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世代間の危機意識の断絶が社会悪化を招く~世代選挙の導入を

「昔は制作費の予算がいっぱいあってさ、海外取材とかよく行ったもんだよ。クライアントとライターとカメラマン連れてさ。取材は1日で終えて、あとは観光とかしたりして。昔はいい時代だったよな~」

12年前に編集プロダクションに勤めていた時のこと。私の仕事は、行ったことも見たこともない、海外の国の紹介記事を書くことが主だった。本や資料を集めて、さも行った風にその国の魅力を語る。何か詐欺に加担している気がしたが、業界ではそんなものは当たり前だった。「でも写真だけは困るでしょ?」と思ったが、レンタルポジという便利なシステムがあり、過去に撮影した海外写真を借りてきて、それを使い回せばそれでいいと言われて、妙に感心したのを覚えている。

でもそんな仕事に疑問を覚えて、50代の先輩に「現地に行って取材できる仕事はないですか?」と聞いたら、上記のような返答だった。「今は不景気だからさ、そのうち景気がよくなったら、かさこ君もそんな取材旅行に行けるって」と言われ、その時は私は若かったので、「景気が回復すればいつかそんな取材旅行に行けるはず」とまともに信じたが、この12年、そんな豪勢な取材旅行に行ったことは一度もない。そしてもうそんな時代が二度と来ないことも、この12年ではっきり認識した。

ロストジェネレーションというくくりはあまり好きではないが、確かにこの世代は“不運”といえるかもしれない。(ロスジェネ世代とは、バブル崩壊後の就職氷河期世代、1970年~1980年頃に生まれた人たちのこと)何が不運かといえば、

・すぐ上の先輩にはバブルを謳歌した世代がいるため、その自慢話をさんざん聞かされ、いかに自分たちが恵まれていないかを認識しているから。

・それでも親は過去の価値観に縛られていたため、受験勉強をまじめにやり、いい大学に入りさえすれば、いい企業に入れて、一生安泰だと思って信じていた。

・生まれた時からパソコン、ケータイ、ネットを、使いこなしていた世代ではないため、完全にデジタル世代になりきることもできず、どこかアナログ的なものを引っ張ってしまう、どっちつかずの世代。

といったことが挙げられる。

ただ何にせよロスジェネ世代以降の人たちは、基本的にバブルを経験していない。景気は不景気なのが当たり前、経済は低成長なのが当たり前、予算はないのが当たり前。年金だって完全に払い損の世代だ。もはや金がない、予算がないのが当たり前という常識の中で、いかに最大限のパフォーマンスを上げるかということを、叩き込まれて生きているように思う。

だから「昔は予算がいっぱいあってよかった」とか、「予算がないといい仕事なんかできない」といった言葉にムカっとくる。我々はそんないい思い、一度もしたことはないと。

特にそれを60歳以降の人に言われると余計にムカっとくる。なぜかといえば、

・今の50歳代以下は年金減額など、厳しい生活を強いられる可能性があるが、(つまり若い世代と程度の差こそあれ危機意識を共有できる立場にある)60歳以降は「年金が不安だよ」とかいったところで、それほど減額されることもなく、多分彼らが生きているうちは金に困ることなく、死ねるという立場にあるから。

・借金まみれ、増税、年金不安など、未来に希望が持てない日本社会を作り上げたのは、あなたたち世代ではないのか、という思いがあるから。

・なかなかこの世代が引退せず、現役で高給とって居座っているせいで、若い世代が就職できなかったり、昇進、昇給ができないという現状があるから。

だと思う。

今の政治家を見てもほとんどが60歳、70歳代ばかり。だから放射能問題なんてぜんぜん関係ないし、増税しようが年金不安が深刻化しようが、はっきりいって「自分事」の問題ではない。

年配の世代が今、社会の中で、それなりの地位や権力を持っているが、ロスジェネ世代以下の危機意識を共有していない。だから社会がどんどん悪くなっているのではないか。そういう世代間危機意識の断絶が、どんどん大きくなっているのではないかと思う。

だからこそ若い世代は、多少、人間性に問題があるかなと思うにせよ、かつてはホリエモン、今は橋下大阪市長のような人に期待するのではないか。ロスジェネ世代の危機意識を共有し、過去の常識に縛られた世代が作った社会をぶっ壊し、もっと風通しの良い、効率のよい社会を作ってほしいと。ところがはっきり物を言う“小生意気な若造”は、もっとも年配世代が嫌う人種である。しかも人気も実力もあるため、下手をすると自分たちの地位を失いかねない。そこでありとあらゆる力を使って、彼らを叩き潰しているのである。

結果、若い世代が分裂した。今の社会を変えようなんて思わない方がいいんじゃないか。新しいやり方をしようなんてリスクが高いんじゃないか。だったら年配世代に媚び売って、そのおこぼれもらった方がいいんじゃないかと考える人たち。そういう人たちが増えてきたからこそ、余計、この国の閉塞感が蔓延し、いつまでたっても抜本的な問題解決は先送りで、将来世代にツケをどんどん増やすという、その繰り返しになっている。

この状況を打破するには、前々から提唱しているが、世代ごとに政治家を輩出する、世代代表選挙がいいと思う。例えば、国会議員を20代で30名選び、30代で30名、40代で、50代で、60代で・・・といったように。

金がないのが当たり前という、若い世代の危機意識や常識が社会に反映されていかないと、自分たちは金に困らない逃げ切り世代が、危機意識がないまま、問題とツケを先送るばかりになってしまう。

今の政治を見てもわかるように、政党政治は末期症状だ。どれだけ政党名を変え、政治家の組み合わせを変えても、年配世代が牛耳る国会では若い世代の危機意識は反映されない。

いろんな方法があるにせよ、まずは世代選挙の導入によって、日本社会の閉塞感を打破するきっかけにしてはどうかと思っている。

※先日大きな話題となった記事、「金がないから「いい音楽」作れない?~ビジネス感覚なき職業音楽家の末期症状」についてですが、佐久間氏本人とはフェイスブックのメッセージで、何度もやりとりをして、論点の行き違いについて確認しました。佐久間氏のあの記事で誤解されている部分については、「BLOGOS」に取材を受けて記事になるとのことです。

・佐久間氏と私の記事について、「明和電機」さん(@MaywaDenki)がツイッターにて、「現在の音楽産業について二つの対極の意見。それぞれもっともだ。考えさせられる。「これまで派」>http://masahidesakuma.net/2012/06/post-5.html「これから派」>http://kasakoblog.exblog.jp/18220333/ 」とつぶやいてました。

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