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このままでは厳しい国家の財布

日経が「2000年代以降、日米欧の企業部門はもうけたお金を使い切らない構図が定着した。高齢化でも家計はお金をため込み続けている。余ったお金を猛烈な勢いで借りているのが政府だ」と報じています。

企業がため込むのはわかるのですが、家計(=個人)もため込み続けているというのには違和感があるでしょう。日経がその論拠にしているのは高齢者の家計の貯蓄額総額なのですが、確かにグラフでは日本の場合、漸増してます。そりゃそうです。高齢者の数が増えているからで一人当たりという家計単位でみると増えているわけではありません。

総務省統計局の資料を見ると60代の二人以上の家計の平均貯蓄高は2013年が2385万円、2018年には2327万円と減っています。70代は13年が2385万円で18年は2249万円とこちらも減っています。

更に18年の高齢者家計の平均貯蓄額は2284万円ですが、中央値は1515万円まで下がります。貯蓄額分布でみるとなんと100万円以下が8.3%で1000万円以下が38%もいます。日経の「家計はお金を貯めこみ続けている」と主張する点に違和感があるのはこのことです。ため込んでいるのは高齢者の富裕層というかなり限定されたセグメントという点を強調しないと間違った認識をしそうです。

さて、かつては企業は常に投資先が多く、借金をしながら事業を大きくしていくのが一般的な事業形態でした。ところが90年代以降、企業は極度の銀行不信に陥ります。「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」赤裸々な銀行ビジネスの実態がドラマなどで社会一般に広く認知されたこともあります。よって「身の丈経営」という手持ち資金の中で事業を廻すという発想が経営的に安全運転として認識されるのです。その結果、企業がグローバル化の世の中で大きくなれないという現代の問題に直面します。

では家計はどうでしょうか?これはずばり、増やす手段がなくなったのが主因です。かつては国債などでも10%のリターンがあった時代もありました。今、100万円の貯金でも1年で10円(普通預金)です。株式は一時期39000円台まで行った日経平均がようやく91年の高値を取り戻しそうな24000円台に向かうところです。不動産は都市部を中心に持ち直していますが、多くは商業地。ほとんどの住宅地は横ばいか下落。そしてそもそも持っていても1軒しかない不動産を値上がりしたから売る理由にもなりません。

家計の貯蓄額は今後、20-30年間は大きく下がるはずです。それは低金利しか知らない層が社会の主流から高齢者層になり、貯蓄が貯蓄を生まない時代を生きている人たちの本格時代を迎えるからです。それどころか、貯蓄があればいい方で全く貯金がない家計は今後さらに増えていくことになるでしょう。

そうなると政府支出は支えられるのか、国債は発行できるのか、という議論は当然出てくるはずです。今後の数十年を予見するならば人口減に伴い国庫収入は減る一方、出費については社会保障費のみならず、災害対策や国土強靭化、古くなったインフラの再整備などの国家再生費用の増大に対応できなくなります。

先日ある地方自治体で川にかかる橋を3割減らす運営をしていると報道されていました。金がなく、老朽化した橋を維持できないから橋そのものを取ってしまおうというものです。当然、地元住民は猛反発していますが、背に腹は代えられないというわけでしょう。

企業の身の丈経営はそこそこ稼ぐ優等生ですが、税を通じた社会貢献度は今の日本の社会基盤を考えると十分ではないでしょう。家計部門も少子化、貯蓄の減少を通じて国債発行の実質的担保に懸念が生まれ、国家予算支援という点では期待は低くなります。こんな縮む国家で年度会計が100兆円の国家予算をどうやって工面するのか、手品師ではない限りできないできないと考えるのがナチュラルです。

もちろん、来年、再来年という話をすれば小手先の細工はできます。しかし、真綿で首を絞められている日本の数十年後に我々がどれだけの変革を余儀なくさせられるか、私にはまだ想像がつきません。悲観主義といわれるかもしれませんが、なかなか厳しい気がします。どんな対策があるのか十分な検討が必要ですが、桜を見る費用に大枚をはたく時代ではないでしょう。徹底的な支出管理が求められそうです。

では今日はこのぐらいで。

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