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焼失の首里城にはなぜスプリンクラーがなかったのか

沖縄のシンボルが一夜で焼け落ちた(時事通信フォト)

 火災で甚大な被害を受けた首里城(那覇市)が浮き彫りにしたのは、防火体制の問題点だ。焼失した正殿の周辺の消火設備としては、高圧の水を放つ放水銃に加えて、「ドレンチャー」と呼ばれる設備があった。屋根下から水を流して膜を作ることで、他の建物からの延焼を防ぐことが目的だ。

「正殿を取り囲むように74個のドレンチャーがありますが、あくまでも他の建物から出火した場合に正殿を守るための設備です。正殿そのものから出火した今回のケースでは、機能しきれなかったと見られます」(地元紙記者)

 また、放水銃は当初は正殿の周辺に5基設置してあったが、2011年から2013年にかけて正殿の南側に黄金御殿を復元した際に、このうち1基を撤去していた。残る4基の放水銃も初期消火を試みた警備員らが火災の熱で近づけなかったため、使用できなかったという。

 消火設備として思い浮かぶのは、スプリンクラーだが、首里城には設置されていない。正殿をはじめとする復元された首里城の木造建築は重要文化財の指定を受けておらず、文化財保護法で定められたスプリンクラーの設置を義務づけられていなかった。首里城の復元に携わった専門家のひとりはこう振り返る。

「スプリンクラーは、熱に反応したり、ボヤ程度の煙が出たりしても、作動してしまう可能性がある。そうなると、正殿の内部にある玉座や国王の衣装などの貴重な文化財が水浸しになってしまう。そういうことを考えると、スプリンクラーの設置に二の足を踏まざるを得なかった」

 今年4月にパリのノートルダム大聖堂で火災が起きたことをきっかけに、文化庁が国内の4649棟の重要文化財の建物(世界遺産や国宝含む)を対象に緊急調査を行なったところ、屋内に消火設備を設置しているのは全体の16.8%に過ぎず、スプリンクラーを設置しているのは、わずか66の建物だけだったという。

 再度の復元にあたっては、防火体制のありようも見直さなくてはならない。

※週刊ポスト2019年11月22日号

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