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沢尻エリカさんに社会はどう対応すべきか

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1.圧倒的な発信力

芸能界で依存症界に貢献して下さった第一人者と言えば何と言ってもマーシーさんこと田代まさしさんである。田代さんは、「病気じゃない。自分で頑張る!」とおっしゃった「否認」の時代も長かったが、2014年に出所されてからは、ダルクに繋がり回復の王道とでもいうべき、オーソドックスな道を歩かれた。その経験は、コミックにまとめられたり、様々なTV番組で特集が組まれ、ひとたび活動すればすぐにネットニュースで取り上げられたりと発信力が全く違っていた。最近では、ご自身のYoutube番組「ブラック・マーシー」をたちあげられ、その登録者数は6万人を超えていた。

残念ながら田代さんは再発してしまったが、今回の再発もまた我々から見たら、回復途上の経過の一つだと考えている。あれだけ頑張っていても再発はあるのだと、今回の再発もまた、社会の理解に繋がればと願っている。いずれにせよ田代さんが功労者のお一人であることは間違いない。

田代さんの次に、高知東生さんも医療や自助グループに繋がり、啓発活動にいそしんで下さっているが、やはり高知さんが活動されると、新聞、TV、ネットニュースと多くのメディアが取り上げて下さり、我々とは発信力が全く違うのである。

2.ロールモデル

依存症者を見たことのない人、支援に関わったことのない人たちは誤解しているが、依存症からの回復というのは辛く、長い道のりである。なんせ快楽を与えてくれる神経伝達物質「ドーパミン」が、依存物質、依存行為以外では出が悪くなってしまうのであるから地獄である。みなさんも想像してみて欲しいが、例えば、何か目標をもったり、好奇心でワクワクしたり、単純に食事をしたり、好きな人と一緒に居る時に、人は快びを感じるはずである。ところが依存症者はそういったことでは、もう快感物質は放出されず、依存物質を使ったり、依存行為をやっている時以外では、日常生活がどんよりと落ち込んでしまうのである。しかも辛く、苦しいからと言って、依存物質や依存行為を使えば、リミッターが外れているので、今度はとことんまで行ってしまい、最悪命を落としてしまうのである。

依存症者に再発が多いのは、止めはじめの一番辛い時期が長きに渡って続くためである。大体2年くらいは苦しい時期が続くが、あまりの苦しさに、再発してしまう人が多い。そこにはロールモデルの不在という事情も大きいと思われる。

日本では薬物事犯を叩きのめす傾向にあるので、薬物問題を起こすと表舞台で活躍することが非常に難しくなる。それゆえ、ただでさえ辛い治療期間なのに「回復しても社会で受け入れられない」「社会に居場所がない」となれば、回復のモチベーションは途切れてしまう。そこで回復を果たし、社会から再び受け入れられ、活躍しているロールモデルの存在は非常に重要となる。人は絶望ではなく、希望でしか変わることはできない。だからこそ沢尻さんが治療に向き合い、回復した暁には是非とも再び芸能界という舞台できらきらと輝く姿を見せて欲しい。「回復すればまた居場所ができる。」というロールモデルの存在は、多くの潜在化した依存症者を救い出してくれるはずである。

ご存知の通り欧米諸国では、エリッククラプトンやエミネム、ロバートダウニーJrをはじめ、多くのロールモデルが活躍している。

3.収入

芸能界で活躍するような人はもちろん収入が高いが、それもそのはずで、まず芸能人になられる方々はポテンシャルが全く違う。そもそも「人前に出る」ということだけでもプレッシャーがあるものだが、それが四六時中ついて回るのであって気が休まる暇がない。私も高知東生さんと啓発をさせて頂くようになってよくわかったのだが、一緒に歩いていると、多くの人が気付き、サインを求められたりするので実に大変だなぁと思う。私なんぞ疲れていると見ず知らずの人に笑顔で対応し続けるなど不可能である。しかも、そういった善意の人たちだけでなく、一度など高知さんと食事をしている間ずっと聞き耳をたてられてしまったり、トイレの前の隅っこの目立たない席に居たのに、何度も何度も入れ替わり立ち替わり、他の席に座っていた人がトイレにやってきて顔を覗き込んでいくので、私の方が気まづく、根をあげてしまい、早々に退散したこともある。その上、求められる役柄を演じたり、長いセリフを覚えたりするわけであるから、やはり一握りの人にしか出来ない職業だと思う。だとしたらそういうポテンシャルのある人は、薬物問題で失敗したからといって、社会の片隅でくすぶっているよりも、適性のある職業で稼いで貰って、高い税金を納めてくれるのであればそれに越したことはないのではなかろうか。

もちろん同じ依存症問題でも被害者感情を考慮しなければならない飲酒運転や性犯罪などであれば、それは難しいかもしれないが、薬物の自己使用者は「被害者なき犯罪」といわれており、やり直すチャンスを与えられるべきではないだろうか。

また、日本ではセレブのチャリティ活動などあまり盛んではないが、欧米では薬物問題があったセレブ達が、回復施設を作ったり、啓発活動に貢献したり、依存症の家庭に育った子供達を支援したりと、高い収入を今度は依存症問題の社会貢献に費やしている。福祉費を切り捨てられ続ける日本の現状を鑑みると、言い方は悪いが稼げる人には稼いで貰って、それを社会に循環して貰った方が、よほど社会のためになるのではないだろうか。

このように薬物問題を起こした芸能人の方が、再び輝くことには多くのメリットがある。しかもこれまでは、なんとなく復帰して薬物問題には一切触れないというパターンも多かったが、これからは、沢尻さんのような薬物問題を起こした芸能人には、「治療に繋がり、回復のための努力を続け、その失敗の経験と回復のプロセスを語ること」を、役割として引き受けてもらい、その姿を応援することが社会の使命ではないかと思う。

薬物問題を抱えた人とは、つまり心の問題を抱えた人である。だから心を開いてくれない限り、回復の糸口はつかめないのである。

考えて見て欲しい、あなただったら自分を見せしめにし、叩きのめし、天職を奪おうとする人に心を開くだろうか?

人を孤独に追い込んでも、社会にメリットなど何もない。再起を応援する社会となり、沢尻エリカさんにも沢山の支援の手が届くことを依存症者の一人として願っている。

最後に声をあげにくい薬物依存症の家族が、勇気を出してブログで発信しているので、ご紹介したい。

是非、このブログをご一読の上、薬物依存症の家族に起きている困難に想いを寄せて頂ければと願う。

https://todaynotsomeday.exblog.jp/28706735/?fbclid=IwAR3XiNGeMUA-Cd_2OQ5IS-pwk-vUqkudIKnvj03s4ZRZ_TfLDMuP-noWiQo

<参考記事>

・薬物問題 回復への道 高知東生氏

・高知東生氏が自分を語る意義

・依存症叩きで自縄自縛のTV

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