先週、発表された、博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2012」の結果です。マス4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)への接触時間はこの5年、大差なし、年々、携帯電話からのネット接続が増えている、という、ま、当たり前の結果と言えばいえます。
そのなかで、ちょっと意外だったのは、これほど若者が新聞を読まなくなっていると言われているのに、まだ24分と健闘している?ことでした。しかし、これを年代別に見るとーーーー
15−19歳では男性が8.9分、女性にいたっては4.9分に過ぎません。パソコンや携帯電話からのネット接続に比べるとなんと20分の1以下に過ぎないのです。新聞が「1日24分読まれている」というのは、携帯電話からのネット接続が極めて少ない60−69歳代によって辛うじて支えられているにすぎないのですね。
いや、なぜこんなことを思ったかと言うと、昨日の新聞各紙に<活字文化議連:新聞・出版物に「軽減税率」適用を>という記事が載ったからです。国会で、消費税引き上げ論議で大騒ぎの中で、新聞社がすかさず国会議員に働きかけてアピールしてる。「なかなか」と思いました。そこで採択された「声明」には「新聞・出版を民主主義のインフラとみなし『知識課税を避ける』という欧州の理念と伝統は、おおいに参考にすべき」とあります。
先日、あるところで産経新聞・熊坂社長の講演を聞きました。そこで熊坂社長は「消費税が上がったら新聞社の広告収入は減るので大変だ」と述べていました。なぜかというと「企業の広告の消費税込みの出稿額は、消費税が5%上がっても変わらないはずだから」ということのようでした。単純に解釈すると広告収入は5%減ってしまう! 確かに新聞経営の厳しい時に大変な話です。
そこで、新聞業界では、議連に働きかけて会合を開き、新聞協会の秋山・朝日社長は「国の力を衰退させ、国民の活字離れが一段と進む」と言い、毎日の朝比奈社長は「国家の10〜30年先を考えて制度設計を」、さらに読売の白石社長は「新聞は日本の文化にとってコメであると訴えたい」として消費税増税の適用除外を呉越同舟で願い出たというわけです。
たしかにそういうこともあるでしょう。「民主主義のインフラ」という言い方も素晴らしい。そうであって欲しい。でも、先の年代別の表に戻れば、15−19歳の若者は1日に10分足らずしか新聞に接せず、全メディア接触時間の1〜2%でしかない。20歳代、30歳代にしても全メディア接触時間の2〜5%程度にとどまっている。彼らにとって、新聞はインフラになっていないように見えます。
こんな状況で、消費税引き上げ分を読者に転嫁するのはとても困難。若者はますます新聞離れを起こすでしょうから。先の熊坂社長も「昔と違って、今、値上げしたら部数減は必至」と語っていました。広告収入は減る、増税分を転嫁できなければ販売収入も減る。ダブルパンチです。
日本人の主食である「コメ」は、昭和37年(1962)に、一人あたり年間118キログラムも消費されていました。しかし、平成18年(2006)には61キログラムと半減しました。「日本文化にとってのコメ」たる新聞がそうならないよう祈るばかりです。