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公開処刑され「教材」にされる女性芸能人と脱北者たち

韓国政府が、人権問題で批判にさらされている。7日、亡命の意思を示していた北朝鮮の漁船員2人を、本人たちの意思に反して強制送還したからだ。

2人には同僚16人を殺害した疑いがかけられており、それを理由にした措置だったが、犯行は立証されていない。加えて拷問等禁止条約をはじめとする国際人権法は、深刻な拷問の危険にさらされた個人の強制送還を禁じている。

女性芸能人を何人も

国際人権NGOのアムネスティ韓国支部は声明で、「今回の事件は国際人権規範の違反とみなす」「韓国政府当局は(国際法上の)強制送還禁止原則を守らなかった」と批判。また国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も韓国メディアの取材に対し、「2人が送還された後に拷問を受け、処刑される危険にさらされている現状を懸念する」と表明した。

こうした懸念はもっともなものだ。北朝鮮国内で拷問や公開処刑が横行してきたことは、国際社会で広く認識されている。実際のところ、2人は北朝鮮でどのような目に遭わされるのだろうか。デイリーNKの北朝鮮内部情報筋は、次のように語る。

「北朝鮮当局は、今回の件を人民に脱北を諦めさせるために利用しようするだろう。まず、いったん脱北して韓国に入国し、その後に戻ってきた人々をメディアに登場させ、「家族を捨てていくほどの希望の国ではない」と語らせる。続けて今回の件に言及し、「南朝鮮当局は(脱北者を)無条件で送り返すという原則を持っている、南朝鮮に行っても以前とは異なり、多くの人が帰ってきている」などと、教養(思想教育)を行う可能性が高い」

つまりは2人の件を、思想教育の「教材」にするということだ。そして、思想教育はこれだけで終わるわけではない。平壌在住のある幹部は、デイリーNKに次のように語った。

「これほどの事件なのだから、1号報告(金正恩党委員長への報告)が上がらないわけがない。だとすれば結果は考えなくてもわかる。無条件で銃殺刑または絞首刑にされるだろう。今の段階ではまだ(北朝鮮国内で)大きな噂になっていないので、公開処刑ではなく、密かに処理する可能性が高い。もし、大きな噂になれば、現地で公開銃殺するか、遠洋漁業に携わる漁民だけ集めて公開処刑する可能性もある」

公開処刑の目的は「見せしめ」である。そしてその効果は、処刑される人物に庶民の注目が集まるほど高くなる。

実際、金正恩党委員長と彼の父親である故金正日総書記は、女性芸能人を何人も処刑している。彼女らが政治的な失敗を犯したのが理由ではあるが、大勢の芸能人に処刑の「見学」を強いたのは、恐怖心を社会にまん延させる効果の高さを考えたからかもしれない。

(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

北朝鮮では、公開処刑でズタズタにされた死体もまた、思想教育の「教材」とされているということだ。

※デイリーNKジャパンからの転載

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