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「不自由な国・日本への異議申し立て」 芸術家らが表現の自由訴える展覧会を開催

BLOGOS編集部

赤い涙を流す慰安婦とおぼしき像を、盾を持った無数の人間が囲む絵画。人の頭は箱型で、足元には日本国旗を彷彿とさせる血だまりが広がっている。

作成したのは東京都在住のアーティスト・木村哲雄さんだ。10月14日まで開かれた「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が一時中止に追い込まれたことなどへのアンチテーゼとして現在、東京・吉祥寺のGalleryナベサンで『不自由の不自由展~吉祥寺トリエンターレ2019』を開催。脅かされる表現の自由や現代日本の同調圧力に対する風刺を込めた作品が並んでいる。

会田誠、根本敬、北大路翼ら21人が参加 「不自由な国・日本に対しての異議申し立て」

「不自由の不自由展」開催を呼びかけた木村哲雄さん

「表現の不自由展・その後」は、慰安婦を象徴する少女像や昭和天皇の肖像を燃やしているような場面を含む映像作品などが物議を醸し、抗議が殺到。脅迫があったことなどから展示は一時中止となり、文化庁は「県の申請手続きの不備」を理由に芸術祭への補助金不交付を決めた。

今回の展示を開催した木村さんの胸のうちには一連の騒動に対する憤りがあったという。「一表現者として中止はあり得ない判断。見過ごすことはできない」。芸術家の知人たちが集う新宿・ゴールデン街のバーで「不自由な国、日本に対しての異議申し立てをしよう」と呼びかけた。

当初は十数人だった参加者は21人にまで増えた。日本政府が10月末、展示内容を理由に公認を取り消したウィーンでの展覧会「ジャパン・アンリミテッド」に作品を出した美術家の会田誠さんや、”特殊漫画家”として活躍する根本敬さんなどの作品が並ぶ。

行政と、それに同調して表現の自由を脅かす国民に対する憤り

木村哲雄「無題」(2019)

冒頭の絵画は、あいちトリエンナーレの騒動を受け問題意識を抱いた木村さんが「多くの人間がよってたかって慰安婦像を抑え込んでいる様子」を描いたもの。像を囲む人物の頭が四角であることは「融通がきかない」人間の性質を示している。「日本は隠蔽体質という側面が強い。あいトリでも慰安婦像という存在にみんなで蓋をするというイメージがありました」

展示された木村さんの他の作品にも、同調圧力や監視社会への危機感が滲む。「令和元年」と題された作品には国会議事堂と電車が描かれている。人がひしめくホームの屋根には頭が監視カメラになっているカラスが点在。木村さんは「満員電車などストレスが多い社会と、どこにいても監視カメラがある不気味さを表現した」と話す。

木村哲雄「令和元年」(2019)


木村さんが現代日本の問題点を絵画で表すきっかけの一つに、スペイン留学後に経験した「日本の窮屈さ」があるという。自由な芸術活動が許された海外から帰国し、日本の同調圧力の高さに違和感を覚えた木村さんは「インターネットやSNSが発達して便利になったぶん、誹謗中傷や自主規制の風潮が蔓延した。日本はいまだに村社会の部分があり、お互いがお互いを監視しているように感じた」と語る。それが端的に表れたのがあいちトリエンナーレでの企画展中止やウィーンでの公認取り消しといった表現の自由をめぐる騒動だった。

「行政に対する憤りと、それに同調する国民に対する憤りを感じました。芸術作品が脅迫によって展示中止に追い込まれる社会には、どうしても納得がいきません」

アーティストの力で「眠っている人」の目を覚まさせたい


展示会には木村さんの問題意識に賛同したアーティストたちの作品約30点が並ぶ。

会田誠さんは高校時代に製作したタバコの吸い殻をつかったオブジェを出品。文化祭で展示した際、学校側に撤去を命じられた背景が綴られ、初めて表現規制を受けた作品だという。造形作家のよかちょろコウタロウは、木村さんによる共作で、頭が#(ハッシュタグ)になった慰安婦像を製作。

肩口にはツイッターのシンボルを彷彿とさせる青い鳥が止まっている。

会田誠「会田家に告ぐ」(1983/再制作2019)

よかちょろコウタロウ+木村哲雄「#(ハッシュタグ)」(2019)

木村さんは表現の自由が脅かされる背景の一つにインターネットの浸透があると指摘する。「ネットの力があまりにも強大になってしまいました。簡単に情報にアクセスできる時代になり、アーティストもその影響から脱することはできません」。木村さんとともに展覧会の開催を呼びかけた文筆家でミュージシャンの山崎春美さんは「境界が曖昧になり、味方同士で争っているという印象を受ける」と話す。


木村さんはそんな時代のなかで、アーティストには「同調圧力の中で眠っている人の意識を覚醒させる役割がある」と力を込める。

「グローバル化が進み、これから東京五輪があるなかで、外国にも顔向けできるような国にしたい。展示を通して、今、日本で何が起こっているかということを伝えていきたいです」

不自由の不自由展〜吉祥寺トリエンターレ2019
「Galleryナベサン」(武蔵野市吉祥寺北町2)にて30日まで開催。時間は13〜19時までで入場無料。会期中はトークセッションなどのイベントを予定している。

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