記事
  • S-MAX

秋吉 健のArcaic Singularity:格安SIM市場はどう変わる!? 2019年の消費者動向やMNOの料金施策からMVNOの現在と未来を考える【コラム】

1/2

MVNOの現状から、未来の市場動向を考えてみた!

既報通り、NTTコミュニケーションズおよびNTTレゾナントは20日、NTTコミュニケーションズが仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供する携帯電話サービス「OCN モバイル ONE」の新料金発表会を開催し、最低利用期間と解約金の縛りがない、月額980円(税別)から契約できる新コースを発表しました。

新コースの詳細などは上記リンク先をご参照いただくとして、今回取材で筆者の目に留まったのは、MVNOの現状についての分析でした。発表会ではモバイル通信業界の動向調査やアンケートなどを行っているMMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所) 所長の吉本 浩司氏が登壇し、現在のMVNOおよび格安SIM市場の動向について解説され、その後OCN側からMVNOの現状を踏まえた戦略が語られたのです。

MVNOのみならず、現在のモバイル通信業界は大きなターニングポイントを迎えています。料金プランの改革、5Gサービスの登場、楽天の移動体通信事業者(MNO)サービス参入。それぞれの動きが密接に絡み合い、関係するすべての企業の経営戦略に大きな影響を及ぼしています。

MVNOはこれからどうなっていくのでしょうか。MVNOの未来に明るい展望はあるのでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回は最新のMVNO事情を読み解き、その未来について考察します。

as-103-002
MVNO市場の「今」を知る

■想像以上に堅調に推移していたMVNO市場

まずはじめに筆者が少なからず驚いたのは、MVNO市場が予想よりも順調に市場規模を延ばしていたことです。

MMD研究所の調査資料によれば、移動体通信事業全体に占めるMVNO市場は2017年に7.4%(格安SIM市場としてY!mobileを含めると10.8%)でしたが、2019年には13.2%(格安SIN市場としてY!mobileを含めると18.9%)と、大きくその数字を伸ばしています。

その数字の内訳を精査してみると、MNOではNTTドコモだけが僅かにシェアを延ばしているものの、au(KDDI)およびソフトバンクは3.5~4.6%のシェア減少となっており、消費者が月額料金の高い大手MNOから安いMVNOやサブブランドMNOへと大量に移行し始めていることが分かります。

as-103-003
格安SIM市場として僅か2年で倍増に近い顧客増加は驚くべき数字だ

as-103-012
大手MNOの低料金戦略などからMVNO契約者数の伸びは鈍化するものと予想していたが、良い意味で裏切られた

MVNO市場全体の利用者人口は、継続利用中の人だけでも1500万人超という試算もあります。MNOと重複して利用している人もいるとは言え、その認知率の高さや利用者意識の面から、敷居がかなり低くなってきていることが分かります。

MVNOは、当然「月額料金が安い」という最大のメリットがあります。しかし、その裏には通信環境の不安定さや絶対値としての高速通信性の低さ、そしてサポート体制の薄さなどがデメリットとして存在します。

筆者も本連載コラムなどを通じてMVNOについて語る際、常にそのデメリットについても併記することで、MVNOの正しい使い方や選び方を伝えてきたつもりですが、そういった外部からの情報やMVNO各社による認知努力が、確実に消費者へと拡がってきていることを感じさせます。

as-103-004
MVNOサービスの認知はもとより、内容を理解し利用を検討している層が2300万人超というのも凄い

■MNOへの反発がMVNO市場の追い風となった

こういったMVNO市場(格安SIM市場)の堅調な伸びの背景には、MNO市場の混迷と価格水準への消費者の不満があるのは間違いありません。

2019年のMNO市場は、通信料金と端末代金の完全分離施策が法的に定められ、また長期契約の解約金の上限が1000円に定められるなど、市場の流動化を推し進める政府に振り回され続けた印象です。

政府が半ば強引とも取れる施策を講じた背景には、MNO業界に長年横たわる横並び体質と競争を避ける動きに痺れを切らした、というのがあります。

思い返せば2016年には不当廉売を防ぐ目的で、通信料金プランとの抱合せによる通信端末の0円販売が禁止されたあたりから、政府による指導や提言は内容の厳しさを増してきていたように思われます。

as-103-005
今回OCNモバイルONEもオンラインストア「goo Simseller」のキャンペーンで1円販売の端末を用意してきたが、0円販売ではない上、政府が定める上限2万円までの値引きの範囲内で価格設定しているため、法令や指導には抵触しない

高止まりしていたMNOの価格水準については、2018年辺りからMNO各社がデータ通信容量の少ない安価なプランを用意し始めたことでだいぶ引き下げられてきた感がありますが、しかしその低料金で消費者が契約するにはさまざまなオプションや条件が必要となり、すべての契約者が享受できる内容になったとは到底言えません。

そういった「MNOの低料金プランの恩恵を受けられない人々」の受け皿として、MVNOが現在大きくクローズアップされているのは事実でしょう。

また、これまで「MNOの月額料金が安くなるのではないか」と期待してMVNOの利用を躊躇していた層が、法改正を受けてさえ思ったよりも安くならないMNOに見切りをつけ、MVNOへ流れたとも考えられます。

as-103-006
低料金だけでなく、月額料金体系がシンプルで契約に関する縛りが少なく、比較的気軽に契約・解約ができるのもMVNOのメリットだろう

あわせて読みたい

「MVNO」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    新幹線でのパソコン作業に唖然

    常見陽平

  2. 2

    中国の年金使い込み 大変な事態

    団藤保晴

  3. 3

    「解雇できない」嘆く企業に疑問

    紙屋高雪

  4. 4

    理不尽に米国大使を批判する韓国

    木走正水(きばしりまさみず)

  5. 5

    れいわが野党共闘を変える可能性

    田中龍作

  6. 6

    ゴーン氏10時間取材が出版中止に

    郷原信郎

  7. 7

    山下達郎のAIひばり批判は爽快

    常見陽平

  8. 8

    ワタミ ホワイト企業表彰で喜び

    わたなべ美樹

  9. 9

    大トロ 1貫2500円でも儲からない

    fujipon

  10. 10

    ヘンリー夫妻独立に国民激怒の訳

    SmartFLASH

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。