の関係性」を探ることで。僕と知さん(辻本知彦)の二人だけなら、二人の会話をそのまま身体表現に落とし込んでいけばいいですけど、メンバー9人による膨大な量のダイアログを、作品に使っていくことを考えると、散文詩じゃ難しいと思いました。直接の会話の他にも、メールやスカイプのやりとりなど、色々な言葉が飛び交っている中で、改めてみんなで言葉を紡いでみようとなった時に、形式がないのがちょっと恐ろしかった。

 かといって、季語が入る俳句とかになってしまうと、僕らも経験値があるわけじゃないですし、9人みんなが表立った表現をすることにオープンな人たちでもないので、どうしても大変になってしまう。連歌とか作れたらすごく格好いいなといつも思うんですけど、ああいうのは言葉をもっともっと突き詰めないと出てこないから。ある程度形式はあるけれども、頭を抱え込ませず出来る、というところで川柳を始めました。

――9人を繋ぐものが、川柳だったということでしょうか?

森山 というよりは、「言葉と身体の関係性」を探っていく時期に、僕ら自身でちゃんと言葉を作り上げてみるのはどうだろうという話になって。それが川柳だったというわけです。

――オフ日は、アートギャラリーを中心に街歩きをしていました。海外へ来た時は、ギャラリーを回ることが多いのでしょうか?

森山 海外で時間がある時は、だいたい美術館やギャラリーに行きますね。最近舞台とかコンテンポラリーダンスとかを見る習慣が少しずつ減ってきていて。何かを見たいと思ったら、だいたい映画か美術館に行きます。実際、映画や美術の方が、“時代性”がよく現れている作品が多いです。それは、僕らの作品でも意識したいし、実際アート作品から感じたことが、僕らの作品に還元されることもあります。

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