記事

それでも「安倍政権の支持者」が多いのはなぜか

1/2

■本当に「国民のための政治」を実行してきたのか

安倍首相の在職日数が11月20日に通算2887日に達し、憲政史上最長となった。歴代最長の政権だ。

これまでの内閣支持率は悪くはない。しかも野党が弱く、自民党内にも有力な「ポスト安倍」が存在しないため、安倍首相の政治的基盤は強固にみえる。

しかし首相の在籍日数が、長ければそれでいいというものではない。問題は首相自身が日本の将来をしっかりと見据え、国民のための政治を着実に実行してきたかどうかである。

その観点から判断すると、「安倍1強」の長期政権には、緩みや驕(おご)り、歪みがはっきりと見えてくる。

全世代型社会保障改革に関する現場との意見交換会で、参加者に質問する安倍晋三首相(右から2人目)=2019年11月20日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト

■わずか1年で総辞職した「第1次安倍内閣」

第1次安倍内閣は2006年9月26日に発足した。当時、安倍首相は51歳。戦後最少年であり、初の戦後生まれの首相だった。だが、2007年夏の参院選で自民党が敗れた後、安倍首相は持病が悪化し、わずか1年で内閣は総辞職した。永田町では「安倍さんの政治生命は消えた」とまでささやかれた。

それでも2012年9月の自民党総裁選で石破茂氏らとの戦いに勝ち、同年12月の民主党政権下で行われた衆院選で自民党は圧勝し、民主党から政権を奪回。12月26日、首相に返り咲いて第2次安倍内閣を発足させた。持病の治療も成功し、奇跡の復活を果たした。その後7年間に亘(わた)って政権を維持してきた。

■自民党総裁任期は2021年9月までだが…

女房役として安倍首相を支えてきた菅義偉官房長官は11月19日の記者会見で「やるべきことを明確に掲げ、政治主導で政策に取り組んできた」と述べ、経済再生や外交・安全保障の再構築などを主な成果に挙げた。

安倍首相も、通算在職日数が明治・大正時代の桂太郎首相を抜いて憲政史上最長となった11月20日、政治課題について「デフレからの脱却、少子高齢化への挑戦、戦後日本外交の総決算、その先には憲法改正もある」と首相官邸で記者団の質問に答えた。

さらにこれまでの政権を振り返り、「深い反省の上に政治を安定させるため、日々全力を尽くしてきた」とも話した。

安倍首相の自民党総裁任期は2021年9月までだ。自民党は総裁を首相とする慣例があるため、総裁の任期を終えた場合、首相の任期もそこで終わる。安倍首相は「(その時点まで)薄氷を踏む思いで初心を忘れず、全身全霊をもって政策課題に取り組んでいきたい」とも語った。

■経済的に豊かになったのは、大企業と一部の富裕層だけ

果たして経済再生や外交・安全保障の再構築が成功したと言えるのか。確かにアベノミクスの「3本の矢」や「1億総活躍社会」といった政策看板を掲げ、実際に株価や有効求人倍率の指標は上がった。しかし、私たち国民の生活は本当に豊かになっただろうか。

経済的に豊かになったのは、大企業と一部の富裕層だけだ。賃金は伸び悩み、大半の国民はアベノミクスの恩恵を受けてはいない。経済格差は広がるばかりである。

外交・安全保障にしても、たとえば日韓関係をギクシャクさせ、北朝鮮や中国、ロシアを喜ばせている。対ロシアの北方領土問題では「4島は日本固有の領土」という主張も消えた。

■すべて長期政権の緩みや驕り、歪みから起きている

「もり・かけ問題」と批判された森友学園や加計学園の不祥事は、安倍首相と周辺との政治的癒着に注目が集まった。今年9月の内閣改造では、初入閣した2人の主要閣僚が政治とカネの疑惑で辞任した。内閣改造から1カ月半で経産相と法相が相次いで辞任する異例の事態だった。この顚末(てんまつ)については、11月1日付の記事「なぜ安倍内閣の閣僚たちは次々と辞任するのか」に書いた。

大学入学共通テストで導入を予定していた英語の民間試験をめぐっては、文科相の「身の丈発言」の影響もあり、導入延期に追い込まれた。さらに「桜を見る会」の問題では、地元支援者を多数招待するなど安倍首相の公私混同ぶりが明らかになっている。11月16日付の記事「読売も『襟を正せ』となじる『桜を見る会』の節度」でも書いた。

一連の問題は長期政権の緩みや驕り、歪みが原因だろう。安倍首相はこれをどこまで自覚しているのか、疑問である。安倍首相は「深い反省の上に政治を安定させるため、日々全力を尽くしてきた」と語るが、深い反省があれば緩み、驕ることなどないはずだ。

あわせて読みたい

「安倍晋三」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    街宣右翼に山本太郎氏「おいで」

    田中龍作

  2. 2

    年金生活者に支援給付金の新制度

    Hirotaka Kanno

  3. 3

    日本は最も成功した社会主義国

    自由人

  4. 4

    韓国が安倍政権を叩き始めたワケ

    NEWSポストセブン

  5. 5

    よしのり氏 枝野氏は認識が甘い

    小林よしのり

  6. 6

    昇進に影響? 忘年会スルーへ警鐘

    かさこ

  7. 7

    シン・ウルトラマンに見るヲタ魂

    krmmk3

  8. 8

    野口健 グレタさんを非難し賛否

    女性自身

  9. 9

    サンド M-1でアマに負けた悔しさ

    幻冬舎plus

  10. 10

    心もとない進次郎氏のCOP25演説

    舛添要一

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。