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NHK「それは経費で落ちません!」で爽快感が体を突き抜ける

中村ゆずか[メディアゴン編集部]

***

「それは経費で落ちません!」

会社員の経験がある人ならば一度くらいは言われているであろう言葉。それが、そのままタイトルになっていて、NHK、金曜夜10時からのドラマを思わず見始めた。



視聴中は脳内が男性化して、主人公の森若沙名子さんに、冒頭のセリフで叱られたくなる。放送終了後、完全に森若ロスである。

天天コーポレーション経理部に所属する、恋愛経験のない20代後半の生真面目な女性が、仕事に恋愛に奮闘する。ありがちな設定だが、そうではない点が3つある。

1つめ。失礼ながら主人公が美人過ぎない。森若を演じる多部未華子さんはカワイイ。しかし、こんな女性が経理部にいるわけない、と思うほどではない。OLの制服が実に自然。「家政婦は見た」の米倉涼子さんや、「ふれなばおちん」の長谷川京子さんのようなモデル出身の超絶美人が、冴えない設定の役を演じても、オバチャン視聴者は冷めるのである。

2つ目。またまた失礼を承知で書くが、相手役が、超ハンサムでもセレブでもない。ドラマでは地味で冴えない女性が、ハイスペックな男性と恋に落ちるのが王道。当番組で言えば、桐山蓮演じる営業部エースの山崎柊一か、橋本淳演じる社長の息子で専務の円城格馬か。しかし森若の相手役は、仕事はできるが一営業部員の、重岡大毅演じる山田太陽。明るすぎる太陽が空気を読まず、一人が好きで自己完結している森若の心の殻を破っていく。その過程がコミカルで、深い放送時間なのに、思わず大声で笑ってしまうのだ。

3つ目。仕事がきっちり描きこまれている。総務は華やかな部署ではないが、お金の流れは企業の血流、企業そのもの。森若は、経費申請のやり取りや帳簿の数字から、疑わしい点に気づいてしまう。そして「ウサギを追うな。」(深入りするな)と思いつつも、結局は調べて不正を暴くことになる。

不正が暴かれれば、カタルシスを得られるわけではない。病気の家族の治療費のために不正を働いた社員がクビになったときは、森若は、これで良かったのかと悩み苦しむ。時に社員に嫌われても、正しいことをしようと頑張っている。そんな不器用な森若を、視聴者はいつのまにか応援している。

カムバック、森若サン。原作のライト文芸は続きがあるというし、続編を心から待つ。そして、また叱ってほしい。

「それは経費で落ちません!」

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