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人口減少社会データ解説「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」(下)-女性人口を東京へ一体なにが引き寄せるのか - 天野 馨南子

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■要旨

人口減少社会データ解説「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」は3回シリーズで、少子化が叫ばれる日本において、東京都だけが子ども人口を20年以上増加させ続けている理由を計量分析結果によって説明することを目的として執筆した。

まず、もはや都道府県の子どもの数の増減推移を「都道府県出生率では説明することが出来なくなっている」ことを、国内最低出生率を続ける東京都がこの20年間子どもを増加させ続けて多子化している状況、ならびに都道府県平均出生率と都道府県子ども数増減の10年間推移の相関分析結果によって示した。

さらに、10年間の都道府県の子どもの数の増減は、出生率の高低ではなく、女性人口の社会移動数増減に強く相関するとの分析結果を示した。

当シリーズの(下)では、都道府県の子ども人口増減の決定要因である女性の社会移動が一体何によって引き起こされているのか、直近の2018年の女性人口増減との関係性から統計的に読み解く。

「ふるさとの子どもの数」の行方を掌握する重要指標「女性の人口移動」。

都道府県のふるさと人口の未来を占う当指標への社会の気づきの一助となることを願いたい。

■目次

はじめに-少子化なのに20年以上子どもが増え続ける「多子化エリア」へ変貌した東京都
1――2018年の「女性人口は何を誘引として動いたのか」
  1-1 分析の前提 (解釈上の注意)
  1-2 社会生活統計指標と女性人口移動数の相関結果
2――「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」 おわりに

はじめに-少子化なのに20年以上子どもが増え続ける「多子化エリア」へ変貌した東京都

当シリーズでは、東京都において子どもが増え続けている実態とその原因をレポートしている。

これまで2回にわたってデータ分析結果を紹介した。

(上)では、「少子化指標の象徴」とされてきた出生率では圧倒的な低さの全国最下位で推移している東京都が、2015年国勢調査を基にした人口推計においては、2045年人口が2015年人口の100%を超える「将来人口維持エリア」に47都道府県中唯一転じたことを示した。また、それは単なる社会流入による人口維持ではなく、子ども人口を近年大きく増加させることによって達成されていることも示した。

ポイントは東京都においては近年、「少子化問題はない」。

このことは、「少子化指標の象徴」とされてきた出生率だけで考えるならば、ありえない話になる。出生率を横にらみして脱少子化を競う考え方では、エリアの少子化問題は解決しない。このことを、2005年から2015年の10年間の「47都道府県の子ども人口増減と平均出生率の相関分析結果」では、『両者の間に相関なし』という分析結果が得られたことによって示した。

(中)では、一体何が47都道府県それぞれの子どもの数の増減に強い関係性を持っているかについて、合計特殊出生率の計算式にそもそも含まれるもう1つの要因である母親候補人口を用いた分析結果で示した。

そもそも、子ども人口は出生率だけで決まるわけではない。

統計計算の手法説明は省略するが、15歳から49歳の女性人口と出生率、この2つの変数から子ども人口は算出することができる。しかしながら、都道府県の子ども人口の増減には平均出生率の間に相関がないので、もう1つの変数である「女性人口」に注目することになる。そこで、もともとのエリアの女性人口規模が大きければ子どもが多いのは当たり前となるため、もともとの規模ではなく、10年間の47都道府県における女性人口の「社会純増減」と子ども人口の増減の関係性を分析した。そして『両者の間には強い相関がある』との分析結果となった。

以上、(上)(中)をまとめると、現在の日本においては、日本全体とは別問題として、47都道府県の子ども増減を決定している要因は出生率ではないことが明確となり、むしろ母親候補の社会増減が決定要因である、ということになる。

以上を実数ベースの推移でも確認してみたい。



東京都の子ども人口が増加に転じたのは、国勢調査でみると2000年からとなる(図表1)。ちょうど東京都への女性の社会人口流出入が純減から純増に転じた時期(1996年:図表2)から数年での増加、というタイムラグである。

1997年に実施された国の調査によると、夫婦の当時の結婚までの交際期間が平均3.37年1となっているため、東京都に1996年以降流入超過し始めた若い男女の一部が、この交際期間を経て結婚し、1~2年で出産にいたるあたりが丁度、子ども人口が増加に転じたスタート地点の2000年国勢調査の時期と綺麗に重なってくる。

相関分析の結果からも、実数ベースでの推移を見ても、東京都の子ども人口の増加がいかに「東京都への地方女性の社会流入によって支えられているか」がわかる。



1 社会保障・人口問題研究所「第11回 出生動向基本調査」

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