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EXILE小林直己はいかにして海外映画のメインキャストの座を掴んだのか?

巨匠リドリー・スコットが製作総指揮を務め、映画『リリーのすべて』でアカデミー賞を獲得したアリシア・ビカンダーが主演するNetflixオリジナル映画『アースクエイクバード』。11月15日に世界同時配信となった本作で、物語の鍵を握る日本人カメラマン禎司役を演じるのがEXILE、三代目 J Soul Brothersの小林直己だ。自身初の海外作品にてメインキャストに選ばれた経緯、芝居にかける情熱、撮影中のエピソード、映画の見どころなどをお聞きした。

役はオーディションで勝ち取った

「アースクエイクバード」の役は、オーディションで獲得しました。日本で役者として活動するうちに、海外の作品にも出たいという思いが強くなった。とはいえ、海外での役者経験がない僕が、簡単に役をもらえるはずがありません。3年くらい前から、海外作品のオーディションを受けまくっていたんです。

『アースクエイクバード』のオーディションは2年前。最近はビデオオーディションが主流で、まずはビデオを撮って送付する。それが通ると、プロデューサーや監督と実際に会うことになります。今回のオーディションでは、ロサンゼルスに3、4回行きました。監督のウォッシュ・ウエストモアランドが「こういう感じで」とか、「あれやってみて」とか指示を出すので、僕が演じてみせるわけです。

合格したときの感想は、「まさか、受かるとは」。英語を主体にした役は初めてだったので、正直、選ばれるとは思ってもみなかったんです。合格した理由ですか? この作品の台本を初めて読んだとき、僕が演じることになった写真家の禎二という人物の思考に、ものすごく共感できた。もし、この役をいただけたなら、僕の人生に大きなプラスになるだろうと。どうしてもこの役をやりたいという思いが、合格に結びついたのではないでしょうか。

『アースクエイクバード』の舞台は1989年の東京。友人関係の女性2人が日本を訪れますが、1人が失踪し、1人が殺人容疑で疑われてしまいます。ジャンルとしてはサスペンス・スリラー。ひとりの主人公を追いかけながら物語が進んでいき、少しずつ謎が解けていく。僕はその女性2人と三角関係になる日本人カメラマンの禎司を演じています。

オーディションに合格してから撮影開始まで約半年の時間がありました。その期間で、役づくりをするわけです。撮影の半年前には、カメラを買いました。『アースクエイクバード』の中で禎二は、89年製のオリンパスのカメラを使っています。同じ型のカメラを自分で探して購入し、毎日のように使いましたね。禎二は九州・鹿児島の出身。おそらく禎二が訪れたであろう場所を推測して、現地を旅しました。もちろん、オリンパスのカメラを連れてです。

国際色豊かな撮影現場

撮影現場は刺激的でした。クルーはアメリカのチームですけど、監督のウォッシュはイギリス人、主演のアリシア・ビカンダーはスウェーデン人、その友人役を演じるライリー・キーオはアメリカ人。撮影のチョン・ジョンフンは、『オールド・ボーイ』や『お嬢さん』などの作品で知られる韓国人カメラマン、アートディレクションは『キル・ビル』の種田陽平さんです。ものすごくインターナショナルでしょう。それぞれが異なるカルチャーを持っていて、そのアイデアのぶつかり合いは刺激に満ちていました。

僕も、いろんなアイデアを出しました。監督のウォッシュは以前日本に住んでいたことがあって、日本の文化や日本人に対して強いリスペクトをもっています。だから、僕の話もしっかりと聞いてくれた。「日本人の精神性をもつ禎二だったら、こういうセリフは言わないだろう」とか。そういう意見を尊重してくれて、撮影中にセリフが変わるということもありましたね。

アリシアは、やはり素晴らしかった。いつもは親しみやすい普通の女性なのに、いったん役者スイッチが入ると、すさまじいくらいの迫力。役者としての意識も高い。映画の中に日本語で長尺のセリフを話すモノローグのシーンが出てきますが、アリシアは完璧にこなしました。日本語は話せなかったのに、撮影の3ヵ月間でトレーニングを積んで身につけたんです。あと、チェロを弾くシーンもあって、そこでも完璧。撮影を終えて、監督が「ここまでできる女優はアリシアしかいない」と振り返っていたのが印象的です。

3ヵ月間の撮影はかなり疲れましたが、その疲れを忘れるくらい、毎日が充実していましたね。僕は普段、どうしても"EXILEのナオキ"とか、"LDHのナオキ"と見られます。でも、撮影現場では、それはまったく関係ない。オーディションで入ったこともあって、ひとりの役者として扱われました。"EXILEのナオキらしく"ということは考えずに、これまでダンスや芝居を通して培ってきたものすべてをネルドリップのように抽出して打ち出せたと思います。とにかく、やり切りました。

先日、11月15日の配信開始に先駆けて、ロンドンでプレミアム上映がありました。製作総指揮のリドリー・スコットに会い、「素晴らしかった。君には映画に必要な存在感がある。役者を続けたほうがいい」と言っていただきました。光栄なことだと感じましたし、「ここからが本当のスタートなんだ」という思いになりました。役者人生はまだ始まったばかりなんです。

30歳になって、年齢的なことを考えるようになりました。EXILEで、今まで通りにダンスを続けられるのか? 肉体のピークとも向き合うなか、伝えたいことを表現できるのか? 20代の頃と違って、そんな恐怖感があります。でも芝居には年齢を重ねたからこそ、表現できることがたくさんあるはずです。

これからも、国内、海外を問わず、たくさんの作品に出たい。芝居を通して人の心をより深く表現できるよう、努力を重ねていきたいと思います。

Earthquake Bird
1980年代の日本を舞台に描いたNetflixオリジナル映画。原作は、日本在住経験のあるイギリス人作家スザンナ・ジョーンズの同名小説。日本人の写真家と恋に落ちた外国人女性が、三角関係に悩まされ、行方不明の末に殺された友人の殺人容疑をかけられてしまう様子を描いたサスペンスミステリー。ある時、日本で暮らしていた外国人女性リリーが行方不明になり、やがて死体となって発見される。友人であるルーシーに容疑がかけられるが、2人の女性の間にはミステリアスな日本人カメラマン、禎司の存在があった。主人公ルーシー役を「リリーのすべて」「トゥームレイダー ファースト・ミッション」のアリシア・ビカンダー、友人リリー役に「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」のライリー・キーオ、鍵を握る日本人カメラマンの禎司役に「EXILE」「三代目 J Soul Brothers」の小林直己。監督は「アリスのままで」のウォッシュ・ウエストモアランド、製作総指揮にリドリー・スコット。Netflixで2019年11月15日から配信。

Naoki Kobayashi
EXILE/三代目J SOUL BROTHERSのパフォーマーとして全国ライブツアーなど精力的にアーティスト活動を行う。パフォーマー以外に役者としても活動し、舞台にも積極的に参加。劇団EXILE公演のほか、2013年2月より行われた「熱海殺人事件40years' NEW」(つかこ うへい作・岡村俊一演出)で大山金太郎役を熱演。各方面より好評を得る。'17年からは俳優として本格的に活動をはじめ、「たたら侍」('17年) 「HiGH&LOW」シリ ーズなどに出演。'19年11月15日にはNetflixオリジナル映画「アースクエイクバード」('19年)が公開した。日本ならず、アメリカにおいても俳優として活動の場を広げている。

Text=川岸 徹 Photograph=鈴木規仁

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