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- 2019年11月23日 08:16
『桜を見る会』より『国の戦略』で議論を
今月14日のワタミの決算発表会で、今後10年で売上高を今の倍の2000億円にする中期経営計画を発表した。大手外食チェーンと枕詞(まくらことば)がつくワタミだが、今回「ワタミの宅食」が主力事業になると宣言した。
今回の10年ビジョンは数字だけを追い求めるのではなく、CSV(課題解決)のSDGs(持続可能な)経営を意識している。国会議員の時に提言を続けた課題解決が詰まっている。一番は、この国の「高齢化が抱える課題解決」に大きく寄与することだ。
たとえば、東京都板橋区の高島平で、団地の敷地内に初となる「ワタミの宅食」の営業所を開設した。団地は高齢化が進み、買い物難民が増えている。管理栄養士が献立を考えたお弁当は、低栄養が問題とされる中、年々ニーズが高まる。
さらに、毎日同じ配達スタッフ「通称・まごころさん」が手渡しするのが特徴で「見守り」がとても好評だ。お届け時に命にかかわる病変を発見し、これまで多くの感謝状をいただいている。全国199の自治体と見守り協定も結んでいる。
そして、働く「まごころさん」の平均年齢も68歳だ。元気な高齢者に働いていただくことが、一億総活躍の実現であり、この国の社会保障改革や財政再建にもつながる。一日のうち、少しだけなら働きたいという高齢者はとても多い。1日3時間が基本モデルで全国約500営業所で約9000人のまごころさんが活躍してくださっている。
お弁当と一緒に「まこごろ」も届けるという理念が最大の強みで、さまざまな提携やビジネスプランが持ち上がっているが「アマゾンにできないことをする」と明確な指針を出している。
さらに地球規模で抱える「食品ロス削減の課題解決」にも貢献している。ワタミの宅食は、5日間注文制としており、お弁当数はそこで確定しムダはゼロになる。廃棄ロスが出る、コンビニ弁当と大きく違う。5日間注文制でも、食品ロス削減の姿勢を支持してくださる、意識の高いお客さまが大変多い。
さらに「プラスチックごみの課題解決」にも取り組む。中京・北陸圏では、配達するお弁当やお総菜の容器を、バイオマス素材を含んだ容器に変更し回収して、リサイクルしており、今後全国で展開していく。
これらすべて、9年連続業界1位のワタミの宅食の取り組みだ。
決算発表会で、記者から「足元の景気や経済の見通し」を質問された。この年末の居酒屋の宴会コースなどは、低価格に人気が集中しており、今後さらに消費税増税の影響は出てくると思う。さらに、オリンピックの後の日本経済の先行きは、きびしい見通しだ。しかしそれを前提とした経営をしていく。10年右肩上がりの図と、その裏付けとなる経営戦略、さらに課題解決を発表した。
日本の政治にも、この国の右肩上がりの図と、その裏付けや課題解決を示してほしい。5000万円の「桜を見る会」の件もいいが、1100兆円の国の借金をはじめ、10年後、未来のことで、与野党にはしっかりと論争してほしい。
【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より
今回の10年ビジョンは数字だけを追い求めるのではなく、CSV(課題解決)のSDGs(持続可能な)経営を意識している。国会議員の時に提言を続けた課題解決が詰まっている。一番は、この国の「高齢化が抱える課題解決」に大きく寄与することだ。
たとえば、東京都板橋区の高島平で、団地の敷地内に初となる「ワタミの宅食」の営業所を開設した。団地は高齢化が進み、買い物難民が増えている。管理栄養士が献立を考えたお弁当は、低栄養が問題とされる中、年々ニーズが高まる。
さらに、毎日同じ配達スタッフ「通称・まごころさん」が手渡しするのが特徴で「見守り」がとても好評だ。お届け時に命にかかわる病変を発見し、これまで多くの感謝状をいただいている。全国199の自治体と見守り協定も結んでいる。
そして、働く「まごころさん」の平均年齢も68歳だ。元気な高齢者に働いていただくことが、一億総活躍の実現であり、この国の社会保障改革や財政再建にもつながる。一日のうち、少しだけなら働きたいという高齢者はとても多い。1日3時間が基本モデルで全国約500営業所で約9000人のまごころさんが活躍してくださっている。
お弁当と一緒に「まこごろ」も届けるという理念が最大の強みで、さまざまな提携やビジネスプランが持ち上がっているが「アマゾンにできないことをする」と明確な指針を出している。
さらに地球規模で抱える「食品ロス削減の課題解決」にも貢献している。ワタミの宅食は、5日間注文制としており、お弁当数はそこで確定しムダはゼロになる。廃棄ロスが出る、コンビニ弁当と大きく違う。5日間注文制でも、食品ロス削減の姿勢を支持してくださる、意識の高いお客さまが大変多い。
さらに「プラスチックごみの課題解決」にも取り組む。中京・北陸圏では、配達するお弁当やお総菜の容器を、バイオマス素材を含んだ容器に変更し回収して、リサイクルしており、今後全国で展開していく。
これらすべて、9年連続業界1位のワタミの宅食の取り組みだ。
決算発表会で、記者から「足元の景気や経済の見通し」を質問された。この年末の居酒屋の宴会コースなどは、低価格に人気が集中しており、今後さらに消費税増税の影響は出てくると思う。さらに、オリンピックの後の日本経済の先行きは、きびしい見通しだ。しかしそれを前提とした経営をしていく。10年右肩上がりの図と、その裏付けとなる経営戦略、さらに課題解決を発表した。
日本の政治にも、この国の右肩上がりの図と、その裏付けや課題解決を示してほしい。5000万円の「桜を見る会」の件もいいが、1100兆円の国の借金をはじめ、10年後、未来のことで、与野党にはしっかりと論争してほしい。
【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より