- 2012年06月26日 00:56
新興国や資源国の懸念
新興国の様子がおかしいのは、すでに指摘しています。
(6月21日の「今後の気になる材料は?」で書いています)
変調をきたしているのは、何といっても、商品市況です。
新興国というか資源国は、2000年代の商品価格の高騰によって、経済が潤ってきたのは、紛れも無い事実です。
2008年の金融危機で、大きく落ち込んだ商品市況は、各国の財政出動や各国の金融緩和策により、2011年には大きく戻していました。
が、その後は、じり安となり、最近は、下げ足を早めているのです。
CRB指数を長い目で見れば、200ポイントがサポート線ではありますが、240ポイント近辺にも、サポート線があります。
ここを下回るかどうか、中長期的には、非常に重要な意味を持ちます。
詳しくは添付のチャートを見てください。
【CRB指数:週足】
リンク先を見る
この商品市況の低迷は、新興国市場にとっては、厳しい環境となります。
今年、CRB指数は3月以降、下落しています。
よって、各株式市場のドルベースの過去3ヶ月のパフォーマンスを見れば明確です。
指数 騰落率(%)
上海 -7.29
ロシア -26.5
ブラジル -27.3
豪州 -10.8
カナダ -11.8
日経平均 -9.7
S&P500 -4.4
ユーロ -21.1
ユーロ危機と商品市況安が4月以降のポイントであったことが分かりますね。
問題は、商品市況が低迷していると、資源国の株価は下落基調にあり、景気も悪化していくということです。
そこで、政策としては、利下げが考えられるのですが、その効果は、限定的な可能性が高いのです。
というのも、欧州発の景気減速(後退)の波ですから、根本は欧州にあります。
例えば、欧州の銀行というのは、新興国は融資したり投資したり、優良物件(案件)を数多く持っています。
が、昨今の危機で、資産縮小(デ・レバレッジ)を行っています。
これは、新興国にとっては、マイナスの影響がありますね。
アジアの国々では、成長鈍化でありながら、コントロールできないインフレとの闘いもあり、しかも、商品市況の低迷と来ています。
これでは、自国通貨は安くなりますね。
この状況が続けば、一時的かも知れませんが、資金がその国から逃避しないとも限りません。
この動きが大きくなると、通貨危機と呼ばれるものに発展していきます。
インドが、通貨危機とは思いませんが、新興国や資源国の通貨は、まだまだ、高い通貨がありますから、警戒が必要かと思います。
もちろん、欧州の財政危機に目処がつけば、問題は解決するとは思います。
が、簡単にいかないのがユーロなんですね。