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橋下徹「あのコメントに妻が怒ったわけ」

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女優の沢尻エリカ容疑者が合成麻薬MDMAを所持していたとして警視庁に逮捕された。相次ぐ薬物犯罪に社会はどう対処すべきか。テレビ番組で持論を述べた橋下徹氏のもとに、夫人から一本の電話が入った。その顛末は? プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(11月19日配信)から抜粋記事をお届けします。

多数の報道陣が待ち構える中、警視庁東京湾岸署に入る女優の沢尻エリカ容疑者を乗せた車=2019年11月16日、東京都江東区 - 写真=時事通信フォト

(略)

■「凶悪犯罪につながり子供たちが犠牲になることも」

11月17日夜、僕はフジテレビ系「Mr.サンデー」(22時から23時10分)に出演し、この件に関し次のようにコメントした。

「薬物に対しては厳しい日本社会であることを望む。沢尻さんには厳罰を与え、厳しい社会的制裁を加えることは当然だが、沢尻さんが薬物依存を断つことを前提に、社会復帰することを望む」

「薬物犯罪には被害者は存在しない。だから被害者感情を考える必要はない。薬物が凶悪犯罪につながる可能性が高いのは間違いないので、日本社会が厳しく対応するのは当然だが、人間誰にでも失敗はある。沢尻さんは女優としての力を評価されていた。もう一度チャンスは与えられるべきだ」

(略)

番組が終わって、ホテルに24時過ぎに着いたら、携帯電話が鳴った。電話から湯気が出ている感じだった(笑)

通話ボタンを押すと、妻だった。

「沢尻さんだからといって、いきなり社会復帰を望むなんてちょっと甘いんちゃうの? 薬物はアカンと思う。沢尻さんは他人に危害を与えていなくても、薬物が凶悪犯罪を生んで、それで子供たちが犠牲になることだってあるやん。飲酒運転で人をひかなくても、危ないから厳罰やん」

妻は、うちの子供のことに限らず、子供全般に関わることへの僕のコメントにはいつも厳しい。特に、教育政策などに関するコメントについてはね。

ここから僕は番組が終わったというのに、再度コメンテーターに戻って、妻に深夜の解説をした。番組では時間の制約上十分にコメントできなかったので、妻への解説を基に本メルマガで僕の真意を論じたいと思います。

■社会的影響力が大きく襟を正すべきだが「特別な厳罰」はおかしい

芸能界は薬物犯罪に甘い、ということがよく言われる。

(略)

芸能人以外の一般人は、勤めていた「会社」をクビになったとしても、他の「会社」に勤めることはいくらでもできる。日本社会では、前科のある人の採用が禁じられているわけではない。あとは本人の実力次第だ。

(略)

もちろん芸能人は、同じ番組でジャーナリストの木村太郎さんが指摘したように社会的影響力が大きいし、一人の存在によって動くお金の額も大きい。ゆえに芸能人には強く襟を正してもらわなければならない側面はある。しかし、だからといって芸能人のみを特別に厳罰に処しなければならないというのは、法治主義国家の考え方にはそぐわない。

(略)

そうはいっても、殺人罪や強制性交罪(旧強姦罪)など悲痛な被害者が存在する犯罪では、被害者感情として、犯人の社会復帰をたやすく認めるべきではないという論もあるだろう。

僕もそれを理解しているつもりだ。一度失敗してもチャンスを与えるべきだといくら言っても、どうしてもチャンスを与えるべきではない犯罪が存在することも確かだ。

(略)

ただしこの場合でも、刑期を満了し刑務所を出てきた場合には社会復帰を促すというのが、今の日本社会の流れである。

この点、沢尻さんの今回の件でも、沢尻さんの人権や、薬物犯罪は社会の責任でもあるというきれいごとの論理で、今の段階において沢尻さん出演の番組の放送を促す動きが一部であるようだが、それは違うと思う。ルール違反には刑罰と社会的制裁が加えられなければならないので、番組の放送中止などは当然だ。ただし、前科者がさらに犯罪に走らないようにして「社会の安全を守るために」という意味で社会復帰を促す必要がある。

そして、薬物犯罪は、「被害者が存在しない犯罪」と言われている。これは法律の世界の用語の使い方であって、テレビで発言する際には説明不足だった。ここは妻にも指摘された。

ここは、薬物犯罪は「他人に危害を与えていない」というのが正確な説明だった。だから被害者感情を考慮する必要がない、と。

では木村太郎さんが言うような、仕事上迷惑をかけた相手は被害者ではないのか?

これは「刑事事件」の被害者ではなく、「民事事件」の被害者だ。ここをごっちゃにしてはならない。

(略)

■薬物依存から脱し「危険性」をなくすまでは自由の制限も

そして、薬物犯罪の場合には、初犯の場合には多くが執行猶予になるし、実刑になるにしても懲役3年くらいまでだ。

多くは、裁判が終わればすぐに(保釈される場合には裁判が終わる前。最近は保釈が多い)、長くても3年ほどで薬物犯は社会に出てくる。

(略)

薬物依存からの脱却は、一定の時間が過ぎれば達成できるというものではない。当たり前だが、薬物依存からの脱却は、いくら時間がかかろうが「脱却した」と認められるまでは成立しない。

(略)

ゆえに僕の案は、完全に薬物依存から脱却してもらうまでは、自由を一定制限する。薬物依存の危険性がなくなったかどうかは専門家にその判定基準を作ってもらう。更生プログラムが完全に達成するまでは社会復帰はできないようにする。これは一定の期間、刑務所に入っているだけで自動的に罰が終わる一般の刑罰と異なり、薬物依存の「危険性」が完全になくなるまでは完全なる自由が与えられないというもので、犯罪者にとっては最も酷な罰だ。厳密に言えば「治療」の側面が強い。

(略)

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