- 2019年11月25日 17:26
24時間テレビに唯一足りないのは「ゴール」である
2/2■どんなゴール設定が必要か

さて、話は戻って「ゴール」の問題です。日本テレビホールディングスのCSRウェブコンテンツでは、「4つの約束」という行動指針を掲げています。CSRではこれを「重要課題(マテリアリティ)」と言います。社会貢献活動において注力すべきカテゴリ選定とご理解ください。「4つの約束」を見る限り、抽象的でどうにでも解釈できるような文言が並んでおり、24時間テレビのゴールとは言えなさそうです。
では他にゴールになり得るような考え方があるかというと…ウェブサイトからは確認できませんでした。CSRコンテンツにはニュースリリース以外、本来開示すべき情報がほとんど掲載されていません。もったいない。テレビ業界のCSRではフジテレビの情報開示が一歩進んでいます。昨今のステークホルダー(利害関係者)のほとんどはウェブサイトから情報収集をするので、もっと情報を充実していただきたいです。
NPOや官公庁ではなく、民間の上場企業(実運営は別組織)が寄付を集めるのであれば、投資家への説明責任を含めて、来年以降もっといえば数年後に、どんな価値をこの番組で生み出すのか、その先にどんなゴールを見据えているのかを発信すべきです。前述のインタビューでは、24時間テレビは「コンシャスネス・レイジング(社会問題への意識改革)」のため、ということが言われています。しかし、社会問題について関心をもってもらった先にどんな未来を作れるのかを明確にしないと(手段の目的化)、様々な解釈が生まれてしまい、制作意図がうまく伝わらず誤解が生まれ、その一部が批判となり毎年話題になるのだと思われます。
24時間テレビに足りないのは「理念/ゴール」なんです。これがNPOであれば、寄付金を自社の社会貢献プログラムに使います、でいいのですが上場企業はそうはいかない。基本的に営利組織なので寄付金が生み出した付加価値(企業価値)を明確にする必要があります。
ですので、CSR分野でいうゴールとは、自社の目標というよりは、様々なステークホルダーを含めて、社会全体としてこういう未来のために、番組制作というコミットメントをしています、というようなものが理想と言えるでしょう。CSRや社会貢献活動のゴールに関しては、日本テレビだけではなく、中小企業を含めたすべての企業においても重要な概念ですので覚えておいてください。ゴールというとイメージしにくければ「大義名分」でも良いです。24時間テレビでいえば「その番組の大義名分はなんだね」と。
最近はゴールに近い概念として、自社の将来的なあり方である「パーパス(存在意義)」というワードを使う企業も増えています。ワーディングは企業ごとに使っているものでよいので、明確なスローガンを作りましょう、と。この辺りは、前述した社会貢献支出額ランキング上位企業は明確に定め開示しているので、興味がある人は各社のウェブサイトのCSRコンテンツをチェックしてみてください。
■ポジティブな波を起こす
非上場企業であれば関係ないですが、上場企業であれば「ESG投資」(環境貢献や社会性などで企業評価し投資する方法)の対象でもあります。寄付などの慈善活動(フィランソロピー)は、評価機関によるCSR/ESG評価では下手したらネガティブ評価をされる可能性もありますので、その活動の意義・意味を明確に情報開示する必要があります。
ぜひ日本テレビは、社会的インパクト拡大を含めて継続することだけを目標とせずに、活動のゴールを明確にし、より多くのステークホルダーを巻き込んでいきましょう。スポンサー企業も自社のCSRやSDGs関連の課題と近い活動だとより予算もつけやすいと思います。24時間テレビは、とても良い活動だと思いますので、ぜひ大きなゴールを掲げ、スポンサー企業も個人寄付者も投資家も、みんなをポジティブに巻き込みながら、日本が誇るチャリティ番組として2020年も盛大に「コンシャスネス・レイジング」を進めていただければと思います。
そしてこれは日本テレビだけの問題ではなく、多くの企業にとっての課題だとも感じています。あなたがお勤めの会社・団体では、社会やステークホルダーに対して、明確なメッセージを発信できていますか?
※Yahoo!ニュースからの転載


