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海外要人の顔を即時見分けた、日テレ「即位礼正殿の儀」中継の舞台裏


今年10月22日、天皇陛下が即位を日本国の内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が執り行なわれた。スマホやテレビを通してこの儀式を見届けた人も数多いだろう。

即位礼正殿の儀には海外の要人も多数参列する。各種報道機関は「〇〇(国名)の××(名前)」として参列者の情報を伝えるものの、“顔の見分け”は容易ではない。それも、生中継というリアルタイムなものであればなおさらだ。

実は、「即位礼正殿の儀」および「饗宴の儀」の報道番組において、日本テレビでは海外要人の確認作業の正確性、効率性を向上させる運用実験を行なっていた。それは、映像に映っている人間の顔を検出し、自動で個人を認識する「AI顔認識」である。

顔を認識さえすれば間違いは一度もない

結論から書けば、AIが要人の顔を認識さえすれば、識別間違いは一度もなかった

まず、「即位礼正殿の儀」だ。AI顔認識の対象になったのは全部で4画面。4つのカメラで撮影した映像のなかに映りこんだ人の顔を認識し、国名と名前を見分けるというものだ。この映像は報道局国際部などにも分岐され、各所での確認にも使われた。

▲4画面によるAI顔認識のシステム画面

顔を認識さえすれば間違いはなかったものの、カメラ位置の関係で当初の想定の半数程度の要人しか認識できなかった。これは、真横から撮影された顔が多かったことが原因にあるという。顔を認識するためには、顔の「目」「口」「鼻」などの特徴が映ることが最低条件。ゆえに、真横からの認識は原理的に難しいのである。

一方の同日夜に執り行なわれた「饗宴の儀」では、即位礼正殿の儀と打って変わって、映像に登場した要人をすべて認識した。

▲同時に複数の要人を認識することも可能だ

カメラ位置が変わり、斜め45度程度から撮影された顔が多かったことがすべて認識できた理由だ。また、会食会場の映像についても、顔さえ映っていれば要人を多数認識できていた。もちろん、認識結果に間違いはなかった

現場からは「AIがなかったらと思うとゾッとする」の声

今回のAI顔認識の運用実験は、AIが顔を認識さえすれば完璧に識別できるという最高の結果に終わった。このことについて、日本テレビ局内から今後への期待の声が多く寄せられている。

  • 顔の見分けは難しく、AIがなかったら……と思うとゾッとする
  • 報道フロア全体で「AIがすごい!」と話題になっています
  • AIのおかげでリアルタイムでメタデータを入力できた
  • 瞬時にAIが認識し、非常に高精度。メリットしか感じられない
  • 現場のカメラにも導入してほしい
  • AI顔認識はふだんから使えるように常設したい

日本テレビでは、以前からAI顔認識による実験を進めていた。今回の実験結果などを分析し、システム開発を進めつつ現場への導入を検討していくという。

多数の人が参加するイベント会場での中継など、テレビならではの報道にAI顔認識が役に立つ機会は多いだろう。事前にAIに学習しておけば、現場のカメラスタッフは撮影に集中できるなど貢献度も非常に高い。

AIによる新たな報道スタイルが確立されそうだ。

ITデジタル系のウェブ・週刊誌編集者を経てレッジに。Googleアナリティクス個人認定資格所持。スマホはAndroid、PCはWindows、タブレットはiPad、カメラはオリンパス。三度の飯よりアイスコーヒー好き。満員のエレベーターは苦手。

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