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アニメと時代劇どこが違う? 横行する「危うい正義」その1

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イメージ“Justice”(正義)出典:Pixaby

林信吾(作家・ジャーナリスト)

【まとめ】

・子供に暴力的なシーンは悪影響だという「アンパンチ論争」が話題に。

・娯楽作品が世間の無内容な批判にさらされることは後を絶たない。

・定義の曖昧な正義により暴力が称賛される風習は極めて危険である。

『アンパンマン』というアニメは、実はちゃんと見たことがない。

この夏、ネットなどで「アンパンチ論争」といった話題がよく取り上げられたので、一度見てみようかな、と思い、動画を探したりしたのだが、私が見たいと思ったシーンは見つからなかった。

今さらアニメなど……と思って、論争と言われてもピンと来ない、という読者も少なからずおられるだろうが、実は普遍的な問題がはらまれているらしい。

簡単に言うと(ネットニュース程度の情報しかないので、簡単にしか述べられないのが正直なところなのだが)、正義の味方アンパンマンが、毎度悪者に「アンパンチ」を食らわすらしく、そうした、私も見たかったシーンが、

「暴力で物事を解決するのはよろしくない」

「子供に見せたくない」

といった批判にさらされ、そのアニメを見て育った世代の芸能人らが一斉に反論したということだ。

検索してみたところ、正確には『それいけ!アンパンマン』というタイトルで、日本テレビ系列で1988年から放送していることが分かった。つまり、放送開始時点で5〜6歳だった子供も今や30代半ばということになる。

それだけの長寿番組であるからには、少なくとも子供からは根強い支持があったに違いないのだが……

この論争が、普遍的な問題をはらんでいるというのは、実は古今東西、この手の批判は娯楽作品について回るものなのである。

少林寺拳法連盟の中国人職員から聞いたのだが、かの国では、

「少年『西遊記』を読まず、青年『三国志』を読まず」

と言われるそうだ。

読まず、というのはこの場合、読んじゃいけません、というに近いニュアンスだろう。

『西遊記』は日本でもドラマ化されているが、要するに孫悟空らが暴れ回る話なので、こうした本に感化されると子供が暴力的になる、という。まさに「アンパンチ論争」と同じ構図ではないか。

『三国志』はと言うと、裏切りやだまし討ちの話がむやみと多いので、学生や若い人があれを読むと、ずるい大人になるのだとか。

▲写真 『三国志』 出典:周曰校(Before 1640) [Public domain]

善意に解釈すれば、子供の健全な成長を願う親の心に、国や言葉の違いなどない、ということになるのかも知れないが、文筆で生計を立ててきた者としては、やはりこういう考え方をされては、はなはだ困る。

そもそも『西遊記』『三国志』と言えば、これに『水滸伝』『紅楼夢』を加えて「中国四大名著」と称されるほど、長きにわたって読み継がれてきた。ちなみに、いずれも明朝から清朝の時代、17世紀から18世紀にかけての作品だ。

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