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改良復旧という考え方

 この秋は台風15号による風の被害、19号による雨の被害が相次いだ。昨年も関西から西日本にかけて未曾有の風水害を経験している。特に19号による水害は地元栃木県はじめ、茨城、長野、福島、宮城など広範囲にわたって発災してしまった。地球温暖化の影響がこのような形となって現れ、これからも我々を脅かすのではないか。

 栃木県や茨城県、福島県では4年前の9月、台風の影響による線状降水帯が長く一箇所にとどまり、「関東東北豪雨」に見舞われている。その際に決壊や越水を起こした河川も、今回同じような箇所で被害が出てしまった。単なる「復旧」では、今後も頻繁に襲うであろう豪雨によって、被害が常習化しかねない。

 そこで少し費用はかかるかも知れないが、「改良」復旧という新たな事業が必要になってくる。郊外を流れる河川においては堤防の補強やかさ上げが必要だ。都市部を流れる河川では、用地の不足や景観の問題、市民生活への影響もあり、容易に堤防かさ上げとはいかない。そこで川底の掘削により流量を多くして、越水を防ぐ方法もある。しかし下手に掘削をして、下流域にかえって被害を拡大させてしまうこともあるので、技術的検討が欠かせない。

 また古くからある手法だが、上流に遊水池や貯留池を作って流量を調節することも、ダムほどの力はないが有効な手段である。栃木県南部にある渡良瀬遊水地は特に大きなものだが、今回も下流域の水害を未然に防いだ可能性がある。埼玉の中川や古利根川流域に作った地下の巨大貯水施設もその典型である。ただし広い敷地の確保が課題である。

 「100年に一度」とか「未だかつて経験したことのない」という形容詞が付く激しい豪雨は、これからも頻繁に起こりうる。その度ごとに河川が決壊したり越水を起こしたりでは、市民生活が成り立たなくなる。これからは単なる復旧でなく、思い切った「改良」復旧により、災害に強い国土作りを目指すべきである。

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