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「環境に配慮」でコンサートツアー中止 コールドプレイ

コールドプレイのクリス・マーティン氏(右)とジョニー・バックランド氏。写真は2017年撮影 Getty Images

イギリスのロックバンド「Coldplay(コールドプレイ)」が、出したばかりの最新アルバムのツアーを行わないと発表した。環境に大きな負荷をかけるためとしている。

ボーカルのクリス・マーティン氏はBBCニュースの取材で、「私たちはこのアルバムではツアーはしない」と話した。

「向こう1、2年をかけて、どうすれば自分たちのコンサートツアーが持続可能なだけでなく、環境に利益をもたらすものになるかを模索する」

その上で、「私たち全員が、仕事をする最善の方法を見いだす必要がある」と述べ、将来的には自分たちのコンサートを「前向きな影響」のあるものにしたいと話した。

コールドプレイは22日に最新アルバム「Everyday Life」をリリース。通常は数カ月かけてツアーを行うが、今回はヨルダンで2公演をし、その模様をYouTubeで無料配信するだけにとどめる。

ヨルダン公演は、アルバムの「二面性」にちなんで、22日の日の出と日没に合わせて開催する。

コールドプレイは2016年から2017年にかけ、前作「A Head Full of Dreams」で5大陸ツアーを敢行。全世界で122公演を行った。

カーボンニュートラルなツアーを

マーティン氏は次のツアーについて、「環境的に最善の状態のものにしたい。もしカーボンニュートラル(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ状態)でなければがっかりする」と話した。

「最大の難関は飛行機での移動だ。しかし例えば、使い捨てプラスチックを使わない、太陽光発電を活用するなどの方法がある」

「これまでにたくさんの大型ツアーをやってきた。どうすれば奪うより与えるものが多いものに変えられるだろうか」

世界自然保護基金(WWF)はコールドプレイの方針を歓迎。「世界的に有名なアーティストが、地球を守る方向に動くのは素晴らしい」とコメントした。

WWFの気候変動部門を束ねるギャレス・レッドモンド=キング氏は、「気候と自然の危機を前に、私たちには(対策を)身を持って示す責任がある。次世代のために地球を守りたかったら、何もしないという選択肢はない」と述べた。

https://www.youtube.com/watch?v=PXKYA-zmzTY&feature=emb_logo

BBCのコリン・パターソン・エンターテインメント担当編集委員とのインタビューでマーティン氏は、今アルバム唯一のコンサートにヨルダンを選んだのは「普段では演奏する機会のない、世界の真ん中にある場所を選びたかった」からだと語った。

また、新アルバムはコールドプレイの世界的な視点を反映したものだと説明した。

「世界中を旅する幸運に恵まれたことで、私たちはみな同じ場所から来たのだと知ることができた」

「とても優しいイギリス的な言い回しをすれば、このアルバムで私たちは、地球上のどんな人も同じだと思っていることを伝えたい」

また、「Everyday Life」に収録されている曲の中には、BBCが取材したアフガニスタンの庭師ナイジェリアの賛美歌作曲家といったニュースに着想を得たものもあるという。

「私たちに共通している人間性を示すような個人の物語こそ、最高のジャーナリズムだ」

コールドプレイはヨルダン公演の後、11月25日にロンドンの自然史博物館で1度きりのコンサートを行う。このコンサートの収益は全て、環境保護団体に寄付される。

グリーン・ツアリング・ネットワークによると、1回のコンサートツアーで排出される二酸化炭素(CO2)のうち、34%が会場から排出される。このほか、宿泊施設から10%、グッズ販売で12%、アーティストの移動で9%、販促活動で2%となっている。また、観客の移動による排出は33%を占める。

<解説>コンサートツアーと環境への影響――マーク・サヴェージBBC音楽記者

クリス・マーティンをはじめとするバンドメンバーをミニバンに詰め込み、地図と1年分の食料を渡せばいいというほど、全世界ツアーは簡単なものではない。

コールドプレイの前回ツアーでは109人のスタッフと32台のトラック、9人の運転手が雇われ、バンドと共に5大陸をめぐった。全122公演の動員数は540万人だ。

このバンドのカーボン・フットプリント(CO2などの排出量)の計算も一筋縄ではいかない。しかし最新の調査によると、イギリスでは毎年、コンサートやライブによって40万5000トンもの温室効果ガスが排出されているという。

問題を引き起こしているのは、アーティストの飛行機での移動だけではない。最大の汚染源は観客の移動手段だが、コンサートグッズの製造や、照明への電力供給、ステージセットの移動でも環境コストがかかっている。

U2が2009年にコンサートツアーで使用した「クロウ(かぎ爪)」と呼ばれたステージセットの移動には、120台のトラックが使われた。環境保護団体によると、U2のカーボン・フットプリントは火星への往復飛行に匹敵するという。

これ以降、音楽業界はより持続可能な活動へとシフトしてきた。

レディオヘッドは使用する照明をLED電球に変更した。The 1975はグッズ販売をやめ、チケット1枚につき1ポンドを植林を推進する非営利団体(NPO)「One Tree Planted」に寄付している。U2もギターの弦をリサイクルするなど、さまざまな環境保護活動を開始した。

コールドプレイはさらに一歩踏み込んだ。ツアーをカーボン・ニュートラルにするだけでなく、地球にとって「積極的な利益」になるものにしたいとしている。さらにコンサートを中止したことで、彼らは大きな収入を失うことになる。前回のツアーの収益は5億2300万ドル(約570億円)だった。

コールドプレイがどんな解決策を見いだすのか、業界全体が注目している。

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