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韓国からの旅行者数が65.5%激減 空の便の運休や削減などで地方は打撃

韓国政府による一方的な決定を発端としたGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄が2日後の23日に迫るなど、悪化が進む日韓関係に改善の兆しが見えない。観光面の影響は如実で、今年10月に日本を訪れた韓国人観光客は19万人余り(推計)で、1年前の昨年10月に比較して65.5%減少した(一部は推計値)ことが20日に発表された。

日韓関係が混沌とした状況になるまでの経緯を振り返り、観光客減少などに伴う国内への影響を探った。



「親北」路線の文政権 日本との関係は悪化の一途

2017年5月に大統領に就任した文在寅氏。安倍晋三首相との首脳会談は、就任から2か月後の7月7日に行われた。18年4月には、11年ぶりとなる南北首脳会談を板門店で実施し、2か月後の初となる米朝首脳会談の実現に尽力するなど、「親北」とも称される通り、対北朝鮮融和政策が相次いだ。ところが、その反面、日本との関係は悪化の一途をたどった。

2018年10月30日 徴用工問題で、韓国最高裁が日本製鉄に賠償命令
2018年11月21日 韓国が日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」解散を発表
2018年11月29日 三菱重工業にも賠償命令
2018年12月20日 韓国海軍駆逐艦が海自哨戒機に火器管制レーダーを照射
2018年12月28日 日本側がレーダー照射を動画するも韓国政府は照射を否定
2019年1月9日   日本政府が徴用工問題をめぐり政府間協議を要請
2019年1月21日  防衛相がレーダー照射をめぐる協議を打ち切り
2019年2月7日   韓国国会議長が天皇の従軍慰安婦問題で謝罪に言及
2019年5月1日   日本製鉄などの資産売却命令を韓国原告側が申し立て
2019年5月20日  徴用工問題で日本が「仲裁委員会」設置を韓国に要請
2019年6月18日  韓国政府が「仲裁委員会」仲裁委員を期限までに任命せず
2019年6月28日  G20首脳会談で日韓首脳が会談見送り

外交問題が相次ぎ首脳会談も見送りの事態に

Getty Images

日韓関係が大きく悪化する一つのきっかけは、徴用工問題をめぐる韓国最高裁による日本企業への賠償命令だ。徴用工への補償については1965年の日韓請求権協定で「解決済み」とされていたため、日本側は強く反発。韓国側駆逐艦によるレーダー照射問題が関係悪化を加速させ、両国間の意見の相違は平行線をたどった。そうした中、当初予定されたG20での首脳会談は見送られる事態に至った。

2019年7月1日   日本政府が韓国を「ホワイト国」からの除外方針を発表
2019年7月18日  韓国大統領府がGSOMIA破棄の可能性を言及
2019年8月22日  韓国国家安全保障会議でGSOMIA破棄を決定
2019年9月18日  韓国側が日本を「ホワイト国」から除外
2019年10月3日  北朝鮮によるミサイル発射について韓国が情報提供を要請
2019年11月23日 午前0時にGSOMIAが効力を失う(予定)

両国の対立は、軍事協定の破棄や、貿易における優遇措置の縮小など具体的に表面化。さらに、日韓を結ぶ空の便の運休や、訪日韓国人の減少など影響は如実だ。

韓国LCC中心に相次ぐ運休


日韓を結ぶ便の運休は、LCCを中心に相次いだ。現在、韓国のLCCは6社全社が日本国内に就航している。

エアソウルは広島や富山、熊本、静岡など地方都市を結ぶ便を相次いで運休。便数の削減も目立つ。国内に12か所設置している支店についても、半数にあたる6支店を年内に休止するという。ティーウェイ航空も札幌、那覇、佐賀、大分便を運休している。フラッグキャリアの大韓航空を含めて他社でも同様の動きがあり、運休や便数削減の動きは今後続く可能性がある。

訪日者数の減少で地方は痛手

韓国からの訪日観光者数の減少は数字として表れた。特に韓国からの観光客をあてにしていた地方には痛手となっている。

別府温泉や湯布院、「小京都」と呼ばれる日田などの観光地を抱える大分県。玄関口となる大分空港と韓国を結ぶ便がすべて運行休止となる事態に陥った。


大分空港では、ティーウェイ航空が釜山、務安便に続いて、8月からは毎日1往復していたソウル間の定期便も運行を休止。韓国からの観光客が増加する毎年1~3月に定期便を運航していた大韓航空も、来年については見送りを表明した。

空港では、今年5月に国際線ターミナルビルの増改築が完了し、施設整備による新規路線の開拓を目指していた。特に、県内へのインバウンド(訪日外国人)の59.2%を韓国からの旅行者が占めることから、県の担当者は「国際便は韓国が唯一で、韓国から旅行者に頼っていた部分が大きいため、県内の観光への影響は大きい」と漏らし、「こうした事態に備えて、中国や台湾などほかの地域からの誘客を強化したい」と話した。

韓国からの訪日者数は65.6%の激減

日本政府観光局が今月20日に公表した資料によると、韓国からの訪日旅行者数は先月が19万7300人で、昨年10月の57万1176人から65.5%と大幅に減少。20万人を割り込むのは5年ぶりで、関係悪化を背景に、日本と韓国を結ぶLCC(格安航空会社)の運休が相次いだことも影響した。

ラグビーワールドカップの影響で、昨年10月と比べてイギリス(85.6%増)やロシア(32.7%増)、フランス(15.1%増)、オーストラリア(8.8%増)が増加したことに比べると、その減少ぶりが際立つ。

世界有数の観光都市・京都でも、中国や台湾からの旅行者の姿ばかりが目立つという。

京都市内で和風居酒屋を営む男性(54)は「国家レベルで仲が悪くなったとしても、民間レベルではあまり影響がないと考えていた。ふたを開けてみたら、『こんなに減るん?』って程の減り方で、影響は大きい」と明かし、「自分たちは韓国に旅行に行くのにためらいはないけど、韓国の人はそうでもないのかな」と首を傾げた。


韓国を訪れても「関係悪化の影響感じない」

事実、日本から韓国を訪れる人の数に傾向の変化は少ない。観光で頻繁に韓国に向かうという東京都杉並区の女性(27)は21日からソウルを訪れている。「報道されているような日韓関係の悪化の影響は感じない」といい、「ソウルに向かう早朝の便も日本人の観光客でいっぱいだった」と話す。

韓国人の日本への旅行者数は、韓国国内の気温が急激に下がることや、学生が休みに入ることなどを理由として、毎年1月に最多となり、今年1月には77万9400人が訪れた。空の便が復旧する見込みがないことも踏まえると、来年1月の訪日者数が同水準となるのは難しそうだ。

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