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社会性を養う為のブログ議論のススメ(2)

1. はじめに

前回の記事では、ブログを運営する際の「自己開示→対人関係拡張→自己客観視」というプロセスが社会性を養う働きを持つものの、「書き手」よりも圧倒的に多い「読み手」がブログについて「自己満足」等のイメージを持つために、否定的な言説が目立ちやすい事を示した。

今回は、ブログの「形態分類」の概念を導入し、「理性的なコミュニケーションを求める読者に出会える確率」を考慮すると、「心情を中心としたブログ」よりも「事実や議論などを主軸としたブログ」の方が、より社会性(ここでは現実社会で理性的にコミュニケーション出来る能力)を養う上で望ましいということを示そう。


2. ブログの形態分類


ブログの形態分類としてよく使われるのが、下図1のように山下・川上らの『ウェブログの心理学』に出てくるものだ(注※)。

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図1:ブログの形態分類
出典:山下・川上ら(2005)より筆者作成


ここでは、縦軸を「自己志向-関係志向」、横軸を「事実-心情」として、4つに分類される。それぞれの分類について簡単に説明しておくと、以下のようになる。

  • 備忘録 : 情報等を自分のために覚書として残すもの
  • 日誌 : 情報等を他者に提供するもの(BLOGOSのブロガーも多くはここ。)
  • 公開日記 : 他者に自分という人間を知ってもらうもの
  • (狭義の)日記 : 自分で自分を理解するためのもの(公開日記との違いは、自己の意識。)
ここから、「自己開示→対人関係拡張→自己客観視」のプロセスが可能となるのは、他者へ向けたブログである「公開日記(前記の心情を中心としたブログ)と「日誌(前記の事実や議論などを主軸としたブログ)」である。

総務省情報通信政策研究所の調査(2009年)にブログについての大規模な調査を行い、その際に上記の分類を更に細分化して質問し、図2のようにブロガーを5つに分類した。

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図2:ブロガーの分類とその特徴
出典:総務省情報通信政策研究所(2009), p. 99

これと前記の4分類との対応を示すと以下のようになる。
  • 備忘録(25.0%)・・・・・・アーカイブ型利用グループ
  • 日誌(18.5%)・・・・・・社会貢献重視グループ(8.4%) + 収益目的重視グループ(10.1%)
  • 公開日記(25.7%)・・・・・・コミュニティ形成重視グループ
  • (狭義の)日記(30.9%)・・・・・・自己表現重視グループ
著者の分析によると、「日誌」は総じて男性が多く、利益を志向するか否かは別として「他者の役に立つ」事が出来なければならないので、コミュニケーションも綿密に行う事でアクセスを積極的に増やそうとする傾向にあるようだ。「公開日記」も積極的にコミュニティを拡大する事を志向するので、コミュニケーションを重視する傾向にあるようだ。


3. 「考え」と「思い」のどちらをブログに書くべきか

だから、書き手の意図がしっかりしていれば、日誌であろうと公開日記であろうと、社会性を養う上ではどちらも良い。但し、読み手と理性的なコミュニケーションを取れなければならず、戦略としては、「理性的な読み手が多い」方を選んだ方が無難である。

ネットエイジアによるブログ実態調査(2009)によると、よく言われるように男性は対社会的・女性は自己中心的という傾向が見られる。勿論例外は沢山あるのだが、男性の方が社会的な意図を持って「日誌」を書く事が多いのである。そして、「情報に興味を持つクラスタ」(主に男性)と「心情に興味を持つクラスタ」(主に女性)は分断している傾向にあるので、「対社会的かつ情報を中心としたブログ」を書くと、対社会的な男性が集まりやすいという事が分かる。

例えば、GoogleのDoubleClick Ad PlannerでBlogos.comへのアクセスユーザーを調べると、84%が男性という結果になる。(経済紙などのサイトも同様の傾向になる。)勿論、男性の中にも感情的で理性的な議論が出来ない人は沢山いるだから女性差別だみたいなコメントは勘弁願いたい)のだが、やはり理性的なユーザーが多い方が理性的なコメントが集まりやすいのは当然であり、あくまでも確率の問題で「日誌(事実や議論などを主軸としたブログ)」を書く方が、「自己開示→対人関係拡張→自己客観視」というプロセスを実行しやすいということになる。


4. おわりに

以上より、社会性を養う為にブログを書く場合、読者の性質までをも考慮すれば「ブログで議論」をする方が良いと思われる。勿論、ブログを先行研究に倣って4分類した場合の話であり、個別のブログで見れば「うちのブログは議論をしているけど、感情的な批判ばかりだ」みたいなのも沢山あるあろう。(その場合でも、書き手が客観的な議論をしているかどうか検討せねばならない。)

そういう風に「自分が理性的に論じているか」とか「コメントに対して理性的に返事しているか」みたいなのも含めて、自分の思考を時間をかけて整理するという意味で、ブログは適しているだろう。(但し、荒れないようにする等の対策は必要であるが。)


5. 主要参考文献


[1] 山下清美, 川上善郎, 川浦康至, 三浦麻子(2005)『ウェブログの心理学』NTT出版

[2] 総務省情報通信政策研究所(2009)『ブログの実態に関する調査研究~ ブログコンテンツ量の推計とブログの開設要因等の分析 ~』

[3] ネットエイジアリサーチ(2009)『ブログに関する調査 なぜブログを作るのか? ~ブロガー500人に聞いた情報発信の「理由」~』

注※:元々は、山下・川上らが1997年にウェブサイト上でどのような日記を書くかを調査した時に使われた分類で、ブログの為のものではなかった(現在のようなブログツールが殆ど無かったため)が、今でもなお分類として有効なものである。

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