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自民党教育再生実行本部 行き過ぎた地方分権 学校ICT環境整備が進まず

学校ICT環境整備の予算の推移(出所:文部科学省)

日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。我が国の伝統精神である「智勇仁」の三徳に基づき、「文武経」の政策を国家国民のために全身全霊で実現します。

11月13日(水)朝7時45分から45分程、自民党本部において、私が事務局長を務める自民党教育再生実行本部(馳浩本部長)の会議が開催されました。議題は「義務教育における国と地方の役割について」です。

●義務教育における国と地方の役割分担

国と地方の役割分担(出所:文部科学省)

 我が国の教育制度は、憲法26条に基づき、国民の教育を受ける権利を保障し、就学義務、義務教育の無償が規定されています。また、教育基本法第4条により、教育の機会均等が規定されています。

 以上を実現するために、教育基本法第16条により、教育行政は国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下で行うこととされています。具体的には次のように規定されています。

 ・国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ること。

 ・地方公共団体は、その地域における教育の振興を図ること。

 ・国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じること。

●教育は国から地方へ

 戦前は、教育は国の事務とされ、教員の身分は官吏であり、任命は官選の都道府県知事が行っていました。

 戦後の占領政策によって、昭和23年教育委員会制度が創設され、教育の地方分権と、教育行政への民意の反映から、教育委員公選制が導入されました。

主権回復後、昭和31年教育委員公選制が党派の対立から見直され、任命制となり、教育長の任命に当たっては国や都道府県教育委員会の承認制度が導入されました。そして、教委による予算案・条例案の議会提案権が廃止されました。

 平成11年、教育における団体自治が強化され、教育長の任命承認制度が廃止され、市町村立学校に関する都道府県の基準設定権が廃止となり、文部大臣または都道府県教委の指導・助言・援助規定を責務として「行うもの」から「できる」に改正されました。

 平成13年、教育における「住民自治」を強化し、教育委員に保護者委員の努力義務化を来ない、教育委員会会議の原則公開とされました。

 そして、平成19年、教育基本法改正に伴い、国、教委の責任を明確化し、地方分権を進め、教委に保護者委員を義務化します。

 いじめ自殺事件を契機として、平成26年、文部科学大臣から教育委員会への指示権限として、教委に法令違反、執行懈怠等があり、児童生徒等の生命・身体への被害防止等のため緊急の必要があり、かつ他の方法では是正困難な場合が法律に明記されました。ただ、一文科大臣が地域の教委へ指示権限を実施したことは一度もありません。

●義務教育の国庫負担の変遷

 教育費については、昭和28年、義務教育国庫負担法が制定され、教職員の給料や諸手当、退職手当、旅費、そして教材費の2分の1が国の負担とされました。その後、地方分権化の流れの中で、昭和60年に教材費が国庫負担から外され、一般財源化され、平成18年には教職員の給料と諸手当の国庫負担の割合が2分の1から3分の1へ変更され、今日まできました。

 学校施設費国庫負担法についても、平成18年の三位一体改革と呼ばれる地方分権化によって、高校の施設設備は交付金化され、国からの補助はなくなり、義務教育学校も新増築だけが国の支援を引続き受けられることとなりました。

 以上のように、戦後一貫して地方分権化が推進されました。地方分権というと、すべてが良いようですが、地方の財政状況や首長の考え方によっては、教育施設整備、教材等、手厚くする地方と、残念ながら後手後手となる地方が出てきて、バラつきが目立つようになってきています。

その端的な例は、学校のICT環境の整備です。平成6年度、国庫補助から地方財政措置という一般財源化され、毎年1800億円のお金が国から地方に渡され、3クラスに1クラス分のコンピューター端末が整備されることになっています。当初は、学校のICT環境の整備は進みましたが、残念ながら人口減少、社会保障費の圧迫等の様々な要因によって、学校のICT環境の整備が進まず、地方のバラつきが目立つようになってきています。普及率日本一は、佐賀県で1台当たり1.8人、最低が愛知県の7.5人、平均が5.4人となっています。

(出所:文部科学省)

●学校のICT環境整備を短期間で加速するために

 そこで、自民党教育再生実行本部では、議論の結果、国と地方の役割分担を踏まえて、現行の地方交付税措置による学校のICT環境整備を確実に進めてもらうとともに、新たに補正予算等で国の補助制度を導入して、一気に整備を加速させるべく、次のような決議を行いました。

 国と地方の連携による学校ICT環境整備に向けて

令和元年11月13日 自由民主党 教育再生実行本部

1.現状・課題

Society5.0の未来社会を創る児童・生徒達にとって、ICTを活用した「公正に個別最適化された教育」が不可欠である。

そのためには、学校における一人一台端末環境や高速通信環境の実現が必要である。

現在、毎年度1,805億円の地方財政措置を講じているが、自治体の格差が顕著であるとともに、当面の目標である「3クラスに1クラス分」の端末環境の実現にもほど遠い。

2.今後の環境整備に向けて

自治体は、文部科学省が策定した「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」(2018~2022年度)に基づき、地方財政措置を活用して「3クラスに1クラス分」の端末環境を確実に実現していくべきである。

国は、地域による格差なく、一人一台端末環境を実現するため、自治体や学校に任せきりにするのではなく、令和の学校のスタンダードの実現に向けた国家プロジェクトとして、短期間で一気に整備を促進していくべきである。

その際、国として、現在「3クラスに1クラス分」の端末環境を実現している自治体だけでなく、今後に向け整備計画を策定するなどその実現を目指している自治体を、一人一台端末環境の実現に向けた後押しをすべきである。

自治体は、安価な環境整備に向け、複数自治体による広域調達やボリュームディスカウントによる調達コストの低減を図り、国は、ソフトウェアの汎用性を高めるためにも、具体的な標準モデルを提示した上で、それに沿った自治体が分かりやすい調達仕様書例の提供などを行うべきである。

国と自治体は、学校におけるICT活用がスタンダードなものとなるよう、保護者をはじめ社会的な環境を醸成すべきである。

ICT環境が整備されても活用されなければ意味はなく、国は、自治体や学校を支援するため、教師が日常のツールとしてICTを効果的に活用できるための指導体制の充実や、ICT活用教育アドバイザー・ICT支援員の活用を促進するとともに、それらの状況を把握しフォローアップを図っていくべきである。

国は、自治体や民間企業と協力し、デジタル教科書や教材などの教育用ICTコンテンツの効果的な活用の促進に努めるべきである。

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