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なぜ文在寅はGSOMIA延長を6時間前まで決断できなかったのか? - 「週刊文春デジタル」編集部

「韓国の政治家は、対話と妥協が苦手で、互いを誹謗することが政治の中心になっている。さらに、固い支持基盤もないので、相手をどれだけ攻撃するかで支持率が乱高下する。民主主義が韓国において成長しないのは、そのあたりに限界があるからです」

 そう語ったのは、日韓でベストセラーとなっている『反日種族主義』(文藝春秋)の共著者、落星台経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員だ。

 11月22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、破棄するとした通告の効力を停止する方針を日本側に伝えた韓国・文在寅政権。失効期限の6時間前という、ぎりぎりのタイミングでの決定だった。


決断を迫られた文在寅大統領 ©AFLO

 なぜ文大統領は、ここまで追い込まれなければ決断できなかったのか。李氏が「週刊文春デジタル」のインタビューで明かしていたのが、冒頭で紹介した「韓国の政治家の特性」だった。李氏は続けてこう語っている。

「韓国の政治的水準が非常に高いように話す人もいますが、韓国はまだ民主主義の経験が乏しい。本来、政治とは、利害関係の違う他の勢力と意見を調整して統合させるものです。今の韓国には、その能力がないため、ひたすら相手が“悪魔”であるかのように追い込んでいくことしか出来ません」

日本は“下”だが、米国には迎合

 韓国のGSOMIA破棄をめぐっては、外交や軍事の専門家を中心に、「韓国側のメリットが大きいのに破棄するのは非合理的」「日本よりアメリカの負担増が深刻」などの指摘が相次いでいた。

 このような、後に撤回せざるを得ない「反日」政策が政権として決断される背景について、李氏は国内政策との関係性を指摘する。

「いま内政的に重要なのは、雇用と経済成長ですが、文政権はそこで完全に失敗しています。対外的な課題で最も重要である北朝鮮の核問題も、基本的に解決されたわけではありません。このような状況のなかで、国民の関心を無茶なところに導いて、支持率を高めようとしていると思います」

 GSOMIA破棄という“非合理的”な決断をした韓国社会の問題点については、李氏が韓国社会を「前近代的」だと捉える3つの理由が参考になる。

「1つ目は『観念的な性格』です。いまの韓国社会は、客観的な現実に基づかず、思い込みのレベルで『日本は絶対悪』という一つの総体を作っています。つまり、日本政府や個人、または日本社会が倫理的もしくは政治的に悪い点があるという具体的な話ではなく、観念的に『ただ一つの絶対悪』として日本が存在している」

「2つ目の理由は『非科学的な性格』。いまの韓国社会が客観的な事実でないことを主張し、受け入れていることです。例えば、韓国の慰安婦問題の支援者らが言うような、20万人の少女を連行して慰安婦としたというような一連の主張です。合理的、理性的な思考ができず、極めて感情的になっています」

「3つ目は『歪んで偏った現実認識』です。韓国社会は、日本については“下”と考える一方、中国や米国に対しては迎合する。その極めて事大主義的な態度によって、国としてバランス感覚を喪失している点です」

 観念的で、非科学的な思い込みで決断し、米国に対しては迎合する--。李氏の指摘は、今回のGSOMIA延長を巡る逡巡の構図とまさに符合するのだ。

 文政権は国益を考える政権ではない

「史上最悪」とされる現在の日韓関係は、今後どのように推移するのだろうか。

「今回の事態は、これまでと違うと思います。文在寅政権が過去もっとも反日的な政権である上に、自分の政治的利益のために反日的な情緒や認識を利用しようとしている政権です。一方の日本では、安倍政権が『韓国の勝手な言動はこれ以上許さない』という強い立場をとっている。この両極端に位置する政権同士が向かい合っているので、ここまでこじれたのだと思います。

 徴用工問題については、韓国が仲裁委員会の開催に最後まで応じないでしょうから、日本は国際司法裁判所に申し立てるかもしれません。しかし、韓国はそれにも応じないでしょう。すると、日本がまたどんな措置を取るのか分かりません。具体的に考えていくとわからないことは多いですが、いずれにせよ、さらに悪化する方向に進むと思います。文政権は国益を考える政権ではないですから」

週刊文春デジタル」では、『反日種族主義』の共著者、李宇衍氏の1万4000字にわたるインタビュー全文「『文在寅の韓国』が分かる52の質問 ベストセラー『反日種族主義』の韓国人学者が答える【全文公開】」を公開している。

「永遠の学生運動家・文大統領の素顔」「徴用工判決が法的に妥当でない理由」「多分に温情主義的な朝日新聞」など、日本人には分かりにくい“文在寅の韓国”を理解するためのヒントが詰まっている。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)

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