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大人男子も号泣『映画すみっコぐらし』 切なさがハンパない

観客動員数は33万人を突破!(C)2019日本すみっコぐらし協会映画部

(C)2019日本すみっコぐらし協会映画部

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『映画 すみっコぐらし』が大人気だ。11月8日の公開以来、2週連続邦画1位、動員は33万人を超え、興行収入も4億円を突破している。子ども向けと思われそうなわずか65分の可愛らしいアニメーション映画だが、意外にも大勢の大人、しかも男性までもが涙している。いったいなぜなのか──。自身も“すみっコファン”だという作家の内藤みか氏が分析した。

【写真】すみっコたちの劇中シーン

 * * *

 11月16日土曜日。580席定員のスクリーンが満席状態の新宿の上映館で『映画すみっコぐらし とひ?た?す絵本とひみつのコ』を鑑賞した。大学生の息子が「すごく人気で泣けるらしいのでどうしても観たい。でもひとりじゃ行きづらいから一緒に行ってほしい」と言うので付き添った。

 場内には親子連れのほかに、女性同士やカップル、それからおひとりさまの女性客の姿も目立つ。上映前にのぞいたグッズコーナーはほぼ完売状態で、すでに棚が空っぽだった。

 そして映画がクライマックスにさしかかると、その切なさに感極まったのか、まず、子どもが大きな声で泣き始めた。普通の泣き声ではない。ほんとうにつらそうに悲しそうに、大号泣しているのだ。それを皮切りにあちこちでも子どもたちが泣き始め、私の隣の一番すみっこの席に一人で座っていたお姉さんもハンカチを目に当てている。いろいろなところで大人が鼻をすする音が聞こえる。私も泣いた。エンドロールが涙でかすんでよく見えないほどだった。

◆もともとせつないキャラクター設定

 記事を書いている私自身、もともと「すみっコぐらし」のファンで、以前より「すみっコぐらし展」や期間限定の「喫茶すみっコ」にも足を運んでいる。すみっこにいると落ち着くという、ちょっと訳ありのキャラクターたちの設定にも心を鷲掴みされた。

 食べられなかったエビフライのしっぽや、飲み残されたタピオカの粒などがすみっこに集まってひっそりと暮らしている姿はとても可愛くてどこか切ない。

 日本人は、隅の席から埋めていくという習性がある人が多い。隅で目立たずにしているほうが楽なのだ。その感性にこのキャラクターたちがフィットしたのだろう。私もそのひとりだ。世の中でひっそりと自分なりに生きているキャラクターたちのささやかなありのままの姿に胸を打たれたのだ。それなのに、映画は、彼らにさらなる切なさを突きつけてきたのである。

◆すみっこ感が倍増するストーリー展開

 映画では、すみっコたちが絵本の世界に入り込む。そこでは映画限定キャラクターらしい、ひよこが登場する。ひよこもまたすみっコの存在だ。「と?こからきたのか、自分か?た?れなのかもわからない、ひとりほ?っちのひよこ」という設定だ。少し灰色で何かを訴えかけてくるようなつぶらな瞳のこのコのお家をみんなで探してあげる物語なのである。

 ひとりぼっちのひよこを物語にプラスしたこの脚本は秀逸だった。なにしろすみっコたちのすみっコ感が一層際立ち、ひよこが現れただけでも胸が締め付けられるような思いがしたからだ。

 そして彼らはひよこの寂しさに共鳴し、献身的にお家を一緒に探しまわる。それは、正義感や単なる優しさから生まれた行動ではない。彼らもまたひとりぼっちのつらさを知っているからにほかならない。

◆最後の最後までことごとく泣かせる演出

 多くの子ども向けアニメーションで、最も哀しいもののひとつとして挙げられるのは『フランダースの犬』だ。報われないネロとパトラッシュの姿に大きなショックを受け、涙した人は少なくないだろう。

 しかし『映画 すみっコぐらし』の涙はそれとは少し違う。切なくてたまらないのだけれど、なぜか心が温かくなるのだ。ちっちゃな彼らがお互いを思い合い、懸命に支え合う姿はとても美しく、スクリーンで輝いていた。

 すみっコファンの私は、すみっコたちが頑張っているだけで、涙目ものである。それなのに、ストーリーは「すみっコ感」「ぼっち感」をこれでもかとこちらに連打し、涙を煽ってくる。最後の最後まで一切手を抜かず、すみっコたちの表情も、セリフも、音楽も、エンドロールに至るまで、すべてにおいて泣かずにはいられない素晴らしいバランスで仕上がっていた。

◆男性にも広がる人気

 私の息子は帰宅してからもう何日も、この映画のテーマソング(原田知世さんの『冬のこもりうた』)を聴き続け、余韻に浸っている。私も今でもひよこを思い出すだけで胸が熱くなる。とても引きずる映画なのだ。

 息子のようにすみっコが気になる男性は多いらしく、11月13日には男性限定上映会も開催され、満席だったという。息子の友達の理系大学生達もこの映画を観に行きたいと言っているそうなので、ブームは男性も巻き込みしばらく続きそうだ。

 自分はひとりぼっちだという感覚、それをこの映画は目一杯刺激してくる。それはすみっコファンのみならず、多くの人がどこかに抱えている感覚なのだろう。普段はあまり考えないようにしているこの切ない部分がじわじわと刺激されるので、泣かずにはいられないのではないだろうか。

 上映館が少なく、平日でも満席になるほどの人気なので、これから観に行く予定の人は、事前に座席予約を済ますことと、ハンカチを忘れないことを、お伝えしておきたい。

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