- 2019年11月19日 16:16
【日米貿易協定シリーズ3】アメリカの対日要求は止むことなし-農産物を犠牲にする悪習は止めるべし
2/2<アメリカの過大要求は終らない>
アメリカは、もともと自分勝手な国である。そこにトランプが大統領になり、公然とアメリカ・ファーストと言い放ち拍車をかけている。メキシコはNAFTAの改正に相当協力したのでもうこれ以上は要求されないと思っていたら、不法移民の流入が国家の非常事態だと難癖がつけられ、制裁関税の標的にされてしまった。一安心している日本も今後次々と難癖をつけられ、いつ標的にされるかはわからない。
昨年9月の共同声明では、もともと今回の交渉は第一段階目(first-stage initial tariff agreement)で次があると、二段階方式を規定している。おまけに次の段階にはもっと拡げるぞと正直に明言しているのである。アメリカはそういう点では意外と正直なのだ。
今回、1962年通商拡大法232条の安全保障を理由とした25%の制裁関税をチラつかせて甘い汁を吸ったので、今後は同じ手法で日本側に次々と無理難題を要求してくるのは必定である。
<日本も農産物関税をTPP以前に戻すと反撃の用意をすべし>
日本はこれに対して敢然と立ち向かわなければならない。例えば、アメリカが25%の制裁関税を持ち出したら、この協定を失効させると正々堂々と言い続けることである。日本も農産物の関税をTPP以前に戻してオーストラリア、カナダ、NZといった農産物輸出ライバル国と比べて不利な状態にすると反撃するのだ。もっと言えば、追加関税とは言わないまでも、アメリカが2.5%の自動車・自動車部品の関税を撤廃しないというならば、約束が違うとして食料安全保障を理由として農産物の関税を25%に上げると言ってもおかしくない。
アメリカはしたたかであり、前号のとおり当面25%の追加関税はないと口約束はしているが、協定には何一つ入っていない。また、2.5%の自動車関税の撤廃も不明確のままである。だから、11月8日に二国間会談の明確な内容を示せと岡田克也委員が審議を止めたのである。
<コメを輸入しても牛肉でもアメリカの対日赤字は解消せず>
【日米貿易協定シリーズ1】で述べたとおり、ウルグアイ・ラウンドで輸入を義務付けられたミニマムアクセス米(マイ)77万tの4割近い37万tをアメリカから輸入している。金額にして297億円である。仮に数10億に及ぶ日本のコメ消費量の全てをアメリカからの輸入でまかなうとしても10倍の約3,000億円にしかならない。トウモロコシの3,421億円にも及ばないし、膨大な貿易黒字6兆4,553億円と比べたらほんの僅かなことなのだ。だから、今は大半の人が気がついているが、対米貿易黒字を農産物の輸入によって解決するなどということはあり得ないことなのである。それにも関わらず、日米貿易交渉の歴史は、農産物を差し出して工業製品の輸出を大目に見てもらうことで一貫していた。そして、今回もその流れに完璧に沿ったものとなった。
2000億円を超える台風の被害、そして次々と繰り出される自由貿易協定、これで農業者に意欲を持って取り組んでほしいと言っても無理なことである。今から20年後には想像もつかないほど農業後継者が激減し、それこそ食料安全保障に危険信号が灯っているのではなかろうかと危惧する次第である。



