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第9回ジオメディアサミット/嵐の前の静かな緊張感

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2012年6月23日(土)、第9回ジオメディアサミットが開催されたので、参加してきた。

開催概要は以下の通り(敬称略)。


・開催日時: 6月23日(土) 9:30 - 9:35

・開催場所:パシフィコ横浜

G空間EXPO内のイベント、「g空間WAVE2012 gコンテンツワールドxジオメディアサミット」の

第2部として開催


・スケジュール

  09:00 開場

  09:30-09:35 開始、主催者挨拶

  09:35-10:20 ライトニングトーク

  10:20 休憩(10分)

  10:30-11:00 講演1(30分)

  11:00-11:30 講演2(30分)

  11:30-12:30 パネルディスカッション(60分)


・ライトニングトーク

1. あなたのジオ開発を加速する!HeartRails Express / Geo API
発表者:ハートレイルズ 大久保康平 (id:kuboon)
2.「人」を軸に展開するグルメサービス

発表者:株式会社ゼンリンデータコム 八代 愛 


3. Aerial

発表者:Shoichi Otomo

概要:GeoJackass


4.「Web時代のGIS技術勉強会」やってます!

発表者:伊藤昌毅(@niyalist) 


5. 屋内測位技術「IMES」を活用した屋内位置情報ゲーム「ニコタマコレクション!」

発表者:株式会社電波の杜 代表取締役 炭谷大輔


6.商店街アプリ・地域生活情報アプリの事業展開状況を臨場感たっぷりにお伝えします!

発表者:株式会社らしく 佐藤 純也


7.プライバシーに安心を加えると位置情報はもっと楽しい!ZONEの続きの話…

発表者:笹田 忠靖(@sa2da GEOHEX Inc.) 


・講演   


講演1:井口 尊仁(頓智ドット株式会社)

  講演タイトル:インタレストをアクションに変換する。セカイカメラ進化系"tab"に込められたメディア再発明のアイデアを初めて語る。

(登壇者プロフィール)

立命館大学文学部哲学科卒。ソーシャルネットの未来に魅了されて株式会社デジタオを1999年に創業。そして現実空間のソーシャル化を志向して頓智ドット株式会社を2008年に創業。「セカイカメラ」のコンセプトをTechCrunch50にて発表、その一年後に正式ローンチし、世界80ヶ国で300万ダウロード突破。2012年には都市を行動する新メディア「tab」を地球規模に拡張するため世界中を駆け巡っている。


講演2:澤村 正樹(NTTレゾナント株式会社)

講演タイトル:位置情報サービス「PinQA」のウラ側(仮題)

(登壇者プロフィール)

NTTレゾナント株式会社所属。ソフトウェアエンジニア。位置情報サービスPinQA(ピンカ)や写真共有Photomemo(フォトメモ)などの開発とディレクション、UI設計などを担当。その他に「助けあいジャパン・ボランティア情報ステーション」およびSkillStockの開発を担当。Linked Open Dataチャレンジ実行委員。


・パネルディスカッション

大喜利:ジオを支えるこれからの技術

モデレーター:古橋大地

パネラー:

・澤村 正樹(NTTレゾナント株式会社)

・井口 尊仁(頓智ドット株式会社)

・武藤 勝彦(宇宙航空研究開発機構:JAXA)

・高木 悟(KDDI株式会社)

・大塚 恒平(ここギコ!)

・河合 太郎(ヤフー株式会社)


ハッシュタグ:#gms2012 

公式Twitterアカウント:@geomediasummit

第9回ジオメディアサミット in G空間WAVE2012:これからの「技術」の話をしよう | イベントアテンド [ATND] でイベント作成・チケット販売・参加者の出欠管理



初心に返り技術の話をする?


今や私にとってもすっかり恒例行事となったジオメディアサミットは、毎回何らかの気づきを得ることが出来る貴重な場であると当時に、感じたことをこのブログにまとめて、その感想を聞いたり意見交換をさせていただくことを通じて、その気づきを深めることができる大事な機会でもある。だが、今回は主催者から『初心に返り技術の話を中心としたい』という事前のお話しがあり、エンジニアではない私としては、この場に集結するレベルの高いエンジニアの技術の話について何が書けるのか、そもそも理解できるのか、いつになく不安を抱えて臨むことになった。



潮目の変化


だが、一方で、主催者が今回『初心に返り』、『技術』という基本を見つめ直そうという心境になる、そのように気を引き締めるべき心境にさせられる状況とは何なのか。皆が本当にそれを感じているのか。これほどのメンバーが集結してそれぞれの思いを述べるなら、何らかの端緒は見つかるに違いないと思い、それを見定めることも目的の一つになった。


案の定、事前の予想以上にその裏テーマの存在をはっきりと見て取ることができた。やはり皆、潮目の変化の兆しを感じている! 『漠然とした不安感』『嵐の前の静けさ』『ステージが変わる直前の緊張感』・・等々、随所に感じられる。といっても、急速に成長/発展してきたジオメディア業界や関連の市場が何らかの壁にあたってストップしたり、停滞するというような景気の悪い話ではない。むしろその逆だ。一気に加速して急速に次のステージに上昇するのではないか。ただ、その過程で競争は激化して、変化を乗り切る力や進取の気性のないプレーヤーは脱落し、新旧が一気に交代するようなことが起きるのではないか。この急速な進化に自分が取り残されてしまうのではないか。そのような漠然とした不安感や緊張感があるようだ。


では、どうしてそう感じてしまうのか。多少異論はあるかもしれないが、少なくとも次の3つの要素はあるのではないか。


(1)アップル vs Google /メガ(巨大)プラットフォーマーの苛烈な競争

(2)新技術によるサービスの格段の進化と優勝劣敗

(3)急拡大するユーザーの不安感/プライバシー問題への対処



アップル vs  Google


事前の噂通り、アップルは先日のWWDC (WorldWide Developers Conference)にて、次期モバイルOSであるiOS6で、独自開発の地図による参入を宣言した。近年地図関連技術に巨額投資を続けて来たGoogleも手をこまねいているわけはなく、WWDCに先駆けて次世代地図について発表を行っている。


今回のジオメディアサミットの最後のメニューである、エンジニアによるパネルディスカッションでは、『3年後のWEB地図メインストリームは誰か?(3年後のAPIベースでの市場シェアは?)』との司会の問いかけに、アップルとGoogleが主役であることはほぼ皆が認めているわけだが、両者とも地図単体としてのサービスではなく、地図をそれぞれの提供するプラットフォームでのアプリとクラウドストレージサービスと統合して、ユーザーをより深く双方のエコシステムに囲い込む手段とすることが狙いであることは明白だ。そうなると益々、3年後の市場は、これらメガ(巨大)プラットフォーマーが激突して市場の覇権を握り、既存のプレーヤーを圧倒している可能性が高い。少なくとも両者の競争に伴う進化のスピードに着いて行けなければ脱落せざるをえない。


すでに、この1~2年の間にも、パソコン、携帯端末、電子書籍リーダー等につき、この『メガ(巨大)プラットフォーマー』が既存プレーヤー(モトローラ、ノキア、ソニー等)を蹴散らす様子を見せつけられて来たわけだが、その延長で言えば、次に蹴散らかされる候補は、位置情報関連のビッグビジネスであるカーナビであることは誰の目にも明らかだろう。パネルディスカッションの登壇者の一人、『セカイカメラ』の開発者、頓知ドットの井口氏から、現行のカーナビはユーザー同士の交流の仕組みは貧弱で、eコマース(自動車に乗車したまま決済ができるような仕組み)等のサービスも出来ておらず不満足という主旨の発言があったが、今のままでは、これもバックヤードに充実したクラウドサービスや決済システムを持つメガ(巨大)プラットフォーマーの独壇場になる可能性が高い。


この構図を以前別の機会で利用したマップで図示すると以下のようになる。(タイトルはIT電気市場だが、ジオメディア市場関連でも十分使えると判断した。)


リンク先を見る


市場の中心の『場』をメガ(巨大)プラットフォーマーに握られる構図はもはや揺るぎようもないが、日系のプレーヤーにも生きる道が閉ざされたわけではない。例えば、地図を部品として利用する地図API利用者にとっては(競争は厳しくなるかもしれないが)、むしろチャンスが広がる可能性もある。これを含めて、別の機会にも述べた通り、少なくとも次の3つの生筋はある。


(1)良質な地図部品提供者

(2)プラットフォーマーの地図部品等を利用するサービス提供者

(3)巨大プラットフォーマーに対抗できる

   サービスの核/価値を持つカテゴリー・プラットフォーマー


まさに、各自基本に返って自分の立ち位置と強みを再確認し、技術を磨き、自分がどこで勝負していくのか冷静に判断していくべきだろう。個人的には、パネルディスカッションでここギコ!の大塚氏が述べたように、日本の各社には、自分たちが蓄積してきた『経験』『おもてなし』をサービスの核/価値として、メガ(巨大)プラットフォーマーに自分たちの得意なカテゴリー(領域)で対抗する『カテゴリー・プラットフォーマー』(ジオメディア業界ではないが、クックパッド、ニコニコ動画、カカクコム等が代表例)として踏ん張って存在をアピールして欲しいと思う。



新技術によるサービスの格段の進化


パネルディスカッションの初っ端に、パネラーの一人、宇宙航空研究開発機構の武藤勝彦から、準天頂衛生”みちびき”と地上補完システム”IMES”についてのプレゼンテーションがあったが、これが実現すると、測位精度がセンチメートル級になるという。当然、これで実現できそうなことは沢山あるし、サービスのポテンシャルを格段にあげることは間違いなかろう。だが、参入のハードルはそれなりに上がり、資金も人材も準備して臨むことが必要になるはずだ。となると、ビジネスとしては失敗が許されにくくなることは考えられる。ところが、現段階で、技術的な可能性の拡大に見合う収益が期待できるかどうかは未知数だ。これはちょうど、昨今『ビッグデータ』利用の参入のハードルが下がって、巨大な可能性が取りざたされる一方で、具体的な利用イメージがなかなかできあがってこないことと似ている。


そうしている内にも、ここでも資金と人材が豊富な『メガ(巨大)プラットフォーマー』が、このようなインフラの進化を有効に利用して優位に立つことになるかもしれない。ステージの格段の進化と同時に競争激化による優勢劣敗が起きてくることにもなるかもしれない。この点でも、関係者が『初心に返って』自分と自分の技術を見つめ直そうという気持ちになるのも無理はない。



それで何をするのか


これに関連して、パネルディスカッションでの、『測位制度が○○cmになったら、△△ができるのに』という質問に、パネラーの側に困惑の表情が見られたことは非常に印象的だった。できることは思い浮かんでも、実際のサービスとして何を実現すべきなのか、明言しにくいということではないのか。


そんな中でも、NTTレゾナントの澤村氏から、『リアル いいね!』の実現というアイデアが出たり、Yahoo!の河合氏から、『人間を座標にすること、すなわち、誰が誰の前/側にいる、というような人間の相対位置が把握できる』というお話が出たりしたことは実に興味深い。WEBサービスがマネタイズを実現してビジネスとして成立するための鍵は『コミュニケーション』であることは大方常識として定着しはじめているが、如何に面白そうな技術であっても、『コミュニケーション』の促進や活性化に寄与する道筋が見えないと、ビジネスとして成立せずに終わる恐れが大きいことを皆ある程度(無意識にではあれ)感じるようになっていることの現れのように私には見える。


特に河合氏のお話しの延長上には、AR(Augmented Reality)の技術と組み合わせることによって、現実空間において、人間ないし人間の顔をマーカーとすることができることを示唆していて、本人と本人の周囲の人たちの正確な場所が特定できて、しかもその人の過去の行動履歴、他の人との関係等も瞬時にわかって、眼前に表示される、というような未来像が目に浮かぶ。確かにこれはビジネスとしては巨大なポテンシャルがある。現状のWEBソーシャル系サービスを大きく現実空間に広げて、広告宣伝/販売促進にも大いに寄与するだろう。だが、これには巨大な壁が立ち塞がることになる。プライバシー問題だ。



『非合理』のコントロールの必要性


ちょうど、米国で行われていたFacebookに対する集団訴訟(クラスアクション)が和解決着したという記事が出ているが、この和解で、Facebookはユーザーが自分の名前やプロフィール画像などをスポンサー広告に利用されないようオプトアウトできる機能を設けることを強制されたようだ。

Facebook、集団訴訟で和解―スポンサー広告へのユーザー画像等の利用をオプトアウトする機能の設置を迫られる


記事をよく読むとこれは狭義のプライバシー問題というより、『プライバシーに関する不安感』が広告に対する忌避感に飛び火した、いわば、『プライバシー周辺問題』といえそうだ。昨今、米国でも、『Facebook疲れ』が起きていることが知られているが、これもプライバシー感情を含む、人間関係のコントロールが複雑になることに対する忌避感情とでもいうものが顕在化してきていると思われる。これには、Facebookに限らず、ソーシャル系サービスの会員が急増するにつれ、インターネットの進化に賛同する先進層だけではなく、本来新しいテクノロジーには腰が引けていて、場合によっては忌避感さえ持っている一般層が続々と参入していることが背景にあると考えられる。一定のルールを守って運用していたはずなのに、一般層の無意識的な忌避感情や拒否反応が何かの理由で膨張し、突如『非合理』とも見える反発をくらうことも珍しくなくなって来ている。ソーシャル系のサービス運営者には『合理』のコントロールから『非合理』のコントロールのノウハウが必要になってきているとさえ言える



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