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"韓国人離れ"の新大久保が昔以上に活況な理由

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■チーズダッカルビ、ハットグが10~20代に大ヒット

こうした努力に加えて日韓関係の改善も後押しして客足が戻ってきた中、街のにぎわいを一気に取り戻したのがチーズタッカルビ・ブームだ。

鄭さんは「ブームの影響は街そのものが変わるくらい大きかったです。客層も以前は韓流ブームの影響で50~60代が中心でしたが、今やすっかり若くなり10~20代が中心になりました」と語る。

その後も「ハットグ(=韓国風ホットドッグ)」などのヒットが続いた他、韓国の化粧品も人気を集めていて、今、新大久保はかつてないほど活性化しているのだ。

街にはさらなる変化も起きている。韓国・朝鮮籍の人が減ったところにネパールやベトナムの人たちが経営する店が入ってきているのだ。

データは新宿区の外国人住民の国籍別ランキングなので新大久保の住民だけではないが、多国籍化が急速に進んでいることが見てとれる。実際に新大久保を訪れると、韓国料理の店でも東南アジアや南アジア系の従業員が働く姿が。

鄭さんは次のように話してくれた。

「コリアンタウンというより、アジア各国の料理を楽しめる非常に面白い街になっていけばいいと思います。私たち韓国人が経験してきたことを先輩として教えながら、日本社会での多文化共生の先例をつくっていきたいと考えています」

■外国人があふれる上野の「アメ横」

上野の「アメ横」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。お正月に向けてマグロやカニ、数の子といった海産物を買い求める人たちでごった返している姿……と答える人が多いと思う。

ところが私たちは取材中に衝撃のひと言を聞いた。

「そういえば、いまのアメ横って、ほとんどが外国人らしいよ」

なにはともあれ、現場に行ってみないと始まらない。そんなわけで向かったアメ横は、平日の午前中から多くの人でにぎわっていた。けれど、どこか様子が違う。海産物を売る店が、なんだか少ないのだ。

「年の瀬に見るあの光景はどこに行ったのだろうか」

この疑問に答えてくれたのは、商店街の約400店舗をとりまとめる「アメ横商店街連合会」の千葉速人さん。革製品店を経営するかたわら連合会の副会長を務め、アメ横の移り変わりを一番近くで見てきた人だ。

「実は今や、商店街の40店ほどは外国人が経営するお店なんです。お客さんも、正確な統計は取っていませんが6割くらいが外国人。昔は中国人が多かったけど、最近ではベトナムとかの東南アジア、ヨーロッパからの人たちも多く来てくれています。昔から一定数はいたけれど、こんなに増えたのはここ5年くらいでしょうかね」

■たたんだ老舗店の跡地に続々と出店した

そう聞いて並んでいる店をよく見ると、ケバブにタピオカ、中国料理や韓国料理と、海産物どころか“日本っぽくない”お店が多くあることに気がついた。どうしてここまで外国人経営のお店が増えたのか。

千葉さんはこう答える。「昔から続いてきたお店の中には、後継者がいなくて店を続けられないところもありました。空き店舗にはしたくないと考えていたところ、外国人がそこに新しく店を開いてくれたんです」。

ちなみに千葉さんによると、海産物が並ぶ有名な光景は年末の一時期だけで、ふだんは全く別のものを売っているお店が、その時期だけ業態を変えるそうである。取材に応じてくれた靴店では、年末にカマボコを売るために、毎年、営業許可を取っているとのことだった。

この場所でケバブ店を経営する、トルコ出身のオスカルさんにも話を聞いた。

元々は海苔を売る店があった跡地に、4年前に店をオープンした。取材に訪れた時にはウズベキスタンからの留学生グループがボリュームたっぷりのケバブサンドを頬張っていた。かつては別の場所でも店を開いていたオスカルさんは、アメ横に店を開いた理由について、秋葉原や浅草、銀座といった観光地に近く外国人が集まりやすいこと、スパイスをはじめとする食材がそろいやすいことをあげた。

■客のほぼ100%が外国人という“ディープ”な店も

さらに“ディープ”な世界があると聞き、向かった先は商店街にあるビルの地下。「地下食品街」と書かれた看板をくぐると、そこには不思議な空間が広がっていた。


NHK取材班『データでよみとく 外国人“依存”ニッポン』(光文社新書)

見慣れない食材に外国語ばかりが書かれた値札。どうやって食べるのかわからない、生の肉や野菜、さらにはスパイスが複雑に混じり合った香りに、飛び交う外国語。階段を降りただけなのに、自分はどこか別の国に来てしまったのではないかという錯覚に陥る。

取材した店の1つは、中国やタイなどアジア圏のものを中心に、野菜や果物の他、調味料やお菓子、即席麺などを輸入し販売していた。開業当初は日本人向けの野菜や魚が中心で、海外から輸入した香辛料の販売は多くなかったそうだ。だが、少量でも海外産のものがあるという情報が口コミで日本に住む外国人の間に広まり、15年ほど前に、外国の食材を売る店へと業態を変更したそうだ。

今では客のほぼ100パーセントが、日本で暮らす外国人になった。品ぞろえも彼らのニーズに合うように工夫を重ねた結果、すべてが外国産、あるいは日本国内で生産された外国人向けの食材になった。

※データや人物の肩書き、年齢、取材現場の状況などはすべて取材時のものです。

(NHK取材班)

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