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沢尻エリカさんに社会はどう対応すべきか

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沢尻エリカさん 出典:flickr : childe abaddon

田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)

【まとめ】

・合成麻薬MDMAを所持したとして、女優沢尻エリカさん、逮捕。

・沢尻さんには、診断と治療を受け、自助グループに通う事を勧める。

・沢尻さんの再起を応援する社会になり、沢山の支援の手が届くことを願う。

合成麻薬MDMAを所持したとして、警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された女優沢尻エリカさんだが、今後社会や周囲の人はどう対応すべきか?依存症支援に関わるものの一人として考えてみたので参考になれば幸いである。

まず、現在報道されている範囲で、沢尻エリカさんの薬物問題を推測してみると、沢尻さんは10年以上前から、違法薬物である、MDMAコカイン大麻LSDを使っていたと供述している。

この報道から「常習性が高い」との声も上がっているが、彼女が依存症かどうかはまだわからない。

高知東生さんも裁判で正直に10代からの薬物使用を告白され、ピエール瀧さんも20代からの薬物使用を認めているが、お二人の主治医である、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生は、お二人とも使用歴は長くとも依存症までいっていない、もしくは軽症とおっしゃっている。

▲画像 出典:Japan In-depthチャンネル「薬物問題を知ろう」より

 ・高知東生さんYoutube「たかりこチャンネル」の中で、松本先生がゲスト出演された際の発言

 https://www.youtube.com/watch?v=HgsKsDOLhk0

 ・ピエール瀧さんの裁判で情状証人として松本先生が出廷した際の記事

 https://www.sanspo.com/geino/news/20190606/sca19060605010004-n1.html

依存症になるかどうかは、単純に使用期間に比例して決まるものではなく、使用量やその人の置かれた状況、そして薬物使用に至った背景、体質などでも大きく影響してくる。薬物依存症になる人は、ストレスや、一人で抱え込んでしまう癖や、人間関係での悩み、また自分の仕事ぶりに対し満足感がない、忙しすぎるなど、メンタルの様々な問題に対し、薬物で解消したときの快感が大きい人の方がなりやすく、そのため社会で孤立している人、トラウマを抱えていたり、幼い頃から虐待などの逆境にあったり、辛い状況に置かれた経験のある人ほど重症化しやすいと言われている。

依存症の厄介なところは脳の中に「ストレスなどの問題がたまると薬物で解消する」というレールができてしまい、それ以外の方法では解消できなくなってしまうことである。

何事も軽症なうちに、治療に取り組んだ方が回復しやすく、そういった意味では高知東生さんやピエール瀧さんは早期発見、早期治療に繋がれ幸運であったと言える。沢尻エリカさんの場合も同様で、もし10年以上ハードにドラッグを使い依存症に陥っていたとしたら、すでに優先順位が狂い、仕事より薬物が大事なことの第一位になっていたと思われ、現在の様な充実した仕事ぶりを見せるのは難しかったのではないかと推測する。いずれにせよ詳しい診断を待ちたい。

では、軽度の依存症もしくは使用者、愛好家であったなら問題はないのか?と問われればそうではない。

多くのものを失うと分かっていながら、違法薬物で気晴らしをしていたことには変わりないので、様々なメンタルの問題が起きた時に、人に相談したり、自分の弱い部分を正直に話し問題を解決していくなどのやり方を身につけていく必要がある。

これは簡単なようで、なかなか難しく、依存症になっていない一般の人たちでも同じような問題を抱え苦しんでいるケースはよくあるのではないだろうか。だからこそ依存症は「誰にでもなる可能性がある」と言われているのである。

さて、沢尻エリカさんも今後取り調べが終わり、やがては社会に戻って来られると思うが、その時に周囲の人間はどのように接したら良いのか?という課題だが、まずご本人に以下の様な経過をお勧めし、繋げて欲しいと願う。

1.診断を受ける

依存症までいっていないか、もしくは依存症が軽症であれ重症であれ、医療機関には是非とも繋がって頂きたい。その際には、精神科医であればどこでも良い訳ではなく、やはり松本俊彦先生の様な薬物依存症の専門医をお勧めする。

2.治療を受ける

重症、軽症に関わらず、薬物を使い続けた背景には何があるのか?原因は一つではなく、いくつかの複合的な要素が考えられ、一つずつ解決していく必要がある。

例えば、ピエール瀧さんの場合は理由の一つに「忙しすぎたので、リラックスするため」とおっしゃっておられるが、だとすると今後は仕事量を事務所やマネージャーが調整していく必要がある。沢尻さんの場合も同じで、事務所や仕事の関係者の理解は不可欠である。そういった原因を突き止めていくためにも是非治療を受けて欲しいと思う。

3.自助グループに通う

これまで薬物事件で逮捕された著名人の清原さんも、高知さんも「自助グループに通っている」とおっしゃっているが、沢尻さんも可能であれば医療だけでなく自助グループに繋がるべきである。自助グループは、同じ問題を抱えた人たちだけが理解できる様々な葛藤を批判されることなく打ち明けることができ、心の問題の解決方法が見つかる。日本の著名人の方はまだまだ「そんなところには行きたくない!」と、自助グループを「弱者の集まり」「傷のなめあい」と誤解している方も多いかと思うが、欧米諸国の多くのセレブ達は真摯にご自身に向き合っていくために、自助グループに通い続けている。そして社会全体も自助グループの必要性を認知しており、自助グループに通うという自己管理能力にむしろ賞賛を与えている。日本では「意志の力で止める!」という精神論、根性論の方が尊重される傾向にあるが、これは科学的ではない。自助グループの効果は、依存症に関わる医療者も認めているところであり、日本社会も自助グループについて正しい理解を示して欲しいと願っている。

ちなみに、最近日本でも評判になった、エルトン・ジョンの自伝的映画「ロケットマン」はこの自助グループのシーンから始まっているので、是非ご覧になって頂きたい。

医療と自助グループの違いを一言で表すなら、医療は薬をやめることを目的とし、自助グループは生き方を変えることを目的としている。沢尻さんも色々抱え込み、無理をされてきたとお見受けしているが、是非とも自助グループに繋がり、自分を傷つけてしまうような生き方からご自身を解放して欲しいと願っている。

さて、ここまで沢尻さんがたどり着ければ、あとは自助グループの力で、充分な心の支えが得られると思うが、次に社会全体ではどのような支援が必要か考えて見たい。

沢尻さんは小学校の時にモデルデビューを果たして以来、芸能界でお仕事を続けておられることを考えれば、今後もご本人が望まれるのであれば、芸能界でお仕事をされることを後押しすべきだと思う。

こういうことを言うと「犯罪者を出すな」とか「芸能界は甘い」と批判される方がいるが、社会全体のためを考えたらこのような感情論は何の役にも立たない。それよりも芸能界で活躍できるような、一握りの才能に恵まれた人には、どんどん活躍して貰いながら、ご自身の失敗の経験こそ社会貢献に役立ててもらうべきである。では、薬物問題を起こした芸能人の方がどれだけ社会に役立つか述べてみたいと思う。

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