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GSOMIA失効回避を「外交の勝利」と自画自賛の韓国、国内世論は大荒れ中 - 菅野 朋子

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「(韓国)政府はいつでもGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の効力を終了できるという前提のもと、2019年8月23日のGSOMIA終了通告の効力を停止させることにした」(韓国大統領府)

 11月22日、失効6時間前の午後6時。韓国はGSOMIAの失効回避を発表した。


文在寅・韓国大統領 ©Getty Images

「日本による輸出規制は撤回?」当日の報道は混乱

   当日、発表を生中継していたテレビでは、日本による韓国への輸出規制が撤回されたのか否かについての確認に混乱も見られた。韓国政府は冒頭の後に、「韓日間の輸出管理政策についての対話が正常に進められている間は3つの品目についての輸出規制に対するWTO提訴の手続きを停止することにした」と続けていたが、輸出規制撤回が即時でないことが分かると、落胆を隠せず、不満を漏らしたニュース番組もあった。

 ただ、GSOMIAをいったん維持したことについて韓国メディアは概ね肯定的な雰囲気。しかし、保守派と進歩・革新派では当然ながら温度差が。

 中道・保守系紙からは韓国政府への批判と米韓同盟を憂慮する声が続いている。

「GSOMIAは生かしたが、韓米関係は最悪」

 中央日報は、「韓米同盟の信頼に傷を残したことは痛い」(社説、11月23日)とし、「GSOMIAは生かしたが、韓米関係は最悪」(同25日)と外交・安保専門家21人に緊急アンケートを行うなど、米韓関係を強く憂慮。

 朝鮮日報は「無能外交、国辱」(社説、11月23日)と韓国政府を猛烈に批判し、GSOMIAが単純に日韓の協定ではなく、米国のインド・太平洋戦略の基本の枠組みであるとその重要性を説きながら、「終了延期ではなく、(終了)撤回を宣言すべき」とし、この事態を招いた青瓦台関係者を問責した。

 中道系紙記者もこう嘆息する。

「支持層の反発を抑えるために、“終了通告の効力停止”というまどろっこしい表現を使って何かあればまた伝家の宝刀を抜きますよというニュアンスにしたようですが、米国の圧迫に屈した結果ですから、もう破棄通告という“宝刀”を抜けるはずがない。

 さらには、日本との対話は行うとしましたが、GSOMIA延長の前提条件と頑なに固守してきた日本の輸出規制の撤回を引き出せないまま一方的に韓国が譲歩した格好となり、また自らの原則にも背いた形にもなった。支持層からの反発は必至です。

 だいたい、最終的に米国の圧力に屈するのであれば、なぜGSOMIAを日本への対抗措置として持ち出したのか。青瓦台がGSOMIAが韓米日の安保協力体制の象徴であることを認識していなかったことからこんな混乱が生じた。愚策中の愚策でした」

政権寄りの各紙は世論を牽制

 与党「共に民主党」は、当日午前中には李海瓚代表が「GSOMIAは朴槿恵政権が締結したもので、事実上、韓国の安保において重要ではあるが必須不可欠なものではない」と語っていたにもかかわらず、発表を受けて「外交の勝利」と自画自賛。しかし、進歩・革新系紙は慎重な論調だ。

 京郷新聞は、「終了効力停止という折衷点を探し出した」(社説、11月23日)、「GSOMIA延期が日本を対話の場に引き出したと評価できる」(同25日)と重ねて評価。青瓦台関係者の「日本の輸出規制の解決のための協議が進行されている間、GSOMIA終了を暫定的に停止するという意味」という言葉を引き、「(日本の)輸出規制が解かれない場合、韓国がいつでもGSOMIA終了とWTO提訴を強行できるので、“不等価交換”とはいえない」(同23日)としたが歯切れは悪い。

 政府にもっとも近いといわれるハンギョレ新聞も条件付き延期決定をした理由について青瓦台関係者の「日本に対話の意志があったため決定した」というコメントをひいたが、「政府の発表内容が日本の輸出規制撤回を要求してきた国民の要求には及ばないという指摘は免れない」と批判。ただ、「“GSOMIA葛藤”は日本政府が提供したという事実には変わりない」とした。

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