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「嵐・二宮の結婚」はジャニーズ凋落の始まりだ

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芸能界の非人道的な因習を知らしめた

「嵐」の二宮和也(36)と元フリーアナウンサーの伊藤綾子(38)の結婚発表は、芸能界にはスターの結婚が許されないという非人道的な因習がまだ残っていることを、多くの人に知らしめたという一点においてだけ、評価され、祝福されるべきだと、私は考える。


2019年7月10日、ジャニー喜多川氏(故人)が興した「ジャニーズ事務所」の外観。 - 写真=AFP/アフロ

はるか昔にも、映画会社の縛りによって、トップスターの結婚が許されない時代があった。

今は覚えている人も少ないだろうが、日活という映画会社の大スターだった石原裕次郎が、映画『狂った果実』で共演して恋仲になった、これもトップ女優だった北原三枝との結婚を、日活が許さなかった。

追い詰められた2人は、手に手を取ってアメリカへ「婚前旅行」に踏み切ったのである。メディアがそれを知ってすっぱ抜こうとしたため、日活側が折れ、2人そろって羽田空港に帰ってきた。

結婚した北原は芸能界を引退した。その後、裕次郎は日活を飛び出し、独立して映画『黒部の太陽』を作ったことはよく知られている。

これも大昔だが、歌手の美空ひばりと俳優の小林旭が結婚したときも、大騒ぎになった。

ジャニーズ事務所最大の事件「中森明菜自殺未遂」

近くに目を転じれば、ジャニーズ事務所最大の事件といわれる「中森明菜自殺未遂」がある。

1989年7月11日、六本木の自宅に帰ったジャニーズ事務所所属のアイドル・近藤真彦(当時25歳)は、当時「親密交際」していた歌手の中森明菜(当時23歳)がバスルームで血を流し倒れているのを発見した。

明菜の傷は、左肘内側に深さ2センチ、長さ8センチの神経に達するほどの重傷だったという。救急車で運ばれた慈恵医大病院で6時間にもおよぶ緊急手術が行われ、命に別状はなかった。

人気絶頂だった2人に何があったのか、一般紙も含めた多くのメディアは血眼になって詮索した。

近藤と明菜は、テレビや雑誌などで何度も共演しており、2人の仲は公然の秘密であった。

その当時の報道によると、すぐにでも結婚したい明菜と、結婚は30からと考えていた近藤との意識のズレがあったのではないかという見方が多かったようだ。

また、その年の2月に、『フライデー』が、近藤と松田聖子との「密会」を報じたことが、明菜にショックを与えたのではないかともいわれた。

だが私は別の理由があったと考える。

なぜ復帰会見に「金屏風」が置いてあったのか

田原俊彦、野村義男とともに「たのきんトリオ」をつくって一世を風靡(ふうび)し、その後ソロデビューも果たした近藤は、事務所にとって絶対欠かせないドル箱アイドルだった。

その近藤が、中森明菜と結婚することを、事務所側が許すはずはなかった。

それを知っていた明菜は、近藤と事務所への“抗議”の意味で、自殺を図ったのではないだろうか。

それは、事件から半年後の12月31日に行われた中森明菜の「復帰記者会見」に表れていたのではないかと、私は思っている。

彼女のトレードマークだったロングヘアを切ってショートにし、「皆さんにご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます……」と涙ながらに謝罪した。

途中から同席した近藤は、明菜のことを気遣いもせず、明菜との結婚について聞かれると、「まったくありません」といってのけたのである。

2人の背後には、おめでたいときに飾られる「金屏風」が置いてあったことが物議を醸した。明菜は、「近藤が結婚すると言ってくれるから」と言われて、連れてこられたのではないか。

事務所側が、近藤に因果を含めて、「明菜との結婚はない」と報道陣の前で言わせたのではないか。

さまざまな推測が飛び交ったが、いまだに真相は闇の中ではあるが、これだけは言えると思う。ジャニーズ事務所は、稼いでいるタレントが結婚することを絶対許さないということである。

唯一といってもいい例外は、木村拓哉と工藤静香の結婚であった。

「ユーの自由だよ。ただ、ファンはどう思うかな」

キムタクが工藤と結婚すると聞いて、メリー喜多川副社長(当時)は激怒したという噂(うわさ)があるが、キムタクが結婚を発表したとき、工藤は妊娠4カ月だったという。

「できちゃった婚」、それに工藤の所属事務所が力を持っていたから、ジャニーズ事務所側が折れたといわれるが、女性のほうがキムタクより上手だったということであろう。

キムタクの結婚で、ジャニーズ事務所のタレントたちの結婚が次々に解禁されるかと思ったが、そうはならなかった。

あるジャニーズの人気アイドルは女性歌手との一泊旅行が発覚した際、ジャニー喜多川からこう諭されたという。

「ユーが好きで付き合うのはいいよ。ユーの自由だよ。ただ、ファンはどう思うかな。ファンのことを一番に考えてね」

姉のメリー喜多川の考え方は、さらにシビアだそうである。

「彼女はよくファンを髪の毛にたとえて、『年をとればだんだん減っていく』。ファンについては『来る者は拒まず、去る者は追え』」がメリーの信条だそうで、結婚はファン離れの1番のリスクだと考えているといわれる。

人権を無視したやり方がいまだに横行している

そう考えるジャニーズ事務所に、交際さえも許されず、記者たちの前で「もう会うことも一切ございません」と言わされたのが、「嵐」の大野智(34、当時)だった。

『フライデー』2015年10月2・9日号で、10歳年下の元女優A(24)との同棲愛が発覚した大野は、フライデー発売翌日の9月19日、宮城県内でのコンサートの開演前に、各スポーツ紙の担当記者たちの取材に応じた。

「交際が報じられてすぐに、ジャニーズ事務所の幹部からAと別れるように迫られたようだ。大野は記者一人ひとりの手を握って頭を下げ、痛々しいほどでした」(当時取材したスポーツ紙デスク)

タレントの人権を無視しているとしか思えないジャニーズ事務所のやり方である。

こうしたことがまかり通ってきたことが、私には理解できない。

だが、NHKの朝の連ドラ「あまちゃん」で一躍スターになった能年玲奈が、事務所を離れて独立する時、本名である能年玲奈は商標登録してあるから使わせないと事務所側から言われ、「のん」という芸名で芸能活動を続けているのを見ると、こうした理不尽というしかないことが、芸能界では平気で横行しているのである。

自社のタレントの自由恋愛など許さないのは、当然の権利だといまだに考えているようだ。

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