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【日米貿易協定シリーズ1】 日米貿易交渉史上最悪のやられっぱなし交渉 - 日本は農産物関税を譲り、アメリカは自動車を譲らずトランプの意のまま

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<口約束だけの2.5%自動車関税の撤廃>

 さらに記者会見では追加関税は課さないと首脳間で約束していると安倍首相はのたまわっている。その会場で、アメリカ農民の団体代表がカウボーイハットをかぶりうろついていたという屈辱的な記者会見であった。ライトハイザーUSA代表は日本から懇願されたのであろう「現時点では追加関税の想定はしていない」とリップサービスしている。

それから北米自由協定NAFTAではメキシコやカナダを外された数量制限や自主規制、それから原産地規則の厳しいルールというのはもうなにもしない」といった具合である。みんな嘘で塗り固められている。それだけしないとウィンなどと説明できないからだ。

 そして問題の自動車については、アメリカの上記法の付属書に「関税の撤廃に関しては更に交渉」と書かれているだけである。しかも、それがwill be subject to further negotiation、「今後の交渉次第」にすぎず、撤廃の時期も不明確である。牛肉の関税が毎年引き下げられ、明確に時期と引き下げ率を言っているのに比べ、雲泥の差である。

<発効四ヵ月後に日本の農産物が再び餌にされるおそれ>

 しかももう一つ恐ろしい不透明な部分がある。更なる交渉による関税撤廃というのは、我々は自動車と自動車部品の2.5%の関税だと思っているが、アメリカはそうではない。発効後4ヶ月以内に協議を終え、その後の関税やその他の貿易上の制約、サービス投資等の交渉の開始をする、と書かれている。つまり、日本はこれだけ譲っておきながら、更に関税の引き下げを迫られるおそれがあるということだ。

<米の除外は当然のこと>

 もう一つ日本の最もセンシティブな品目、米が除外されていることを手柄にしている。確かに米が入らなかったという点では◯だ。日豪EPAでも1,000万t近く米を輸出している日タイEPAでも米は除外されている。だから、日米FTAで除外されても別に驚くに値しない。ライトハイザーUSTR代表は民主党対策もありペロシ下院議長の出身地であるカリフォルニアの米を含めたがっていたというが、トランプ大統領は全く関心を示さなかったという。

なぜかというと共和党の牙城がテキサスだとしたら、民主党の牙城はカリフォルニアであり、そこの農産物で有利なことをしてやる必要はない、という選挙のための露骨な交渉をしているのである。日本だと少しでも有利にというところだが、後述するようにトランプ大統領は自分の支持者だけをガッチリと固めるという方針であり、敵には塩を送る気がないようだ。

 TPPで約束された7万tのアメリカ枠がなかったからといってアメリカが大きく譲ったかというとそうではない(「各貿易協定の米の扱いの違いと各国の生産量、輸出量」参照)。ウルグアイランドの決着時に輸入を義務付けられたミニマム・アクセス米77万tの輸入でいえば4割近く(35.8万t 297億円)がアメリカから輸入されており、7万tばかしの輸入でアメリカからとやかく言われる筋合いはない。TPPA本体で決められたことだけれども、既に日本は5倍も6倍もアメリカから輸入しているからだ。

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