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2世芸能人の売り出し方、「親の名前出さない」に変化

佐藤浩市と息子の寛一郎(共同通信社)

水谷豊、伊藤蘭夫妻の娘の趣里(共同通信社)

千葉真一の息子の新田真剣佑(時事通信フォト)

三浦友和と息子の三浦貴大(時事通信フォト)

工藤公康と工藤阿須加(時事通信フォト)

 2世タレントの“売り出し方”の戦略は、時代とともに大きく変わってきた。かつての2世タレントたちは「七光り」を最大限に利用し、いきなり主要キャストとして華々しくデビューするケースが少なくなかった。

【写真】水谷豊、伊藤蘭夫妻の娘の趣里

 高島忠夫・寿美花代夫妻の息子・政宏は、大学在学中に映画『トットチャンネル』で華々しくデビューし、同作で日本アカデミー賞やブルーリボン賞などの新人賞を獲得。弟の政伸も、大学在学中にNHKの朝ドラ『純ちゃんの応援歌』でデビューしている。高島ファミリーはバラエティなどにしばしば一家総出で出演しており、「芸能一家」の「親子共演」は当たり前だった。

 しかし、その後は「親の七光り」が本人にとってマイナスに働くケースも増えた。高橋英樹の娘の高橋真麻もその例といえる。

「2004年にフジテレビの局アナになりましたが、入局当初から『コネ入社だろ』と言って叩かれ、バラエティ番組などでイジられてばかりで、アナウンサーとしては不遇だった。しかし、2013年にフリーに転身してからは、不遇時代に磨いたバラエティ力を存分に発揮し、今や超売れっ子になっている」(フジ関係者)

 松田聖子と神田正輝の娘・神田沙也加も同様だ。「13歳でデビューしたが、ステージでの母子出演も多く松田聖子の娘であることを活用してきた感は否めない。それが視聴者の反感を買ってしまった。2011年末のNHK『紅白歌合戦』に出演し、母子でデュエットした時には親の七光りなどとバッシングを浴びました」(音楽関係者)

 しかし、そんな神田沙也加も、女優業のかたわら声優の専門学校に通うなど地道な努力を経て、2014年公開のディズニーのアニメ映画『アナと雪の女王』日本語版では、見事に王女・アナ役を射止めた。

「映画の大ヒットを引っさげて、その年末には再び紅白に出場し、歌唱力が絶賛された。1回目にバッシングを浴びた“リベンジ”を見事に果たしたかたちです」(同前)

 あるキー局関係者は「10年前あたりから2世タレントに対する、世間の空気が如実に変わってきた」と語る。

「ネット全盛時代になり、『何の芸もないのに』といった2世タレントに対するバッシングが、今まで以上に世間に拡散するようになった。加えて、俳優やスポーツ選手の子供たちが続々と芸能界入りしたことで、よほどの大物の子供でない限り埋もれてしまう。親の名前で一度は使ってみるものの実力が伴わず、すぐに消えてしまうことが増えました」(テレビ局関係者)

 一方で、親の名前に頼ることなく、実力をつけて成功する2世が登場してきた。「その典型例が杏と安藤サクラ」だと語るのは、ある芸能事務所関係者。

「15歳でモデルとしてデビューした杏は、渡辺謙と母親が離婚で揉めていたこともあって、事務所に『父のことは内緒にしてほしい』とお願いしていたそうです。離婚成立後も、ずっと『渡辺』姓を伏せて活動を続けていました。その結果、朝ドラ『ごちそうさん』でヒロイン役を務めるまでになった」

 同じく朝ドラ『まんぷく』で朝ドラ史上初の“ママさんヒロイン”となった安藤サクラも、父親が奥田瑛二、母親が安藤和津という芸能界のサラブレッドだ。

「父親が監督を務めた映画『風の外側』で、主演女優がクランクイン直前に降板してしまったために代役としてデビュー。しかし、その後はどんな役柄にも果敢に挑戦して、芝居の実力を磨いてきた。親の七光りではなく、自力で這い上がってきた役者のひとりです」(映画関係者)

 現在放送中のドラマに出演する2世タレントには新田真剣佑(父・千葉真一)、池内万作(父・伊丹十三、母・宮本信子)、寛一郎(父・佐藤浩市)、趣里(父・水谷豊、母・伊藤蘭)、三浦貴大(父・三浦友和、母・山口百恵)、工藤阿須加(父・工藤公康)らがいるが、そうした若手俳優のなかでも、寛一郎は父・佐藤浩市の名前を伏せたまま2017年にデビューし、同年公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で日本映画批評家大賞の新人男優賞、2018年公開の映画『菊とギロチン』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞に輝いた実力派だ。

 寛一郎という名前だけの芸名についても、インタビューで「親父のイメージがあるから、佐藤はつけたくなかった」と語っている。父の佐藤浩市も「三國連太郎の息子」というレッテルに苦しんだ経験からその姿勢を認めているという。

 新田真剣佑も「世界のサニー千葉」の息子だが、芸名はあえて「千葉」姓を外した。

「真剣佑も本格的なレッスンを受け、舞台や映画の端役で実績を作ってから抜擢されている。親の七光りだけでは長続きしないし、そのほうが『あんな有名人の子供なのに、努力してきたんだね』と、視聴者の共感も得やすいんですよ」(芸能事務所関係者)

 渡辺徹・榊原郁恵夫妻の息子の渡辺裕太のように、「親子共演NG」を貫いているケースもある。

◆テレビ局の“大人の計算”

 いくら親が有名人でも、実力がなければ認められなくなってきた2世タレント。だが、その他大勢の役者やタレントに比べて、彼らに大きなアドバンテージがあることも、紛れもない事実だ。

「本人が親の名前を隠していても、局側は事務所から親のことを聞かされているもの。タイミングを見計らって“実は誰々の子供だった”ということを明かせば、親のファンは必ず注目してくれるし、逆にそこまで親の名前に頼ろうとしなかった姿勢をアピールすることで、視聴者からの好感度を上げることもできますからね」(テレビ局関係者)

 いつの間にか2世タレントが大量に出演しているその背景には、こんな“大人の計算”もあるようだ。

 夏クールのドラマでも、『ノーサイドゲーム』(TBS系)に千葉真一の息子・眞榮田郷敦(まえだごうどん・新田真剣佑の弟)が出演。杏が主演を務めた『偽装不倫』(日本テレビ系)では、その杏の恋人役を『島唄』で知られる歌手、宮沢和史の息子・宮沢氷魚(ひお)が演じた。NHKの前の朝ドラ『なつぞら』にも、哀川翔の娘・福地桃子がヒロインの親友役に抜擢されるなど、たしかに2世タレントの勢いは凄まじい。2世タレント事情に詳しいコラムニストの山田美保子氏はこう語る。

「日本人は家系図を大切にする文化があるし、その子の親と比較して、ああだこうだ言うのが好き。恵まれた環境にいる2世が親に頼らず努力している姿は、見ていてドラマがある。

 もちろん長嶋一茂や石原良純のように思いっきり七光りを隠さない天真爛漫な2世を見ているのも、バラエティ的には楽しいのですが。役者に限れば“ストイックな2世”が求められる時代になってきました」

“隠れ2世”ブームはまだまだ続きそうだ。

佐藤浩市と息子の寛一郎(時事通信フォト/共同通信社)

※週刊ポスト2019年11月29日号

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