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一般紙の有料電子版は成り立つか

昨日から朝日新聞が有料の電子版をスタートさせました。日経や海外紙のように一般紙とは異なるポジションを持った電子版と異なって、一般紙は、それが朝日であれ、読売でも、毎日であってもまったく興味がなかったのですが、最初のお試し期間二ヶ月は無料ということなので早速登録してみました。まったくの野次馬です。それにしてもネットでもほとんど話題になっていないところが痛々しく感じます。

日経電子版は、一年で有料会員数が13万人を超えたといわれています。しかしそれでも日経の発行部数の4%程度で、ウォールストリートジャーナルの100万人とは比較になりません。

日経は「紙」を守るために、「紙」との併読なら1000円アップ、電子版だけの場合は4000円という電子版としてはおそらく世界一高い価格をつけましたが、電子版を普及させることに本気になっていないからでしょう。それでも13万人の有料会員を得たことはいかに独自のポジションを持っているかを示しています。

さて、朝日新聞の電子版を覗いてみた印象ですが、パラダイムが従来の紙の新聞と変わっていないことを感じます。インパクトもサプライズもまったく感じません。サプライズがあったとすれば、なにか文字が大きく紙面の密度を感じさせず、電子媒体としての工夫がほとんど感じられない、これで有料なのかということぐらいでした。

おそらく、新聞社は、ほとんどの人が新聞を紙媒体で読むという前提で、その読者を囲い込む競争を行い、各社とその記事の質や発行部数で競いあってきたし、現在も競い合っているのでしょう。市場が永続するという幻想にたった、まったく売り手側の発想です。

しかし、時代は大きくかわりました。情報を得るメディアがインターネットの登場で多様化し、どのメディアから情報を得るかの選択を読者が握り、新聞社と読者の関係が根底から変わってしまったのです。

つまり、競争の焦点が、どの新聞を購読してもらうかという競争から、新聞をわざわざ読んでもらえるかというメディア選択の時代の競争に移ってきたのです。他の新聞社と違う価値ではなく、新聞そのものの価値が問われてきているということです。

溢れるほどの多くのメディアからわざわざ選んで読んでもらう理由や価値をつくりださなければならなくなったのですが、それに適応するためには従来とは異なる発想や能力を持たなければなりません。

ちなみに、どの程度の時代の変化が新聞社を襲っているかですが、文化庁が「国語に関する世論調査」をやっており、平成13年と平成20年の調査結果の比較のグラフを掲載していますが、新聞から必要な情報を得るという人の割合は高齢者を除いて下降してきているのが現実です。インターネットと答えた人の増加とは対照的です。この数字の落ち込みに人口をかけ合わせるとその変化の凄まじさが想像できると思います。

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紙媒体が存続している理由は、宅配制度で新聞を契約して朝には記事を見て社会の動向を知るという生活習慣をもった人が、新聞購読を止めるリスクを嫌っているからだという認識に立つべきなのです。そうでなければ、発想を切り替え、自らの存在理由を再構築するために新しい道を模索する動機も生まれてこないものと思います。

新聞はジャーナリズムとしての価値が果たしてあるか、その存在価値が問われ始めているわけで、紙媒体か、電子媒体なのかの手段以前の問題だと思います。

記者会見のオープン化によって、また記者会見がUstreamやニコ動で流れるようになって、記者クラブ制度による一次情報の独占も崩れてきています。Ustreamやニコ動で直接見ると、新聞記事の希薄さを感じ、さらに新聞でなければならない根據も薄れてきています。

新聞社が、そういったパラダイムの転換を行わない限り、電子版が成功するとはとうてい思えません。

朝日新聞が電子版では「総合」を止め、それぞれの記事の深さを追求すれば新しい道も見えてくるかもしれません。問題はそれを続ける取材体制、記者や編集者の余力があるかどうかです。電子版かどうかよりは、コンテンツそのものの価値が問われているのです。システムを考える前にマーケティングから考えるべきです。

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