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- 2019年11月26日 10:10
【台風19号水害】〝待機組〟は1000世帯超、進まぬ「民間借上げ住宅制度」の手続き。そもそも門戸狭く、ハードル高い冷たい制度。市町村職員も疑問視
2/2【救済されぬ受付開始後の自己契約】
制度の問題点はまだある。10月下旬から各市町村で受付が始まったが、受付開始前に被災者が自力で物件を探して契約まで済ませた場合には遡って制度の対象となるが、受付開始後に自己契約した場合には「自らの資力をもって住居を確保することができた」とみなされて、制度を利用出来ないのだ。
この点について、福島県借上げ住宅チームの担当者は、「市町村が窓口を開設するまでの間は借上げ住宅を利用したくても出来なかったという状況になるので、窓口開設の前日までにやむを得ず自己契約したものに関しては救済させていただくしかないのかなという判断です」と説明する。福島県が10月23日に発表した「令和元年台風第19号に伴う災害に係る福島県借上げ住宅実施要綱」第9条3項に次のような一文があり、これが根拠となっているという。
「令和元年10月12日以降、本実施要綱施行後、市町村において受付を開始する時までの間に、第3条の入居対象者が、既に別途契約して民間賃貸住宅に入居している場合においても、第4条及び第5条の要件を満たす場合には、本事業の適用にあたり個別協議とする」
担当者は「情報はオープンにしていますし、不動産屋さんもわかっていると思います」と話すが、受付開始後の自己契約を対象に含めない理由を質すと歯切れが悪くなった。「県の方でそういう考え方に立ったという事でして…。確かにご意見としては分かりますが、なかなか変更するというのも難しくて…」。弱者に冷たい内堀県政の一端が垣間見える。
被災者と実際に接している市町村の担当者も筆者と同じ疑問を抱いている。ある自治体の担当者が明かした。
「実は、受け付け開始後の自己契約も対象に含めるよう県に相談や要望をしましたが、県の答えは『NO』でした。実際に受付開始後に自分で契約まで済ませてしまった被災者はいるんです。住まいが見つからない、親類の家にいつまでも身を寄せられないとやむにやまれず自力で契約した被災者は実際にいるんです。でも、そういう方々は支援からこぼれてしまうんです」
政党「れいわ新選組」の山本太郎代表は今月16日、郡山駅前で行った街頭演説後の囲み取材で、水害被災者に対する国や福島県の対応を「お粗末」と表現した。「民間借上げ住宅制度」も、お粗末な被災者支援の1つのようだ。
(了)
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



